らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

人物列伝

【人物列伝】37 バーブル1 農耕民族と遊牧民族

私たち日本人は島国に住んでいますから、自分たちの風習や考え方が当たり前だと思って生きているところがあります。しかし、世界には、日本人には発想し難い風習や考え方を持った民族も数多く存在します。世界の民族を大きく二つに分けますと、農耕民族と遊…

【人物列伝】36 孫武

二千数百年前の古代中国に孫武という人物がいました。かの有名な孫子の兵法を著した人です。戦争の大兵法家、大軍師といいますと、いかにも好戦的で、戦いのテクニックに長けた人物を想像しますが、彼は、戦争とは人民を耐え難い苦しみに陥れるものであり、…

【人物列伝】35 輪島功一

このブログ、自分が何を食べに行ったという記事をほとんど書かないブログですが、それはまあ、あまり話題のお店を食べ歩きをしないということもありますが、今回仕事のついでに寄ったところがあり、ちょっと記事にしてみました。だんごの輪島東京都の国分寺…

【人物列伝】34 始皇帝

始皇帝は、その名であるファーストエンペラーが示す通り、歴史上非常に偉大な人物です。良い意味でも悪い意味でも、それは突き抜けているといえるでしょう。 それでは、具体的に始皇帝とはどのような人物だったのでしょうか。その容貌について、司馬遷の史記…

【人物列伝】33 渡辺温と及川道子

皆さんは前回記事の作品「恋」の作者渡辺温のことを知っておられるでしょうか。今回は彼について少し述べてみようと思います。渡辺温は1902(明治35)年北海道に生まれ、19歳の時、映画筋書懸賞募集に応募した作品「影」が一等に入選、鮮烈な作家デビ…

【人物列伝】32 ヴァラドンとユトリロ 後編

後編は、ユトリロについて述べようと思います。前編でも申し上げましたが、この記事は、一般に世間に流布してる、母ヴァラドンと息子モーリス・ユトリロについてのエピソードを、なぞってまとめたものではなく、美術展で二人の作品や写真などを見て、自分が…

【人物列伝】32 ヴァラドンとユトリロ 前編

この記事は、一般に世間に流布してる、母ヴァラドンと息子モーリス・ユトリロについてのエピソードを、なぞってまとめたものではなく、美術展で二人の作品や写真などを見て、自分がそこから感じ取ったことを自由に書いたものです。この母子について語るとき…

【人物列伝】31 マイケル・チャン

人生において、誰しも実在、架空を問わず、師匠と呼ぶべき人物が何人かはいるものです。自分的には、スポーツ関係であれば、漫画「キャプテン」の谷口くん、そして今回紹介するテニスプレイヤーのマイケル・チャン選手。自分がチャン選手を知ったのは、19…

【人物列伝】30 久野久(くのひさ) 後編

後編です。実は久野久のヨーロッパ行きは、必ずしも手放しで喜ぶことができるものでなく、色々と問題もあったのですが、とにもかくにも彼女にとってクラシック音楽の本場の空気に触れられるということは、心ときめく素晴らしい出来事であったと思います。彼…

【人物列伝】30 久野久(くのひさ) 前編

以前【人物列伝】「高杉晋作」の記事で、彼の先駆けとしての人生を讃えました。そこでは、先駆けというのは、つまるところ、世の中の先頭を突っ走るわけですから道なき道を試行錯誤しながら進むことになるわけで、試行錯誤を繰り返し、何かにぶつかる度に傷…

【人物列伝】29 伊藤みどり

オリンピックで、金メダルよりも価値のある銀メダルがある。と言ったら、ええっ!?と皆さん思われるかもしれません。しかし、自分は本気でそう思っているところがあります。今回はその人の話をしてみたいと思います。その人の名は伊藤みどり。1990年前…

【人物列伝】28 円谷幸吉 後編

円谷選手の死に衝撃を受けた、もうひとりの人物とは。その人とは、高橋尚子選手を育てた小出監督です。彼は円谷選手の1歳年上で、現役時代には、駅伝の合宿所で同部屋になったこともあり、少なからぬ交流があったそうです。円谷選手は非常に温厚かつ気さく…

【人物列伝】28 円谷幸吉 中編

続きです。川端康成は「円谷幸吉選手の遺書」の中で次のように述べています。「繰り返される「おいしゅうございました」といふありきたりの言葉が、じつに純ないのちを生きてゐる。そして、遺書全文の韻律をなしてゐる。美しくて、まことで、かなしいひびき…

【人物列伝】28 円谷幸吉 前編

巷ではよく、秋は、スポーツの秋ということを言います。その言葉の由来は、どこから来ているかというと、どうも東京オリンピックが10月10日に開幕し、その日が体育の日の祝日と定められて以来、この時季に、体育行事が数多く行われるようになったことに…

【人物列伝】27 レナード・バーンスタイン おまけ

先日掲載したバーンスタインの記事のおまけのつもりで、読んでいただければと思います。バーンスタインの記事で紹介したミュージカル「ウエストサイドストーリー」のトゥナイト五重唱ですが、http://www.youtube.com/watch?v=hU-Rt-5vjjU記事を書くため、Yo…

【人物列伝】27 レナード・バーンスタイン 後編

後編です。今回は、まずピアニストとしてのバーンスタインを紹介します。実は、自分が彼の音楽活動の中で最も心惹かれるのが、このバーンスタインなんです。こちらのモーツァルトのピアノ協奏曲第17番の映像をご覧ください。http://www.youtube.com/watch…

【人物列伝】27 レナード・バーンスタイン 前編

グレン・グールド以来の久々のクラシック音楽家の記事になりますが、記事の内容から、今回は【人物列伝】のカテゴリーで紹介したいと思います。今回、紹介する人は、この人です。彼の名は、レナード・バーンスタイン。本来はクラシック音楽の指揮者として活…

【人物列伝】26 ジョージ・フォーダイス 自らを実験台にした科学者達

ジョージ・フォーダイスは、18世紀に活動したスコットランド出身の医者でしたが、熱を利用して病気を治せないかと、常日頃から考えていました。その前提として、果たして人間は、どれだけの熱に耐えられるか、という命題を自ら検証しようとします。当時、…

【人物列伝】25 ラザロ・スパランツァーニ 自らを実験台にした科学者達

先日、自らの体を実験台に睡眠の法則を発見しようとした、という記事を書きましたが、これは自分自身のオリジナルの発想というわけではなく、歴史上脈々と受け継がれてきた、偉大な科学者の先人の生き方に倣って試みたものなんです。その種本は、「自分の体…

【人物列伝】24 織田信長 前編

先日掲載しました菊池寛「桶狭間合戦」は、信長が成功した理由を、新井白石の言葉を借りて次のように述べています。父信秀の富国強兵政策をよく引き継ぎ、京に近く交通の便もよい、豊かな尾張という地の利もよく生かした。これは間違っているとは申しません…

【人物列伝】23 中島三郎助

この間、大河ドラマ「八重の桜」の話をちょっとだけしました。八重の故郷会津は、戊辰戦争最大の激戦地でしたが、会津若松城落城後もその残党は北へ北へと逃れ、抵抗を試みます。そして最後に立てこもって抵抗を試みたのが、蝦夷地の函館。当時としては北の…

【人物列伝】22 釈迦

4月8日、今日は何の日?と問われて、ピンとくる人はどれくらい居るでしょうか。それでは12月25日は?と問われれば、日本人のほとんどが、イエス・キリストの誕生日と答えることができるでしょう。4月8日は花祭りの日です。と言っても、まだ?な人が…

【人物列伝】21 孟嘗君(もうしょうくん)後編

続きです。天下の士は争って孟嘗君の元に集い、その数およそ数千。孟嘗君のいる斉の国の勢いは益々盛んになり、その名声は諸侯に伝わってゆきました。秦の昭王(始皇帝の曾祖父)はその噂を聞き、孟嘗君を秦の国に招きました。ここから前編冒頭で述べた清少…

【人物列伝】21 孟嘗君(もうしょうくん)前編

小倉百人一首に収められている清少納言の和歌夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ夜が明けないうちに鶏の鳴き声を真似て私をだまして通ろうとなさってもあなたと私の間の逢坂の関所だけは決してお通ししませんよ上の句の部分、夜が明けな…

【人物列伝】20 墨子

誰もが平和で安らかな世の中を望んでいます。しかしながら、平和を実現する方法には、様々な考え方があります。平和を実現する方法として非戦論を唱えた人々が、今から二千数百年前の戦国時代の中国にいました。彼らの名は墨家集団。この思想の始祖は墨子と…

【人物列伝】19 真田信之

ブログ友達の方から、信州上田城の桜が満開になった旨の記事が届きました(画像上)。上田城といえば戦国の真田一族の城。巷では真田幸村が大人気らしいですね。なんでも戦国武将人気ナンバーワンとか。発端は、あるゲームのキャラのようなんですが、その昔…

【人物列伝】18 八木登美子「もうひとつのひとすじの桜 ある詩人の妻の物 語」最後に…

最後に蛇足ですが、このブログを開設して2ヵ月くらい経った頃、まだブログを始めたばかりで1日の訪問者も2、3人ほどだったでしょうか、自分は、はじめて八木重吉の記事を書きました。その時、記事を読んだという方から1通のお便りを頂きました。なんと…

【人物列伝】18 八木登美子「もうひとつのひとすじの桜 ある詩人の妻の物語」後編

登美子は、陽二を亡くし、生きてゆく気力も失せ、虚ろな日々を送っていました。そんなある日、登美子は、重吉が書き遺した詩稿を詰めたバスケットをふと開いてみます。妻よわらいこけている日でもわたしの泪をかんじてくれいきどおっている日でもわたしのあ…

【人物列伝】18 八木登美子「もうひとつのひとすじの桜 ある詩人の妻の物 語」中編

登美子のもとには長男陽二だけが残されました。登美子の生きる力は全て陽二に注がれました。日曜も出勤しなければならない10年勤めていた百貨店を思い切って退職し、転職。休みの日は陽二と一緒にいるようにしました。二人で一緒に映画に行ったり、食事を…

【人物列伝】18 八木登美子「もうひとつのひとすじの桜 ある詩人の妻の物語」前編

八木重吉が結核でこの世を去った時、残された妻登美子は22歳の若さでした。重吉が亡くなった直後は、さすがに魂の抜けたようになり、放心状態で動くことさえできませんでしたが、遺された二児をしっかりと育てなくてはならないと自覚し、再び立ち上がりま…