宮沢賢治
今までの記事で、 一緒にいたいと思う人と一緒にいることが人間にとって最上の幸せということ。 これが、高畑勲作品の一貫したモチーフではないかという話をしました。 それに真っ向から立ちはだかるもの、それが戦争です。 ひとたび戦争が起これば、家族は…
セロ弾きのゴーシュ オーケストラに所属するチェロ弾きの青年が、どうしても上手く弾くことができず、 仕方なく夜一人で練習に励んでいると、 そこに夜な夜な色々な動物が家に現れ、 一緒に音楽を練習し、音楽に目覚めて行くというお話。 ゴーシュとはフラン…
今年は宮沢賢治生誕120年ということで、いくつか作品を取り上げるつもりでしたが、結果ほとんど書くことができなかったので、その罪滅ぼしにひとつ取り上げたいと思います。今回の作品は「猫の事務所」。そのテーマはずばり「いじめ」です。猫の歴史や地理を…
「雨ニモマケズ」雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ慾ハナク決シテ瞋ラズイツモシヅカニワラツテヰル一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベアラユルコトヲジブンヲカンジヨウニ入レズニヨクミキキシワカリソシテワスレ…
今年初めての読書記事です。宮澤賢治というと「鹿おどりのはじまり」や「よだかの星」などの作品の雰囲気から推し量ると、自然を愛する物静かな青年というイメージがしますが、この文章の冒頭、少々そのイメージが覆されます。非常に情熱的で熱の入った、時…
今まで、様々な宮澤賢治作品について触れてきましたが、彼の作品は、自然の表現とそこで生きる人々の表現が、とても美しく、優しい気持ちになれるものが多いですよね。しかしながら、それらとは、ちょっと毛色の異なる作品もあるんです。ブラックユーモアと…
そのとき西のぎらぎらのちぢれた雲のあひだから、夕陽は赤くななめに苔の野原に注ぎ、すすきはみんな白い火のやうにゆれて光りました。晩秋の、非常に色彩豊かな、絵画的ともいえる美しい描写で始まるこの作品。苔の野原の夕陽の中で、すきとほつた秋の風か…
この前の記事で述べましたように、宮澤賢治はクラシック音楽を大変愛好しており、自らもチェロをたしなんでいました。東京に出て、短期の個人レッスンなど受けたこともあったようですが、普段は我流で練習せざるを得ず、腕前は、どうも今ひとつだったようで…
先日、宮澤賢治を知るための作品として挙げさせていただいた「虔十林公園」ですが、巷では、あまり有名とはいえないかもしれません。しかし、この作品の主人公虔十(けんじゅう)の生き方が、宮澤賢治の生き方と重なり合うと感じる部分も多々あり、ぜひ読ん…
実は、先週の9月21日は宮澤賢治の命日でした。この前、記事でも書きましたが、正岡子規の命日は糸瓜忌と呼ばれており、他にも、芥川龍之介は河童忌、太宰治は桜桃忌などと名づけられていますが、宮澤賢治にはそのようなものがありません。それならばと、…
9月になり、中秋の名月も近づいてきて、ブログでも、ちらほら、お月さまにまつわる話を目にするようになりました。それでは。というわけではありませんが、今回、自分は、星にまつわる宮澤賢治の物語を。この「双子の星」は賢治が21歳の頃書いた、きわめ…
水仙月とは宮澤賢治が創作した言葉で、賢治のふるさと岩手では、季節的には3月から4月あたり頃をさすのではないかと言われています。雪解けのきれいな水のほとりに咲く水仙の花を見て、そのように名づけたのでしょうか。非常に美しい言葉に思います。この…
まずはじめに、青空文庫には、3種類の「銀河鉄道の夜」が収録されています。この作品は宮澤賢治が何回も推敲を重ねたため、版がたくさん存在するんです。最近の研究で、内容がどのように変遷していったか明らかになってきたようで、青空文庫収録のものでい…
最終回のテーマは「ほんとうの幸い」。今回はもう1人ゲストが来ていて、その人がほとんど話をしていましたが、この人は本当に必要だったのかなあ。せっかくのパルバースさんが、ただの置物になっていました。ゲストが複数人いるならば、それぞれの意見を照…
今回のテーマは「みんなつながっている」というものでした。冒頭、パルバースさんが「私はあなたであり、あなたは私であり、全ての人はつながっている。のみならず、山や光、動物や昆虫など自然に存在するもの全てともつながっている」という賢治の意識につ…
第二回冒頭「銀河鉄道の夜」のストーリー紹介で、ジョバンニとカムパネルラがどこまでも一緒に行こうと誓い合った直後、カムパネルラの姿が消えてしまうシーンのアニメーションの作りは、非常に良かったと思います。そのシーンのBGMは宮澤賢治が作曲した…
見終わった感想は、う~~ん、そうですね。宮澤賢治及び「銀河鉄道の夜」の事について今回がほぼ初めてという方には、分かりやすい構成で良かったと思います。ただし既にそれなりの知識があって、作品も読んでいらっしゃる方には、やや掘り下げ不足に感じた…
明後日12月7日水曜日からNHK 教育テレビで「100分de名著 銀河鉄道の夜 宮澤賢治」が放送されます。毎週水曜日全4回で第1回12/7第2回12/14第3回12/21第4回12/28 時間は22時から22時25分までです。解説はロジャー・パ…
本日21時から23時までNHK BSプレミアムで「宮澤賢治の音楽会」という番組が放送されます。なんでも宮澤賢治の世界に影響を受けた音楽家達が、それぞれの思いを込めて、歌を歌い、詩を朗読するそうです。その中で記事「セロ弾きのゴーシュ」の中で紹…
どっどど どどうど どどうど どどう青いくるみも吹きとばせすっぱいかりんも吹きとばせどっどど どどうど どどうど どどう「風の又三郎」冒頭の風の歌。青空で風が強く鳴っている二百十日の9月1日、全学年で教室がひとつだけの岩手の田舎の小学校に一人の…
「きけ わだつみのこえ」にその手記を収録されている佐々木八郎さんは、東京大学経済学部の学生で昭和18年暮れ出征されました。佐々木さんは「愛と戦と死」と題して、宮澤賢治の「烏の北斗七星」について感想を書いておられます。佐々木さん曰わく、宮澤賢…
宮澤賢治の小説には鳥が主人公のものがいくつかあります。今回紹介する「烏の北斗七星」もそのひとつです。賢治は「注文の多い料理店 序」において物語は自分が考えたのではなく、自然を見て感じ、自然からもらったものだと記しています。彼は何十羽もの烏が…
よだかという鳥をご存知でしょうか。「よだかは、実にみにくい鳥です。顔は、ところどころ、味噌をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。」よだかは容姿が醜いということだけで…
自分がいつも乗り降りしている駅の入り口辺りに大きな銀杏の木があります。大人ひとりでは抱えることができないくらいの大きな木で、その木のすぐ横のビルの2階にあるカフェが自分のお気に入りの場所で、休日などは銀杏が見える窓際の席で本を読んだりネッ…
今回読んだ作品は「注文の多い料理店 序」。 「注文の多い料理店」ではなくそれが収録された本の序文です。なぜ今回物語でなく序文かというと、宮沢賢治を読む際のエッセンスが詰まっており、ぜひとも知っていただきたかったからです。「わたしたちは、氷砂…
宮沢賢治の名前を知らない日本人はほとんどいないでしょう。 パッと浮かぶ作品としては「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」というところでしょうか。 しかしその他の短編も興味深いものがいくつかあります。今回読んだ「月夜のでんしんばしら」もそのひと…
今日は宮沢賢治が書いた深刻な食料不足におちいった軍隊の話です。かろうじて部隊は全滅を免れるも兵士はみな飢えかかってへとへとになっている。しかし大将だけは食料は豊富。そこで下士官の曹長が兵士の命を守るため重大な決断をする。宮沢賢治がこんな話…
昼間ですが遠くに並んだ高圧線塔が巨人の行進に見えませんか?夜はもっとそれっぽく見えます。賢治の時代は背の低い木の電柱でもっと密間隔だったので、だだっ広いところでは月夜の下兵隊が行進しているように感じたのでしょう。 もっとそれっぽい画像があれ…