らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

芥川龍之介

「食物として」芥川龍之介

金沢の方言によれば「うまさうな」と云ふのは「肥った」と云ふことである。例へば肥つた人を見ると、あの人はうまさうな人だなどとも云ふらしい。この方言は一寸食人種の使ふ言葉じみてゐて愉快である。僕はこの方言を思ひ出すたびに、自然と僕の友達を食物…

「杜子春」芥川龍之介

芥川龍之介の代表作は?と問われれば、この「杜子春」を挙げる方もいるでしょう。それほど、そのストーリーを知らない人がいないくらい広く知られた作品といえます。しかし、この作品のテーマは?と問われると、様々な捉え方があるようです。両親の財産を放…

「或阿呆の一生」芥川龍之介

この「或阿呆の一生」は、芥川龍之介の遺作となる作品です。本作品は、芥川の自死の1か月ほど前に、自分の一生を顧みながら書かれたと考えられており、全部で51のストーリーから構成されています。その中に、ゴッホの絵に関して記したものがあり、今回そ…

「猿蟹合戦」芥川龍之介

蟹一党の敵討ちにより猿は討ち取られました。 通常、猿蟹合戦の昔話はここでめでたしめでたしという形で終わっています。しかし、その後、蟹一党がどのような人(蟹)生を送ったのか、あの芥川龍之介がそれを作品にしています。なんともシニカルで、彼特有の洞…

「老いたる素戔嗚尊」芥川龍之介

皆さん、先日ほぼ日本列島を横断した形となった台風19号大丈夫だったでしょうか。今年は荒ぶる海の神もその動きが非常に盛んで、台風のニュースが列島を賑わせることが多かったように思います。今秋、出雲にて彼の末裔と皇室の女性との婚礼の儀が行われた…

「春」芥川龍之介

広子と辰子は血を分けた姉妹ですが、姉広子は現実主義的な合理主義者であるのに対し、妹辰子は理想主義的な情熱家であり、ある意味、全く正反対の性格をもった女性です。とある春の日、広子は、妹辰子から或る男性と結婚したい旨を手紙で告げられます。その…

「小説の読者」芥川龍之介

小説の読者というのは何を読んでいるのか。芥川龍之介は、今の小説の読者というものは、おおよそ3つのものを求めて読んでいると述べます。まず、その一つはその小説の筋。その次には、その小説の中に描かれた生活に憧憬を持つており、第三には、反対に読者…

「蜘蛛の糸」芥川龍之介

「蜘蛛の糸」は芥川龍之介の代表作で、ほとんどの人がそのあらすじを知っていると思います。簡潔に述べますと、人殺しや放火を繰り返してきたカンダタという悪党が生前、蜘蛛を助けたことをお釈迦様は覚えていて、死後地獄の血の池に落ちていたカンダタを、…

「枯野抄」芥川龍之介

松尾芭蕉は1694年(元禄7)年10月12日大坂南御堂門前の旅舎にて主立った門人達に看取られながら死去しました。亨年51歳。この物語は、芭蕉のまさに臨終に際して高弟達(いわゆる蕉門十哲)の様々な心の内を描いた作品です。師と弟子達をテーマに…

「地獄変」芥川龍之介

この作品を読む前にウィキペディアにあらすじが載っていたのでざっと目を通したのですが、あらすじを知っただけで結構へこみました。芸術家が究極の作品を作るため、可愛がっていた実の娘が牛車ごと焼き払われるのを見て作品を完成させる、まさに地獄絵図そ…

「蜜柑」芥川龍之介

自分が小学校6年の時、社会科だけは教務主任の先生に教えていただきました。先生は授業の余った時間で、よく短編の小説を朗読してくださいまして、朗読と言っても本を見ながらでなく、身振り手振りをまじえながら表情豊かに話してくださいました。 みんな…

「トロッコ」芥川龍之介

自分が小学校6年の時、教務主任の先生が、授業の余った時間でよく短編の小説を朗読してくださった。芥川龍之介「トロッコ」もそのひとつで、 懐かしさのあまり、先生のおっしゃっていたことを思い出しながら、小学生以来読んでみた。それにしても芥川龍之介…