2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧
いつもブログを読んでいただいてありがとうございます。2月もあっという間に終わってしまいました。今月は芥川賞候補作家久坂葉子さんの作品から始まりました。正直作品というよりその衝撃的生涯が読むきっかけだったのですが、死の前日に完成した「幾度目…
子規は専ら万葉集を愛読研究し古今和歌集以降を重要視するに当時の傾向に批判的であったという。ここでは万葉集の中から何首か抽出して解説を加え歌を詠むときの心得を説いている。明治期というのは開国以来の西洋化ブームで短歌俳句の類は古きものとして打…
この間ブログを読んでくれている知り合いが「もたんもぞさんって読書したりブログ書いたりする時間がたくさんあるんですね。」と満面の笑みで褒めてくれました。悪意なく純粋に褒めてくれたと判断し許します笑その人は作品を読み終わってその感想を書いて、…
「一輪花瓶に挿した東菊」図柄としては極めて単簡な者。これが子規が親友漱石に残した唯一の自筆の絵であるそうだ。どんな絵か見たくてネットで調べてみたが該当がない。漱石私有でその死後どこかへいってしまったのか今となっては見ることができない。漱石…
自分はつい数年前まで夏目漱石と正岡子規が大学時代からの友人だということを知らなかった。知ったきっかけは司馬遼太郎「坂の上の雲」を読んだことから。ただこの小説は秋山好古真之兄弟が主人公のため、子規と漱石の交友関係については一歩譲るところがあ…
http://ecx.images-amazon.com/images/I/51ATiDtUHRL._SL500_AA300_.jpg 1996年監督:神山征二郎脚本:進藤兼人出演:三上博史 酒井美紀 仲代達矢 八千草薫 牧瀬里穂 中山忍1996年は宮澤賢治生誕百年記念だったそうでそれを記念する映画もいくつか…
今日は宮沢賢治が書いた深刻な食料不足におちいった軍隊の話です。かろうじて部隊は全滅を免れるも兵士はみな飢えかかってへとへとになっている。しかし大将だけは食料は豊富。そこで下士官の曹長が兵士の命を守るため重大な決断をする。宮沢賢治がこんな話…
自分が小学校6年の時、教務主任の先生が、授業の余った時間でよく短編の小説を朗読してくださった。芥川龍之介「トロッコ」もそのひとつで、 懐かしさのあまり、先生のおっしゃっていたことを思い出しながら、小学生以来読んでみた。それにしても芥川龍之介…
冬はつとめて雪の降りたるは言ふべきにもあらず「枕草子 第一段」昨日夜から自分の住んでいる地域でも雪がしたたか降りました。朝早く出かける用事があり5時すぎに起きたのですが窓の外は一面水墨画の世界。こういう場合は一面の銀世界というべきなのでしょ…
文学でも絵画でも音楽でもそれの持つ力に触れた瞬間、雷に打たれるようなしびれるような衝撃を受けることがあります。自分の中のその一つが今回紹介する「いろは歌」。当時の47音を重複させないで、全てを使って作られたという超絶技巧もさることながら、…
この文章は久坂葉子さんが本来の川崎澄子に戻って久坂葉子という存在を論じたものです。彼女の作品は順に「入梅」「落ちてゆく世界」「灰色の記憶」「華々しき瞬間」「幾度目かの最期」となりますが「落ちてゆく世界」で芥川賞候補になり意欲的に「灰色の記…
先日仕事で小田原市役所に出向いたのですが、1階ロビーに地元の小学生が郷土の偉人二宮金次郎について調べた壁新聞が貼ってありました。それによると二宮金次郎182センチ94キロO型。で、でかい…二宮金次郎って子供の頃苦学したイメージなので背が高い印象…
一発で題名と作者名が読めた人はかなりの実力です。正解は「はものかわ」「かみつかさしょうけん」。ほとんど忘れられた作家といえるかもしれません。自分も今日まで知りませんでした。大阪の道頓堀で鰻屋を営む女将お文のなにげない一日を描いた物語ですが…
森鴎外というと夏目漱石と並び日本の小説家の代表として必ず挙げられる存在ですが今ひとつなぜか縁遠い地味な印象があります。 かく言う自分も避けてきたわけではないのですが学生時代じっくりと読んだ記憶があまりありません。 三鷹の禅林寺には太宰治の向…
直木賞というと芥川賞と並ぶ文学賞の双璧で誰もが認知しているという感じですが、その沿革となった作家、直木三十五の作品を読んだことがある方は、それほど多くないのではないでしょうか。そもそも直木賞は純文学に与えられる芥川賞に対し、大衆文学に与え…
昼間ですが遠くに並んだ高圧線塔が巨人の行進に見えませんか?夜はもっとそれっぽく見えます。賢治の時代は背の低い木の電柱でもっと密間隔だったので、だだっ広いところでは月夜の下兵隊が行進しているように感じたのでしょう。 もっとそれっぽい画像があれ…
三日連続で久坂葉子さんになってしまいましたが、小説家としての彼女の力量を垣間見るまではと今回選んだのは「入梅」です。この物語はいろいろな人のいろいろな人への想いが交差します。自分の死んだ夫に対する想い、年老いた使用人の亡き妻への想いまた若…
昨日に引き続き久坂葉子さんの「作品」です。今回紹介する「幾度目かの最期」を書き上げたその日に彼女は自殺しました。死の本当の直前に書かれたものなので彼女の人生の本質にかかわる核心部分の心情が吐露されているのではないかと思い読んでみました。文…
いつもブログを読んでいただいてありがとうございます。今年1月からスタートしましたが予想以上にいろいろな作品が読めて喜んでいます。1月特に印象に残った出会いとしてはまず芥川龍之介と宮沢賢治の素晴らしさに今更ながら気付いたということが挙げられ…
彼女については全く未見でしたが、ウィキペディアで経歴を見ると「19歳で芥川賞候補となり、4度の自殺未遂の末、21歳の大晦日に阪急六甲駅で鉄道自殺」とあります。なんとも短くも激しい人生を送った女性がいたものだと思います。 「落ちていく世界」は…
予想外に前後編になってしまいすみません。「フランダースの犬」は小説としては必ずしも一流でないかもしれませんが、日本のある特定の年代に深い印象を与えてきたことは間違いないでしょう。自分もその中の一人で子ども時代からの総まとめみたいな感じで書…
本日は菊池寛訳「フランダースの犬」。日本で最も人気がある物語のひとつでしょう。昔読んだ翻訳家の訳本と内容が少し異なるような気もしますが、明治を代表する小説家菊池寛が、オリジナルに多少アレンジを加えて翻訳しているようで、通常の翻訳児童文学と…