らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【万葉集2011】6 君なくはなぞ身装はむ

今回一番感じ入った歌は、君なくはなぞ身装(よそ)はむくしげなる黄楊(つげ)の小櫛(こぐし)も取らむとも思(も)はず播磨娘子あなたがいなかったらどうしておしゃれなどしましょうか櫛箱にあるつげの小さな櫛ですら手にしようと思いません選者は「千の…

【万葉集2011】5 難波人葦火焚く屋の

今回自分が一番感じ入った歌は難波人(なにはひと)葦火(あしび)焚く屋のすしてあれど己(おの)が妻こそ常(とこ)めづらしき詠み人知らず難波人が葦火を焚く家のように煤けてはいるが我が妻はいつもかわいらしい現在の大阪中心部は当時葦の生い茂る大湿…

【字余りのうた】20 五月雨

「日曜出勤前に外の雨の様子を見て詠む」五月雨(さみだれ)のただただ雨の音ばかり今日は俳句です。横浜は朝から大雨です。日曜の朝なので街はまだ静かです。昨日のようにかっこうもひと鳴きもなくじっとしているようです。しかし自分は今から出勤です(^_^;…

【テレビ番組】暴れん坊将軍 彗星激突の回

今回は「暴れん坊将軍 江戸壊滅の危機!すい星激突の恐怖」冒頭で吉宗が夜空を望遠鏡で覗いていると、地球に接近するすい星を偶然発見します。 これはひょっとして江戸に激突してしまうのではないか?危惧を抱いた吉宗は市井の天才天文学者を偶然見いだし、…

【字余りのうた】19 梅雨

「梅雨にうぐいすが鳴くを聴きて詠む」梅雨に入(い)りて雨音高くなりぬれば負けじとひと鳴くうぐいすかな関東は例年より早く梅雨に入りました。今朝は台風による梅雨前線押し上げの影響なのか結構な大雨でした。最近天気のよい朝は鳥のさえずりなどよく聴…

プロローグ 森鴎外

JR三鷹駅からほど近い禅林寺に太宰治の墓がある。彼の命日の桜桃忌のみならず彼の墓には絶えず花が手向けられており賑やかである。しかしその向かいにある森鴎外の墓はひっそりとしたもので墓が花に彩られているところもあまり見たことがない。どうみても…

【字余りのうた】18 やさしきをのこ

「やさしき心を詠む」買い物のおつりをママに促(うなが)され義援に入れるやさしきをのこ「やさし」の原義は痩せるの「痩(や)す」で身も心も痩せ細る思いということだそうで、恥ずかしいという意味が根底にあるそうです。その後そのような控えめな様子や…

【字余りのうた】17 あをによし

「母より奈良みやげの小包が届いて詠む」あをによし奈良漬け母より送り来てにほふがごときあまがらさ(甘辛さ)なりえー、この短歌はすべて自分のオリジナル。ではありません(^_^;)有名な万葉集の歌を範にしております。 あをによし 奈良の都は 咲く花の に…

【人物列伝】7 ねね(北政所)エピローグ

京都東山阿弥陀ヶ峰に秀吉の墓はあります。1615年大坂夏の陣による豊臣家の滅亡と共に、徳川家康は秀吉の墓をを破却し、その参道中央に新日吉神宮を移して墓参の通行を妨げ、社殿は朽ちるままに放置されました。 今の形に整備されたのは徳川の世が終わっ…

【人物列伝】7 ねね(北政所)

アニメ「クレヨンしんちゃん」で「私のことを呼び捨てにしていいのはパパとママと豊臣秀吉だけなんだからね!」と、しんちゃんに呼び捨てにされたガールフレンドのねねちゃんが文句を言うシーンを前に見ました。今回の人物列伝は豊臣秀吉の正妻ねね。最近の…

【字余りのうた】16 一休み

「横浜みなとみらいから昇る朝日を見て詠む」お日さまもビルに腰かけひと休み今回は俳句です。朝の散策でとある住宅街の丘の上まで行ってひと休みします。そこから横浜のみなとみらい地区というウォーターフロントの街が見えます。その中で一番高くそびえる…

【万葉集2011】4 蓮葉はかくこそあるもの

今週自分が一番感じ入った歌は…というか、面白いと思ったのは正岡子規のエピソードです。その正岡子規が注目したのが次の和歌です。蓮葉(はすらば)はかくこそあるもの意吉麻呂(おきまろ)が家なるものは芋(うも)の葉にあらし長意吉麻呂(ながのおきま…

【字余りのうた】15 ソウルの月

「ブログで知り合った韓国人の友人から今夜は満月ですよと便りが来て詠む」望月(もちづき)とソウルの友に教えられ窓より望む横浜の月満月の光降りそそぐ空を見て千里を超えて思い一(いつ)にすこのブログを始めて4か月が経ちますが、あらゆる地域のあら…

「蒲団」田山花袋

この作品に関しては初見ではありません。高校生の時、一度読んだものの、思春期の未熟の極みかラストシーンの描写に惑わされその他の内容はあまり記憶にないんですwそれはさておき、今回読み進めていくうちに、あーなるほどなるほど。という感じで、自分で…

「お伽草子 カチカチ山」 太宰治

自分としてはあまり男だ女だと男女峻別論を採りたくはないが、現実問題として男性のみがわかる趣向、女性のみがわかる趣向というものは確実に存在する。例えば女性のみがわかる趣向としてはドラマ「SEX AND THE CITY」「デスパレートの妻達」といったもの。…

【字余りのうた】14 南の島に還らん

「タレント上原美優さんが自ら命を絶ち、遺体が故郷の種子島に帰るニュースを見て詠む」雑踏で夢見た思い胸に秘め南の島の砂に還らん沖縄に行く途中、天気が良いと飛行機の進行方向右側に種子島と屋久島が見えます。緑に包まれた島で、島の輪郭沿いに白い砂…

「枯野抄」芥川龍之介

松尾芭蕉は1694年(元禄7)年10月12日大坂南御堂門前の旅舎にて主立った門人達に看取られながら死去しました。亨年51歳。この物語は、芭蕉のまさに臨終に際して高弟達(いわゆる蕉門十哲)の様々な心の内を描いた作品です。師と弟子達をテーマに…

【万葉集2011】3 生ける人つひにも死ぬる

今週自分が一番感じ入った歌は、生ける人つひにも死ぬるものにあれば今在る間は楽しくをあらな大伴旅人いきている人はいずれは死ぬものなのだからこの世に生を受けている間は楽しくありたいものだ万葉集らしい、素朴でおおらかに自分の気持ちを歌った和歌だ…

「地獄変」芥川龍之介

この作品を読む前にウィキペディアにあらすじが載っていたのでざっと目を通したのですが、あらすじを知っただけで結構へこみました。芸術家が究極の作品を作るため、可愛がっていた実の娘が牛車ごと焼き払われるのを見て作品を完成させる、まさに地獄絵図そ…

【字余りのうた】13 ジャスミンの花

「五月雨の朝の散策で名の知らぬいい香を放つ花を見つけて詠む」五月雨(さみだれ)に漂う花の香(か)辿(たど)りせば薄桜色の君に逢ひけり 昨日の夜まで大雨だった横浜は、今日朝はしとしと雨でした。散策しているとどこからか花の香りが漂ってきて、それ…

【人物列伝】6 老子 エピローグ

前後編の書き残しを少々記そうと思います。前回、欲望を最大限追求していく社会の仕組みに慣れた人類が、うって変わって老子が唱える社会に転換できるかというと正直少々懐疑的にならざるを得ないと言いました。確かに生き馬の目を抜く現代社会では、老子の…

「名人伝」中島敦

中島敦は、中国の古典を題材とした作品も多く、「名人伝」は今から二千数百年前の春秋戦国時代を舞台としています。主人公紀昌は弓の名人となるべく名人飛衛の元を訪れトレーニングを始めます。そのトレーニングの方法が極めてユニークです。まず最初の2年…

【字余りのうた】12 夜明けの宙(そら)

「GW明けの朝の散策で夜明けが来たのを見て詠む」休み明け紫だちたる東(ひむがし)の夜明けの宙(そら)に深く息吸うあっという間に楽しかったゴールデンウイークも終わってしまいましたね。休み明けの少し淀んだ心で朝散策していて、夜明けの情景を見て…

【万葉集2011】2 去年の春逢へりし君に

今週自分が一番感じ入った歌は去年(こぞ)の春逢へりし君に恋ひにてし桜の花は迎え来(け)らしも若宮年魚麻呂 誦む 去年の春桜の咲く頃あなたに出会って恋したからこそ今年咲いた桜の花も(素敵に輝いて)迎えに来てくれたかもしれませんです。今年は桜の…

【人物列伝】6 老子 後編

続きです。老子が言わんとした「無為自然」を自分なりに解釈して言うと「自己を自然の法則に従い確立し欲望を極めて抑制的にコントロールしていく」ということになるのではないかと考えています。欲望の概念には、自己の利益やら名誉欲などのようなものに限…

【人物列伝】6 老子 前編

老子は今から二千数百年前の春秋戦国時代に、孔子と同時期に存在したと言われる思想家です。しかし孔子と比べその存在は謎に包まれています。当時中国は諸子百家といわれるほど様々な思想が競い合っていました。その中で老子が唱えた思想のエッセンスたる言…

「最終戦争論」石原莞爾

1960~70年代に西洋の雄アメリカ合衆国と東洋の盟主大日本帝国が激突し、人類の半分は死滅するも大日本帝国が勝利し世界を統一し地球に永久平和が訪れる。この話を読んで皆さんはどう思っただろうか。今流行りの架空戦記小説のあらすじ?と思われたか…

【映画】シャイン ヘルフゴット氏の演奏会

先日、映画「シャイン」の記事を書きました。実をいうと自分は「シャイン」の主人公デビッド・ヘルフゴッド氏の演奏を聴きに行ったことがあるんです。東京渋谷のオーチャードホールにて、かれこれ十年くらい前になるでしょうか。曲目はショパンやらリストや…

【映画】シャイン

ゴールデンウィークも後半ですが、どこにも出かける用事がないという寂しい方に(自分もそうですが笑)、お勧め映画を紹介します。今回紹介するのは「シャイン(Shine)」豪州出身の実在のピアニスト、デビッド・ヘルフゴットの半生をモデルに、苦難を乗り…

【閑話休題】三国志 後編

続きです。高校生になり初めて三国志正史を読んだ。その頃やっと自分が読んできた三国志はいわゆる「三国志演義」で正史をベースとして元末明初に創作されたものであることなど知った。当時北方から巨大な軍事力を持った遊牧民族(モンゴルなど)が南に住む…