2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧
昭和22年に冷凍カプセルに入った少年が、30年後の昭和52年に目覚めて、その世界をかいま見るという物語。昭和52年というと、自分は既に生まれていて、それなりに物心もついていました。母親(親バカ)に言わせると、小さい頃は、那智黒のような黒い…
そのとき西のぎらぎらのちぢれた雲のあひだから、夕陽は赤くななめに苔の野原に注ぎ、すすきはみんな白い火のやうにゆれて光りました。晩秋の、非常に色彩豊かな、絵画的ともいえる美しい描写で始まるこの作品。苔の野原の夕陽の中で、すきとほつた秋の風か…
先日、宮澤賢治「セロ弾きのゴーシュ」の記事で、ゴーシュとは、フランス語で、左利きのことをいい、転じて不器用の意味があるということを申し上げました。そうしましたら、左利きは不器用って、フランス人は左利きの凄さを知らないの?!というツッコミを…
この前の記事で述べましたように、宮澤賢治はクラシック音楽を大変愛好しており、自らもチェロをたしなんでいました。東京に出て、短期の個人レッスンなど受けたこともあったようですが、普段は我流で練習せざるを得ず、腕前は、どうも今ひとつだったようで…
宮澤賢治は、農学校に勤めるようになって、同僚の音楽教師と出会い、その縁でクラシック音楽に触れるようになりました。賢治25歳くらいの時で、最愛の妹トシの死の前後であったといわれます。賢治は、特にベートーベンが大好きで、ベートーベンの交響曲な…
皆さんは、自分のテンションが低い時、どのようにしてモチベーションを上げておられるでしょうか。もちろん、そのまま自然のままに…という方もいらっしゃると思いますが、どうしても仕上げなければならない仕事や勉強がある場合には、そういうわけにもいき…
この作品は、当時無名だった菊池寛が、中央公論の編集者の目に止まり、その名を、世に初めて知らしめた最初の作品です。この物語を一言で言うと、互いに、しのぎを削りながら、文壇で名を成すことを目指す仲間同士の人間模様を描いたものといったところです…
今回は「同詩異曲の魅力」をお送りします。スターバト・マーテルという詩があります。邦訳すると「悲しみの聖母」。中世の13世紀に創られた詩です。悲しみの母は立っていた十字架の傍らに涙にくれ御子が架けられているその間呻き悲しみ歎くその魂を剣が貫…
現在、純文学最高峰の賞といわれる芥川賞を創設し、「文藝春秋」の創設者でもある菊池寛が書いたエッセイ。菊池寛といえば、作家としての力量は、夏目漱石、芥川龍之介らの一流の面々と並べられるとそこそこ程度に甘んじてしまいますが、プロデューサー、つ…
桃色のたなびく雲の流れたる花の香(か)に誘われ我(わ)も流れてゆかん もぞ画像も歌も今ひとつのような気がしますが、久々に朝の散策で創ったので、とりあえず載せてしまいました。急いで見晴らしのいい場所に移動したのですが、着いた時には、もうすっか…
クラシック音楽を定義すると、西洋の芸術的音楽のこと、となるようです。芸術的って何だ?というと大衆的ではない(=ポップスではない)音楽のことだそうです。ポップスは芸術的ではないと言われると、少々物言いもつけたくなりますが、どちらのカテゴリー…
時は昭和二十年代半ば。主人公の青二くんは、親思いの、とても気だてのよい少年です。年の頃、中学入る前後くらいでしょうか。ある日の夜、少年は、夜勤の父のためにお弁当を届けに行き、その帰りに不思議な猫を見つけます。目玉だけが光って、体の部分が透…