らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【閑話休題】夏祭りのお話三編

 
皆様に
暑中お見舞い申し上げます(^^)

今日は夏らしい?夏祭りにまつわる話でお楽しみください(^_^;)



その1「全員で守れ」

小学6年生くらいだった時、友達数人と、近所の神社の夏祭りに行った。
祭りには、たくさんの夜店が立ち並び、大変な賑わいをみせていた。

その中で、自分は輪投げをやってみた。

 


少し離れた台の上の景品に、輪を投げて通せば、景品をゲットというものであるが、
景品の途中で引っかかってはダメ。
最後まで輪がきれいに通らなければならない。
これが、なかなか難しい。

自分は、200円で5回やったのだが、
果たして、なんと、全て輪がきれいにストンと通り、5回連続で景品をゲットしてしまった。

友達共々、
「もたん、もう一回やれよ」「うん、やろうかな」
と、和気あいあいで喜んでいたが、

その会話を聞いていたテキ屋のおっさんが、
「あ~、なんか景品の並びがゴチャゴチャしてきたから、
整頓するからな、ちょっと待っててな」

と言って、整頓されたそれは、
あたかもサッカーのフリーキックで、間を抜かれてゴールされないように壁を作るがごとく、
びっしり密集した全員防御態勢の景品の姿だった。
こんな画像のように。



 

 

その2「即物主義の男」

小学3年生くらいの時、小学校の校庭で盆踊り大会があり、友達と一緒に行ってみた。

校庭は、既に、たくさんの人が繰り出しており、
夜店も道沿いに軒を連ね、なかなかの賑わいをみせていた。

その中で自分と友達は、直径20センチくらいの平たいエビせんべいに、油のついた筆で字を書き、
青海苔をまぶせると、字が、青海苔で浮き上がるというせんべいを売る夜店に行った。


 
友達は、それぞれ「金魚」とか「夏休み」など、
まことに夏の風物詩にふさわしい言葉をせんべいに書いていた。

それを見て、せんべいの売りのテキ屋のおっさんは、
「金魚かあ、夏らしくていいなあ」とか「夏休み楽しいよな」
などと、いちいち合いの手を入れていたが、
自分のせんべいを見て、態度が豹変。
こちらに向かって、目を剥いて怒って言った。

「こら、そこのぼうず!
誰がそんなことやっていいって言った!
せんべいに字を書くんだよ!字を!
せんべいの表裏全部に油つけて、
てんこ盛りに青海苔まぶしやがって!
夏らしい字を書くんだよ!字を!」

あまりもの剣幕に、自分と友達は、せんべいをくわえて、
その場から一目散に逃げ出したが、
逃げながら、後ろを振り返ると、
テキ屋のおっさんは立ち上がって、こちらを見ながら、まだ怒っていた。



その3「浴衣」

あれは中学生になって、夏祭りの夜店に繰り出した時のこと。

自分は友人と、小学生時代とあいも変わらず、
輪投げ荒らしやら焼そば食いに勤しんでいたが、
そこに浴衣を着たクラスの女の子と、ばったり出くわした。
セーラー服に髪の毛を垂らしている、いつもの姿と異なり、
夏祭りのちょうちんの灯りに照らされた、髪の毛をアップにした浴衣姿は、
すごくかわいくて、びっくりして、正直ドキドキした。
浴衣は、白地に朝顔の絵柄だったと思う。

自分は思わず、
「なに、その格好?」
と声をかけた。

別にからかったわけでもなく、普通に言ったつもりだったのだが、
女の子は、からかわれたと思ったのだろうか。

真っ赤な顔をして、近寄ってきたかと思うと、
自分の背中をばしんと叩いて、
ぷいっと向こうの方へ行ってしまった。

本当に、からかうつもりは全く無かったのだけれど、
その夜の出来事はそれきりで終わってしまった。

中学生の時は、みんなで、クラスメートの女の子とプールに行ったりしたこともあるけれど、
その時の出で立ちは思い出せなくても、
あの夜の、彼女の浴衣姿のかわいらしさ、美しさは、はっきり心に覚えている。不思議なことに。