らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

太宰治

「一歩前進二歩退却」太宰治

https://www.youtube.com/watch?v=pEQEiCEZ0Fc一日一歩 三日で三歩三歩進んで 二歩さがる♪昭和の歌謡曲にこのような歌詞がありますが、これは人生後ろに下がることもあるけれども、地道に一歩ずつ歩んで前向きに生きて行こうという意味合いのものです。 これ…

「ア、秋」太宰治

太宰治という作家は、季節感をモチーフに作品を書くような人ではありません。中には季節にかこつけて題名をつけている作品もありますが、いわゆる季節の風情を愛でるという感は乏しく、言ってみれば、太宰治が嫌いな人にとっては、ひねくれた、好きな人にと…

「右大臣実朝」太宰治

これはなかなか凄い作品です。多くの太宰作品の中でも、傑作のひとつといってよいかもしれません。何が凄いか。主人公源実朝の生きざまということよりも何よりも、まずもって、この作品を描いた太宰治にただならぬ凄みを感じます。青空文庫にして400ページの…

「雪の夜の話」太宰治

先週、横浜にも雪が降りました。そこで雪を題名にもつ作品を何か読んでみようと思い、目に留まったのが、この太宰治の小説。へえー、太宰治、こんな作品も書いていたんだと、読み始めると、何かちょっと文体の口調に妙な違和感があります。なんといいますか…

もうひとつの「走れメロス」…壇一雄「小説太宰治」より

先日、「走れメロス」の記事を掲載しましたが、実は作者の太宰治自身、かつて実際に「走れメロス」のような体験をしたことがあった…というお話を今回してみようと思います。結構有名な話なので、ご存知かもしれませんが。それはこのようなお話です。ある時…

「走れメロス」太宰治

「走れメロス」は、太宰治の代表作とされる作品ではありますが、その寓話的内容から、どちらかというと青少年向けの作品と評価されることが多いようです。自分が初めてこの作品を読んだのは、中学生くらいの頃だったでしょうか。その時の感想はメロスとセリ…

「母」太宰治

この物語、「私」が戦時中、津軽の生家で、疎開生活を送っていた時の話ということですから、主人公の「私」とは、作者太宰治そのものであるのでしょう。しかしながら、そうは言っても、ここに描写されている出来事が全て、太宰治が実際に体験したことかとい…

「人間失格」前編 太宰治

まずお断りですが、この記事の「弱さ」については、「人間失格」の主人公葉蔵に関するものであり、他の一般の人はおろか、直接的には太宰治に関するものでもありません。しかし究極に「弱さ」に陥った者の描写であると感じます。それを念頭に置いて記事を書…

「人間失格」太宰治 を読むにあたり

太宰治というと、「あんなに弱くて純粋な人はいない」という人もあれば、「人の心をもてあそぶ自己中心のろくでなし」という人もあります。どちらが正しいのでしょうか。自分的には、どちらも正しい、正確にいえば、どちらも間違いではないと思っています。…

「散華」太宰治

この作品は、太宰治が、二十代半ばで若くして亡くなった、2人の友人の死に様について語った作品です。冒頭で、「「玉砕」はあまりに美しい言葉で、私の下手な小説の題などには、もったいない気がして来て、題を散華(さんげ)と改めた」などと述べています…

「川端康成へ」太宰治

先日、芥川賞の発表がありました。今回の受賞者の田中慎弥氏はかなりユニークな方のようで、「辞退してやってもいいくらいだが、一応もらってやる」というような発言をしたとかしないとか。この話を聞いたら、どういう反応をしたかなと思わず想像してしまっ…

「富嶽百景」太宰治 おまけ

昨日「富嶽百景」太宰治の記事を掲載しましたが、実はこの作品、今回初めて読んだものではありません。実は高校1年の時国語の教科書に載っており、ひと通り授業で学習した作品なんです。長い年月を経て、なぜこの作品が記憶に引っかかっていたかというと「…

「富嶽百景」太宰治

太宰治が心中未遂やら離婚で心身共にぼろぼろになり、機一転のため甲州に滞在し、数ヶ月間富士と向かい合って時を過ごすことになる。基本的に作者は富士が嫌いらしい。冒頭、実際の富士の姿を鈍角でのろくさで、決して浮世絵に描かれているようなすらと高い…

「お伽草子 カチカチ山」 太宰治

自分としてはあまり男だ女だと男女峻別論を採りたくはないが、現実問題として男性のみがわかる趣向、女性のみがわかる趣向というものは確実に存在する。例えば女性のみがわかる趣向としてはドラマ「SEX AND THE CITY」「デスパレートの妻達」といったもの。…

「お伽草子 浦島さん」追記 太宰治

【字余りのうた】の記事でも申し上げましたが、NHKで放送されている「日めくり万葉集」を毎日視聴しています。その中でいわゆる浦島伝説に関する長歌が紹介されていました(巻9 1740 高橋虫麻呂)。五七調のリズミカルなテンポで話が進み声に出して…

「お伽草子 浦島さん」太宰治

今回は「浦島さん」です。「お伽草子」はイメージ的には酒場かバーで太宰治と一緒に飲んでいて「太宰、またこの前みたいな面白い話一丁してくれよ」「よしきた、それじゃあ今日は浦島太郎だ」てな感じで彼の周りにみんな集まってわいわい耳を傾ける的な楽し…

「御伽草子 瘤取り」太宰治

実を言うとブログで太宰治作品の感想はあまり書きたくありませんでした。というのは作品外の作者の情報が出回り過ぎて読む時にそれに引きずられてしまい作品そのものを味わうことがなかなか難しいからで、どうしても太宰治の一連の言動行動のフィルターを通…