絵画・美術
ゴッホは自分が最も好きな画家のひとりですが、 精神病院に入ってピストル自殺するまでの、最晩年の時期の作品の中には痛々しくて、 思わず目を伏せてしまうようなものもいくつかあります。 「曇り空の下の積み藁」 あれほど明るい空の下、風にそよいで、金…
農を描いたゴッホの作品や、彼が手本にしたハーグ派の作品を見た後に印象派の作品を見ると、 思わずその色彩の明るさに目を奪われます。 おそらくゴッホもそうだったに違いありません。 「オワーズ河岸の風景」セザンヌ このセザンヌの作品は、彼としては特…
「糸杉」ゴッホ 名画とは何か。 人によって定義はそれぞれでしょうが、自分的に言えば、 名画であることの説明のいらないもの。 色々調べたり教えてもらったりして、ああ、なるほどと納得するものではなく、 見た瞬間、自分の心の奥にズドンで入ってくるもの…
農業に携わる人々を描くことはゴッホの大きなテーマのひとつとなっています。 農民画家ミレーの影響を受け、彼の作品を模写したり、創作を加えた作品は有名ですが、 ミレー「種をまく人」 ゴッホ「種をまく人」 この美術展では、ゴッホが影響を受けたと思わ…
先日行って参りましたゴッホ展。 https://go-go-gogh.jp/ そこで見た印象に残った作品のいくつかを紹介したいと思います。 ゴッホといえば、絵の具をキャンバスに叩きつけるような 力強い独特の画風がイメージされますが、 まず第1回目は、ゴッホ展で見た…
オランジュリー美術館展で、ルノワールの作品が飾ってある部屋に入った瞬間、 A さんの足がピクリと止まって、あっ!?と小さくつぶやきました。 「どうかした?」と尋ねると一言「格が違う。それを感じた。」 彼女が足を止めた作品はこちらです。 ルノワー…
今日本で大人気のラグビーワールドカップ。 重量級の選手同士がぶつかり合うパワーとスピード。 こういうぶつかり合いのスポーツは体格の劣る日本人はどちらかというと不得手なはずですが、 今回の日本代表の善戦と相まって、ラグビー人気は裾野を確実に広げ…
「ピアノを弾く少女たち」ルノワール 絵画のテーマには「手紙を読む人」「本を読む人」 というものがあり、好んで描かれます。 構図的には似たような感じの絵になってしまうので、描く方としてもあまり面白くないんじゃないかなと邪推しがちですが、 手紙や…
昨日、オランジュリー美術館展に行ってまいりました。 オランジュリー美術館はパリにある美術館ですが、 もともとテュイルリー宮殿のオレンジの温室だった建物を改装して作られたそうで、 オランジュリー、つまり「オレンジの温室」の美術館という意味なんで…
今までの記事で、 一緒にいたいと思う人と一緒にいることが人間にとって最上の幸せということ。 これが、高畑勲作品の一貫したモチーフではないかという話をしました。 それに真っ向から立ちはだかるもの、それが戦争です。 ひとたび戦争が起これば、家族は…
孤児だったアンは、母をたずねて三千里のマルコの愛しいお母さんのような存在はいませんでした。 しかしながら、グリーンゲイブルズに来て、マルコとお母さんの関係にも劣らない、 いつまでも一緒にいたいと思う人達と出会うことになります。 どうしてアンは…
セロ弾きのゴーシュ オーケストラに所属するチェロ弾きの青年が、どうしても上手く弾くことができず、 仕方なく夜一人で練習に励んでいると、 そこに夜な夜な色々な動物が家に現れ、 一緒に音楽を練習し、音楽に目覚めて行くというお話。 ゴーシュとはフラン…
今回はシェーンベルクが自作の絵にも描いたアルバン・ベルクの作品について 実際のアルバン・ベルクはこんな人です。 品のいい優男風イケメンですね。 今回は、このイケメンが作曲した、変な音楽についてですが(^_^;) とっつきにくい彼の作品の中では ヴァイ…
ウィーン・モダン展で見たシェーンベルクの肖像画 自分は、シェーンベルクの作品については、 あまり好んで聴くという感じではありません。 その作品の印象を一言で言うと、キーとかギャーと響いて人を不安にさせる音楽(笑) しかしながら、じっくり聴き込…
今回はウィーン・モダンの番外編として、ウィーンを彩った作曲家たちをお送りします。 まずはシューベルト。 クラシックの醍醐味は演奏によって曲の表情が変わるということ。 ちょっと無理矢理、読書に例えますと、外国文学の翻訳によって作品の印象が変わ…
ウィーン華やかな時代、クラシック音楽も大きく花開いていました。 ウィーンのクラシック音楽と聞いて、 まずピンとくるのは、ウィンナーワルツでしょうか。 ウィーンのニューイヤーコンサートの華やいだ雰囲気は独特のものがあります。 ラデツキー行進曲 …
独特の黄金様式の画風を持つクリムトですが、 最初はこのような古典的な作品も描いていました。 「寓話」 18世紀の著名な画家が描いたと説明されても、 そのまま信じてしまうような完成度の高い作品です。 「牧歌」 ルネサンス期のミケランジェロやラファエ…
「黄色いドレスの女性」マクシミリアン・クルツヴァイル アンニュイな表情に、ソファーに両手を広げて腰かける、 ちょっと挑戦的な雰囲気の女性。 彼女が纏う、目の覚めるようなイエローのドレス。 遠目からでもこのイエローのドレスの色が鮮烈にパッと目に…
前回紹介したハプスブルグ家の帝王の時代の工芸品の数々。 素晴らしい工芸品というものは一目で見る者を惹き付け、虜にしてしまう力があるものです。 今回の展示はそういうものが幾つもありました。 18世紀末のアントン・グラッシによる美しく可愛らしい彩…
19世紀末から20世紀初頭にかけてウィーンで活躍したクリムト展に行って間もないのですが、 ほぼ同時期に六本木の国立新美術館で、 ウィーン・モダンと題して、クリムトと同じ時期、ウィーンに花開いたさまざまな絵画や グラフィック、工芸、ファッション、音…
1年くらい前の話になりますが、自分は、前の記事にも出てきたA さんと、 「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」 という美術展に行きました。 ベラスケスというのは、スペインのハプスブルク家に仕えた宮廷画家で、 マルガリータ王女を描いた作品が有…
人物紹介 もぞ: 勇ましい女子ばかりといつも縁がある 優しきおのこ Aさん: 暴れ馬、おきゃん、お転婆、はねっ返り その全ての名称が当てはまる女子 感性の切れ味は鋭い 弱点は暑さに弱い A さん、この間三国志展行ってきたから、 はい、これお土産。 何こ…
特別展 三国志最後の記事となります。 自分と三国志との出会いは小学生の頃、横山光輝三国志の漫画でした。 学校に漫画を持っていますと、たちまちクラスの男子の間で回し読みとなり、 ちょっとした三国志ブームに。 小学校の卒業文集には尊敬する人、諸葛孔…
三国志の時代、というと日本では卑弥呼の邪馬台国の時代に当たります。今回の特別展 三国志では当時倭国と言われた日本にゆかりの深い物も展示されていました。 魏志倭人伝は次のように言います。 今、汝を以て親魏倭王と為し、金印紫綬を授ける。(中略)ま…
三国志の逸話は山のようにあっても、 出土物は極めて少ないと言われるこの時代。リアル三国志を求めて特別展 三国志に行ってきました。https://t.co/L7OP84lvUb 前回の記事で予告した、古代然とした風俗の中で、ひときわ合理的だった技術とは何か? やはり目…
これは一応、自分です(笑)この特別展 三国志では武将メーカーという、写真を取り込んで三国志風の人物に仕立ててくれる遊びがありまして、独りやってみて悦に入るところがあります。三国志好きの皆さん、ぜひやってみてください。https://sangokushi-maker…
さて、5月に行ったクリムト展の記事も書き終わり、 次は何に行こうかというところですが、今まで記事に書いたことのない、ちょっと変わり種ですが、こちらに行こうと考えています。 三国志 特別展https://sangokushi2019.exhibit.jp/ そもそも自分の知って…
「女の三世代」 クリムト展に行く前までは、この絵を見るのを一番楽しみにしていました。ある意味、前回記事を書いた「ユディト Ⅰ」よりもこちらの方が好みだと思っていたのですが、実物を見てちょっと印象が違いました。 この作品、手前には眠るように安ら…
「ユディト Ⅰ」 クリムトの代表作の一つ。 今回のクリムト展のポスターでも使用されていましたが、 自分はあまり、この作品にピンと来ていませんでした。 しかし、本物を目の当たりにして、金色に彩られた女性の表情がなんと悩ましく妖艶で美しいことか。 …
クリムト「ベートーベン・フリーズ」 これは一枚の作品ではなく、長い方形の部屋の三面の内壁に描かれた作品です。 その全容については、こちらの映像をご覧になってください。 第一の壁に幸福への憧れを象徴する精霊が現れる ひざまずく男女は弱い人間の苦…