らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

か行の作家

【猫】梶井基次郎「愛撫」の猫可愛がりやってみた

「檸檬」で有名な梶井基次郎の猫可愛がりの作品「愛撫」。 その最後のくだりの部分。 私はゴロッと仰向きに寝転んで、猫を顔の上へあげて来る。二本の前足を掴んで来て、柔らかいその蹠(あしのうら)を、一つずつ私の眼蓋にあてがう。 快い猫の重量。温か…

「Houichi without ears(耳無し芳一)」Koizumi Yakumo 小泉八雲

この間、世界に通用する日本のアニメーションということで高畑勲展の記事を書きましたが、 同じ芸術部門でも日本文学というのは、まだまだ世界に知られていないように思います。 来年は東京オリンピックで、世界の注目は日本に集まりますし、 優れた日本文学…

「鉄塔 武蔵野線」銀林みのる

こちら今日の仕事の出先で見つけた、 高圧線の電線。 道路にまたがっている感じで、 非常に珍しいですね。 真下から見上げた図。 太陽が眩しすぎてクラクラしましたが(^_^;) まるで蜘蛛の巣を思わせる幾何学的な雰囲気があります。 そういえば、 数年前に小…

「田原坂合戦」菊池寛 補足

かち合い弾田原坂の古戦場で多数発見されるもので、至近距離で鉄砲を打ち合ったため、鉄砲の弾丸と弾丸が正面からぶつかり合って一緒にひしゃけたもの。田原坂の熾烈な戦いを象徴しています。前回、菊池寛「田原坂合戦」の記事を書きましたが、記事から外す…

「田原坂合戦」菊池寛

今年の大河ドラマ 「西郷どん」。その主人公は明治維新の元勲西郷隆盛であるわけですが、その西郷の最後の戦いが西南戦争であり、 西南戦争で最も激戦だったのが田原坂の戦いでした。明治10年2月、鹿児島を出発した西郷軍1万4千は北上し、まず熊本城を…

「愛撫」梶井基次郎(2)

今回の「猫」のテーマは梶井基次郎「愛撫 」。梶井基次郎の作品といえば、「檸檬」がよく知られていますが、実はこの「愛撫」、以前に読んで記事にしたことがあります。前に読んだ時には、まだランスを飼っていませんでした。当時は、作者の描写する猫の可愛…

「東漢の班超」桑原隲蔵

中国は数千年にわたる長い歴史を経てきており、その間に様々な人物を輩出していますが、今日は班超という人物を紹介します。この作品は、明治時代の歴史学者である著者が、班超の功績について述べたものです。班超は今から約2000年前、後漢の時代の人で、そ…

「雪女」小泉八雲 おまけ

前回、小泉八雲の「雪女」の記事を書きましたが、意外と人間くさいところが多い雪女に、他の人がどういう感想を持っているのかと思い(特に女性)、知り合いに感想を求めました。雪女の話って知ってる?と尋ねますと、だいたい知っている。とのこと。そこで…

「雪女」小泉八雲

前回予告したように、2月は「雪」というタイトルの小説を読んでいきたいと思います。今回の作品は小泉八雲「雪女」。雪女といいますと、普通はこんな感じかと思います。髪の毛は長く、肌は雪のように白く、雪がモチーフなだけに全てが白く覆われているイメ…

「春の朝」金子みすゞ

春の朝すずめがなくな、いいひよりだな、うっとり、うっとりねむいな。上のまぶたはあこうか、下のまぶたはまァだよ、うっとり、うっとりねむいな。春眠暁を覚えずと昔の中国の詩人は詩に詠みましたが、金子みすゞのこの作品は、それを優しく柔らかく描いた…

「幼年時代」柏原兵三 教科書名短篇より

物語に出てくるエダムチーズこれは中学の教科書に載っていたのをよく覚えています。なぜ、記憶が鮮明かといえば、物語の中で、父の書斎にあったチーズを、兄弟達がこっそり食べてしまうエピソードがあるのですが、そのチーズが美味しそうで美味しそうで(笑…

「実朝」小林秀雄

小林秀雄原稿源実朝について何かひとつと問われれば、自分は、この小林秀雄の「実朝」を薦めます。小林秀雄というと、独特のクセのある文体で、それだけで嫌になってしまうところがありますが、この作品については、彼にしては読みやすい方です(笑)この作…

「東夷(あずまえびす)」海音寺潮五郎

保元の乱の様子東夷とは、古くは中国で使用された東に住む未開の野蛮人という意味で、転じて、日本でも使われるようになりましたが、ここでは関東の田舎者というくらいの意味でしょうか。時代は平安末期、保元の乱の頃、関東の二人の若い武士国高と正成が登…

「ゴッホの手紙」後編 小林秀雄

「グラスに入れた花咲くアーモンドの枝」後編です。日本人というのは素直な気性の人々です。アクのある、エグい癖の強い人というのは、そうは見かけません。しかしながら、この日本人の素直で従順な気質が、文芸評論を読むに際して、大きくマイナスになって…

「ゴッホの手紙」前編 小林秀雄

「ヴィンセントは何と沢山な事を思索して来たろう、而も何といつも彼自身であったであろう、それが人に解ってさえくれれば、これは本当に非凡な著書となるでしょう。」弟テオが母に宛てた手紙より長らくゴッホの手紙について綴ってまいりましたが、ここにも…

「ゴッホの手紙」番外編 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

少し前に「ゴッホの手紙」について記事を書きましたが、そこで紹介した手紙は、紙面の都合上、どうしてもゴッホの人生の根幹に関わるものに限定されてしまい、その他の興味深いものが漏れてしまっていました。漏れた手紙の中には、ゴッホの考え方、感じ方に…

「ゴッホの手紙」4 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

ゴッホ最後の作品「カラスの群れ飛ぶ麦畑」この作品から感じ取れる尋常ならざる寂寥感と孤独。極めて荒いタッチから醸し出される、ある種の生々しさ。アルルの破綻から1年半がたった或る夏の日、ゴッホは麦畑の中で絵を描いていた最中、自分の胸を銃で撃っ…

「ゴッホの手紙」3 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

アルルに移り、ゴーギャンとの共同生活を始めたゴッホでしたが、その生活は、わずか1か月足らずで挫折しました。個性の強い芸術家同士の共同生活というのは、はじめから無理があったのかもしれません。「二人の議論は恐ろしい電気の様だ。それが終わると、ま…

「ゴッホの手紙」2 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

http://imgc.allpostersimages.com/images/P-473-488-90/21/2130/LGLED00Z/posters/%e3%83%b4%e3%82%a3%e3%83%b3%e3%82%bb%e3%83%b3%e3%83%88-%e3%83%b4%e3%82%a1%e3%83%b3%e3%83%bb%e3%82%b4%e3%83%83%e3%83%9b-the-red-vineyard-at-arles-c-1888.jpg 「赤…

「ゴッホの手紙」1 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

ヴィンセントヴァン・ゴッホ自画像ゴッホというと、皆さん、どのようなイメージをお持ちになっているでしょうか。あの絵の具を叩きつけるような独特な画風。一目でゴッホの作品だとわかる 強烈な個性を持った作品の数々。そして、その強烈さゆえに自分の耳を…

「鉄塔 武蔵野線」銀林みのる

今夏休み真っ盛りです。小学生にとって夏休みというのは、大いなるロマンをかき立てられる時空間です。冒険心をくすぐる、何かが起きるような予感がする、そういう思いにずっとワクワクしていられる、夢のようなひとときです。自分が小学生の時、堤防の土手…

「猿かに合戦」楠山正雄

2月は「恋」をテーマに色々記事を書いてきましたが、3月はがらっと変わりまして今年の干支にちなみ、「猿」をテーマにお送りしたいと思います。猿が登場する昔話といえば、やはり猿蟹合戦。この猿は、カチカチ山のたぬきと並んで、極悪非道なキャラとして描…

「恋を恋する人」国木田独歩

国木田独歩は代表作「武蔵野」で知られる作家ですが、武蔵野における里山をつぶさに訪ね歩いて描写した武蔵野の自然の清々しい空気感のようなものが非常に印象に残っています。今回の作品の舞台はおそらく伊豆箱根あたりの温泉街なのですが、冒頭のなにげな…

「こよみと時計」金子みすゞ

こよみがあるからこよみをわすれてこよみをながめちゃ、四月だというよ。こよみがなくてもこよみを知っててりこうな花は四月にさくよ。時計があるから時計をわすれて時計をながめちゃ、四時だというよ。時計はなくとも時計を知っててりこうなとりは四時には…

「石を愛でる人」小池昌代

今、私立大入試の真っ最中で、受験生の方々もさぞかし大変かと思います。しかし、春はすぐそこまで来ていますので、どうか最後の最後頑張ってください。 さて、今年もチャレンジしました、先月実施されましたセンター試験国語の小説文の問題。ここのところ…

「数の子は音を食うもの」北大路魯山人

お正月が過ぎ去ってもう久しい感がありますが、まだ1月で、1ヶ月も経っていないんですよね。。今回は去り行くお正月を惜しみ、おせち料理の話を少々。お正月のおせち料理の中で何が好きだと問われれば、自分が真っ先に思い浮かぶのは、栗きんとんと数の子…

「おべんとうばこのうた」作詞 香山美子  作曲 小森昭宏

先日、会社の休憩室でお昼を食べていましたら、例のあのMさんとたまたま相席になりました。今はお互い働いているブースが違うので、今年はじめておしゃべりしたわけですが、あけましておめでとうの挨拶から始まり、正月は何をしていたかとかいうような諸々…

「梅にうぐいす」北大路魯山人

世の中、グルメブームといわれて久しく、ブログなどの記事を見ても、何を食べに行ったとか、何を食べたというような、グルメの記事がいつも場を賑わしています。自分は・・・といいますと、いつもご飯に赤味噌汁、ぬか漬に焼き魚がベースですので、なかなか…

「夢占」楠山正雄 おまけ話

先日お話しました「夢占」のお話。記事のコメント欄では、動物も夢を見るかという話題が出ましたので、ここでは古今東西の夢にまつわる話をしようと思います。20世紀になって、フロイトが現れるまで、夢というのは天からのお告げ、いわゆる予知夢として捉…

「夢占」楠山正雄

8月も半ばを過ぎて、今月まだ1つも本を読んでいないことに気がつきました(-o-;)ここは、一応、文学のブログですから、やはり最低でも月に1つは読まないと。ということで今回読んだのは「夢占」楠山正雄(青空文庫収録)。これでも1作品にカウントするの…