らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「安井夫人」森鴎外

森鴎外第2弾は「安井夫人」。主題は「女の一生」さらに広く「人間の一生」というところでしょうか。安井夫人とは江戸末期の大儒学者安井息軒の妻お佐代のことである。仲平(息軒の本名)は黙々と学問に励み、誰もが将来は偉くなるだろうと噂するも、幼い頃…

【人物列伝】12 お雅

前回高杉晋作と愛妾おうのとのちょっといい関係について書きました。それでは本妻との関係はどうだったんだということは当然気になります。晋作は22歳の時萩城下で評判の美人と名高い井上平右衛門の娘お雅と結婚しました。この時お雅16歳。お雅の写真は…

【字余りのうた】23 夏の訪れ

「霧雨のような細かい雨漂う朝の散策にて詠む」磯の香(か)の露(つゆ)立ち籠めて夏を知る今朝横浜は霧雨のような細かい雨が漂う朝で、富士山はおろか、いつも見えるみなとみらいのビル群も霞んでほとんど見えませんでした。自分の住んでいるところは、太…

【万葉集2011】10 天地の別れし時ゆ

今週自分が感じ入った歌は富士山を讃える決定版のような長歌天地(あまつち)の別れし時ゆ神さびて高く貴き駿河なる富士の高嶺を天(あま)の原ふりさけ見れば渡る日の影も隠らひ照る月の光も見えず白雲もい行きはばかり時じけそ雪は降りける語り継ぎ言い継…

【人物列伝】11 おうの

先日坂本龍馬の妻「おりょう」を取り上げました。おりょうはドラマのせいもあり知名度としては既に全国区ですね。それでは「おうの」という女性をご存知でしょうか。一般的には知名度は低いかもしれません。おりょうより2つ年下のおうのは、長州藩が生んだ…

【人物列伝】10 おりょう

先日車で会社に戻ろうとしていたところ、いつも通る道は事故規制していましたので、仕方なく迂回路を走っていました。その時自分の動態視力は迂回路にあった料亭の看板に書いてある名前を見逃しませんでした(^_^;)おりょう。言わずと知れた坂本龍馬の妻。龍…

【字余りのうた】22 ホワイトムーン

「朝の散策でホワイトムーンを追いかけながら詠む」白き月追いかけ風切る碧い空早朝東に太陽が昇る頃、西に白い月が傾いていきます。ここのところずっと梅雨空でしたが、今日の朝は快晴で久々に白い月(ホワイトムーン)を拝めました。白い月(ホワイトムー…

「カインの末裔」エピローグ 有島武郎

先日「カインの末裔」の記事を書きましたが、作者の有島武郎について、今日ではあまり語られることがないので少々述べようと思います。有島武郎(1878~1923)は旧薩摩藩士の子として生まれました。 父は北海道の土地を払い下げられた大地主であり、…

「カインの末裔」有島武郎

カインとは聖書における人類の始祖アダムとエバの長男で、弟アベルを殺すことで人類史上初の殺人犯となった者のことです。この罪によりカインは今まで住んでいたところを追われ流浪の身となりました。「カインの末裔」という題名から何かスマートな印象をも…

【万葉集2011】9 近江の海夕波千鳥

今週自分が感じ入った歌は近江(あふみ)の海夕波千鳥(ゆうなみちどり)汝(な)が鳴けば心もしのに古(いにしへ)思(おも)ほゆ柿本人麻呂近江の海の夕波千鳥よおまえが鳴くと心もしみじみと昔のことが思われるです。今回着目したのは歌の内容よりも歌の…

【テレビ番組】必殺シリーズ

子供の頃「必殺シリーズ」が放映されていて、友達と必殺ごっこなる遊びをしていました。一番人気があったのは三味線の勇次。中条きよしさんが演じていた役で、三味線糸を武器に相手を吊し上げて仕留めます。藤田まことさん演じる中村主水は子供心に地味であ…

【テレビ番組】2013年大河ドラマ「新島八重」

昨日の記事で少々大河ドラマ「江」の悪口めいたことを書いてしまったので、今回は少々応援めいたものを書こうと思います。2013年の大河ドラマは震災関連プロジェクトの一環として、福島を舞台にした作品で「被災地を元気づけたい」として「新島八重」に…

【閑話休題】歴史上の人物の「無くて七クセ」

人には意識してなくても無意識のうちにしてしまうクセがあるといいます。誰にでもある「無くて七クセ」。でも昔ほどこの言葉使いませんね。ちなみに歴史上の人物のクセってご存知ですか?家康は爪を噛むクセ。「葵三代」で家康役の津川雅彦がそのクセを演じ…

「高瀬舟」森鴎外

江戸時代、京都奉行所にて遠島を申し渡された罪人は、京都を流れる高瀬川を舟に乗って大坂に護送されていた。その護送の舟、高瀬舟で今回護送される弟殺しの喜助は、いつもの罪人とは様子が全く異なり、顔は終始晴れやかで目に輝きすらある。それを不思議に…

【万葉集2011】8 朝寝髪我は梳らじ

今週自分が感じ入った歌は朝寝髪我は梳(けづ)らじうるわしき君が手枕(たまくら)触れてしものを詠み人知らず朝の寝乱れた髪を櫛(くし)で梳(と)いたりはしませんいとしいあなたの手枕が触れた髪ですものです。艶っぽい歌はあまり好みの分野ではなかっ…

【字余りのうた】21 雨煙る

「梅雨降る朝の散策にて詠む」雨煙(けぶ)る朝白(しら)む街に傘ひとつ今回は俳句です。首都圏は夜半から時折雨が激しく降る、あいにくの天気となっています。こんなときにも散策するのかと驚かれるかもしれませんが、風がよほど強くなければします。しか…

「蜘蛛の糸」もたんもぞ編

ある日の早朝の事でございます。もたんもぞという男が朝の散策をしようと自宅マンションの廊下を独りでぶらぶら歩いておりました。すると廊下にコガネムシが一匹、ひっくり返って苦しそうに蠢(うごめ)いているのが目に留まりました。もたんもぞはその時こ…

【人物列伝】9 円空 エピローグ

実を言いますと、この自分、大学生の時、趣味で仏像を彫ろうと道具一式買い揃えたことがあります。仏門の先祖の血が騒いだか、抱えきれない恋の悩みがあったのか、円空さんが呼んだのか、今となっては動機はよく覚えてませんが、ほとんど発作的だったかも(^_…

【人物列伝】9 円空

円空という僧をご存知でしょうか。円空仏をご存知の方でも円空自身の生涯をご存知の方は少ないのではないでしょうか。出自について正確なことは不明。伝承によると江戸時代初期1632年に今の岐阜県羽島に生まれる。父は誰であるか不明。私生児であったと…

【テレビ番組】 美の巨人たち 竹久夢二「黒船屋」

昨日「美の巨人たち」において竹久夢二の代表作「黒船屋」について放送していましたので感想を述べようと思います。感想としては残念ながら番組全体の構成及び絵に対するアプローチともに今ひとつの印象でした。絵を見るというのは美術館で見るのもテレビで…

【万葉集2011】7 うちひさす宮道を人は

今週自分が感じ入った歌を紹介します。うちひさす宮道(みやぢ)を人は満ち行けど我が思ふ君はただ一人のみ柿本人麻呂歌集より都大路を人は大勢往き来しているけれど私が思いを寄せる人はただ一人だけなにかユーミンの歌詞に出てきてもおかしくないような歌…

「童話集 春」2 竹久夢二

今回は「童話集 春」19編のうち7編を読みました。「誰が何時何処で何をした」「風」「春」「玩具の汽缶車」「クリスマスの贈物」「おさなき灯台守」「日輪草」の作品です。前回は女の子が主人公のお話ばかりでしたが、「誰が何時何処で何をした」は中学生…

【5月総括】

五月の爽やかな風が心地よくなってきたと思ったのもつかの間、首都圏は例年よりかなり早く梅雨に入ってしまいました。しかし青葉も恵みの雨でますます濃くなり、来るべき夏に向かおうとしています。今月は青空文庫の読書感想記事は少々低調でした。ところで…

「童話集 春」竹久夢二

竹久夢二は大正浪漫を代表する画家です。「夢二式美人画」という言葉は知らずとも絵を見れば日本人で知らない人がいないくらい有名なタッチの絵です。なんでも夢二式が現れる前までは美人の絵は切れ長の目ばかりで、ぱっちりした大きな目の美人のものは夢二…

【人物列伝】8 徳川宗春

徳川宗春と聞いてご存知の方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。この前「鶏肋」の記事で「暴れん坊将軍」のすい星激突の回を紹介しましたが、「暴れん坊将軍」第9部最終回「天下取りの野望!吉宗VS宗春」と題して吉宗のライバルとして最終回のチャンバ…