らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

2012-01-01から1年間の記事一覧

【映画】ライフ・イズ・ビューティフル 「凧になったお母さん」エピローグと共に

さて、この「凧になったお母さん」の物語ですが、「火垂るの墓」同様、助かって欲しいと願う登場人物が、全て死んでしまい、ある意味、救いがない結末といえます。ネットのレビューなどを見ますと、戦争が母親と子供を殺したトラウマとなるような話で、児童…

「凧になったお母さん」原作 野坂昭如

野坂昭如氏は、自らの戦時体験(終戦時15歳)を基にして、いくつかの戦争童話を書いています。これはその中の一編です。野坂氏の作品は青空文庫等では見ることができませんので、まず今回はあらすじベースで記事を書きます。なお、原作をアレンジしたアニ…

「原爆小景」原民喜

戦争が市民に対し、いかに酷い結果をもたらすかについては、現在、様々な媒体を通して、目にすることができます。主なものとしては、ビデオ映像や写真などでしょうが、その他には、絵というものもあります。自分が広島に行った時、原爆資料館で、被爆者が描…

「オリンポスの果実」田中英光

ただ今、ロンドンオリンピック真っ盛りで熱戦が続いていますね。ところで、オリンピックをテーマにした小説があるのか?と問われれば、実は、これがあるんです。田中英光という作家の「オリンポスの果実」という作品なんですが、作者自身、1932年のロス…

「ハナとタマシヒ」平山千代子

平山千代子さんの作品は、これまでにも、いくつか紹介してきましたが、どの作品も、屈託のない、無邪気な十代の女の子らしい初々しさにあふれています。文章だけみると、現代のブログに掲載されていても、違和感のない、時代を超えた瑞々しさを保っています…

【閑話休題】夏祭りのお話三編

皆様に暑中お見舞い申し上げます(^^)今日は夏らしい?夏祭りにまつわる話でお楽しみください(^_^;)その1「全員で守れ」小学6年生くらいだった時、友達数人と、近所の神社の夏祭りに行った。祭りには、たくさんの夜店が立ち並び、大変な賑わいをみせていた…

【7月総括】

ロンドンオリンピックも始まり、暑く、かつ熱い夏が本格的になってきました。オリンピックはアマチュアの大会であるのに、なぜ多くの人が魅入られるか。それは競技者が、純粋に自分の肉体の可能性をギリギリまで追究し、真摯に競い合う姿が、人々の心を打つ…

【閑話休題】お寺の魔術

もう子ども達は夏休みですね。自分の子ども時代の夏休みは、毎年のように、岐阜の父の実家のお寺に遊びに行って、いとこ達と虫取りをしたり、夏祭りで花火を見たり、夜店でワタアメを買ったりするのがとても楽しみでした。あれは自分が小学校1年生くらいの…

「美術上の婦人」岸田劉生

いわゆる「麗子像」で有名な画家岸田劉生(前掲自画像)は、美術にとつて人物を描くという事は、面白いと同時に、難しい事で、古来から美術作品中、その美的内容の最も深いところのものは、人物画に尽きると言います。すなわち、それは、人の顔が実に複雑で…

【テレビ番組】エースをねらえ!

父が倒れて以来、既に何度か、実家に帰省しています。なにせ父の病がらみなので、どうしても気が重いんですけれども、必ずしも悪いことばかりではありません。実は、弟の子供、自分からは姪っ子にあたる小学5年の女の子が、テニスが素晴らしく上手く、クラ…

「飴だま」新美南吉

春の暖かな日に、2人の小さな子どもをつれた女の旅人が渡し舟に乗る。そして遅れてやってきた侍を乗せ、舟はゆっくりと岸を離れる。春のぽかぽかと暖かい、穏やかな、時間がゆっくりと流れゆくような感覚。まるで春の温(ぬる)んだ川の流れのように。その…

【絵画】「雪中雄鶏図」他 伊藤若冲

http://www.kyoto-artculture.com/works/detail/img/10_rooster_in_the_snow_img.jpg 先日、横浜のそごう美術館にて「琳派・若冲と雅の世界」という展覧会に行ってきました。http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/12/0526_hosomipart2/index.h…

【映画】千と千尋の神隠し 後編

後編です。千尋が油屋で懸命に働いていたある日、竜の姿のハクが傷だらけの瀕死の重傷を負ってしまいます。千尋は、ぐったりしているハクを見て、もはや、おろおろしたり、めそめそしているだけの女の子ではありません。ハクを助けるため、苦団子、それは河…

【映画】千と千尋の神隠し 前編

宮崎駿作品で、何が一番好きかというようなアンケートをすると、上位にくるのは「もののけ姫」「となりのトトロ」辺りのようです。しかしながら、宮崎駿作品で、自分のイチ押しは「千と千尋の神隠し」なんです。ご存知の方が多いとは思いますが、簡単にあら…

【人物列伝】21 孟嘗君(もうしょうくん)後編

続きです。天下の士は争って孟嘗君の元に集い、その数およそ数千。孟嘗君のいる斉の国の勢いは益々盛んになり、その名声は諸侯に伝わってゆきました。秦の昭王(始皇帝の曾祖父)はその噂を聞き、孟嘗君を秦の国に招きました。ここから前編冒頭で述べた清少…

「三つの願い(愚かな願い)」シャルル・ペロー

今日、仕事で、出先からファックスする用事がありまして、コンビニに行きましたら、フランカーの中のソーセージが、それはそれは美味しそうな匂いをさせておりました。ちょうどお昼時でしたけれども、諸々の事情でそれを買うことができませんでした(-.-;)「…

【6月総括】

「いつもながら同じコメントばかりですが、1ヶ月があっという間に終わってしまいました」「今月も元気に頑張りますので、皆様、よろしくお付き合いお願い致します」と、このように毎月同じようなコメントを言えたのが、いかに幸せであったかを感じる今日こ…

【人物列伝】21 孟嘗君(もうしょうくん)前編

小倉百人一首に収められている清少納言の和歌夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ夜が明けないうちに鶏の鳴き声を真似て私をだまして通ろうとなさってもあなたと私の間の逢坂の関所だけは決してお通ししませんよ上の句の部分、夜が明けな…

【閑話休題】「どん底」

自分の会社で、今月いっぱいで退職される大先輩がいらっしゃいまして、その方は、以前、非常にお世話になった方だったのですが、ぜひ送別会に出席させてほしいと幹事の人にお願いしておいたんです。今日、会社でデスクワークをしていましたら、幹事の方が自…

【父の病】4

二泊三日の滞在で何とか諸々の目星もつき、あっという間に最終日になってしまいました。その日、最後に父を見舞うと前日と同じように、寝息ともいびきともつかぬ音をたてて寝ていました。しかし自分が病床のすぐ横に近づき、「お父さん、自分はとりあえず今…

【父の病】3

病室に戻ると間もなく、母が、父の健康保険証が見当たらないので、探さないといけないというようなことを言い出しました。病院から実家に戻って、父の部屋をぐるっと探しましたが、見当たりません。家族総出で健康保険証を探すことになりました。父は自分関…

【父の病】2

名古屋に着くと、父母と同居している弟が迎えに来ていましたので、その足で病院に直行しました。父の様子を、弟に聞いても、意識があるのかないのか、少々要領を得ないところがありました。おそらく弟も混乱していたのでしょう。とにかく百聞は一見に如かず…

【父の病】1

皆さんご心配おかけしました。とりあえず父は命を保っており、悪いながらも安定状態にありましたので、ひとまず昨日の夜、名古屋から夜行バスに乗り、今朝横浜の方に戻ってきました。今回の件について記事に書こうかどうか迷いましたが、やはり自分の人生の…

【お知らせ】

皆さん、いつもブログに来ていただきましてありがとうございます。私事ですが、告知がありまして、今日の朝早く、実家の父が脳の疾患で倒れ、意識不明の重体との連絡を受け、今、実家に帰省する道すがらです。急な知らせで、とるものとりあえずという感じな…

「デンデンムシ」新美南吉

皆さんは新美南吉という作家をご存知でしょうか。愛知県出身で、18歳で上京し北原白秋の門下となり、鈴木三重吉主宰の「赤い鳥」に作品をに発表。しかし、在京中に病に倒れ、帰郷後まもなく29歳で結核で亡くなりました。実は、自分の母は、愛知県の、新…

「最上川」斎藤茂吉

ふるさと兎追いし かの山小鮒釣りし かの川夢は今もめぐりて忘れがたき ふるさと斎藤茂吉にとって、ふるさとの川とは、最上川のことをさすようです。この作品は、茂吉が13歳の時、小学校の先生に引率され、同級生の友達数人と最上川を下る旅に出た時を回想…

【人物列伝】20 墨子

誰もが平和で安らかな世の中を望んでいます。しかしながら、平和を実現する方法には、様々な考え方があります。平和を実現する方法として非戦論を唱えた人々が、今から二千数百年前の戦国時代の中国にいました。彼らの名は墨家集団。この思想の始祖は墨子と…

【テレビ番組】 「アーノルド坊やは人気者」

小学生の時、かかさず見ていた大好きなドラマ。ビデオに撮っていたものがあり、繰り返し何度も楽しみました。調べてみると、全国ネットで放映されていたわけでなく、地方局で個々に放映されていただけので、ご存知ない方も多いかもしれません。ニューヨーク…

【5月総括】

いつもながら同じコメントばかりですが、5月もあっという間に終わってしまいました(^^;)5月の【青空文庫】の読書は「鯉」「孫」「子規と野球」斎藤茂吉「古事記物語」鈴木三重吉「ばけものばなし」岸田劉生の5作品でした。斎藤茂吉は、自分の住む横浜で催…

「自由と恐怖」不道徳教育講座より 三島由紀夫

三島由紀夫は蟹が怖いらしいです。文章中、わざわざ「カニ」と書いているのは、「蟹」と書くと蟹の形を思い出して、いてもたってもいられなくなるからだそうです。少しだけですが、その気持ちわかります。蟹って、ちょっと形がエイリアンぽいですものね。同…