らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【父の病】3

病室に戻ると間もなく、母が、父の健康保険証が見当たらないので、
探さないといけないというようなことを言い出しました。

病院から実家に戻って、父の部屋をぐるっと探しましたが、見当たりません。

家族総出で健康保険証を探すことになりました。

父は自分関連の証明書のようなものは、全て自分で管理しているのですが、
盗まれない?無くさない?ようにするためでしょうか、
机の引き出しの中ではなく、本の間とか、カーペットの下とかに重要なものを置いておく癖があります。

今の健康保険証などはコンパクトなカード型になっていますので、探すのは大仕事でした。
意識があれば本人に聞くこともできるのですが、それもできません。

父の意志が戻る見込みがないことがわかって、
浮上した厄介な問題とは、それです。

本人が死亡してしまったり、意志疎通ができなくなってしまうと、
本人が管理していた重要書類、
それは健康保険証に限らず生命保険証書、入院保険関連書類、年金関係書類、
不動産の権利証、株券、預金通帳、借用書などなどいろいろありますが、
そういうものを把握するのに多大な時間がかかってしまうということです。

今回の健康保険証は、探し始めて数時間後、
父の自家用車の、車検証などを入れておくボックスの中で見つかりました。

この体験に懲りて、今後必要になるかもしれない重要書類、
先ほど列挙したようなもの、を片っ端から見つけては整理していくことにしました。

本人もまだ自分がこんな風になるとは夢にも思わなかったんでしょうね。
それこそ額の裏とか本のページの間とか、様々なところから重要書類が見つかりました。

このような重要書類の捜索と整理に、病院の見舞いに行く以外の時間はほとんど費やされました。

こういう場合、書類の目録及び重要書類が、
耐火金庫とか銀行の貸金庫などにひとまとめになっていれば、
本人を引き継いで管理しなければならない者は非常に助かります。

なぜか日本ではそういう意識が希薄なところがありますが、
このことは非常に重要なことであるし、
これは、本人が元気な時に本人しかできない仕事です。


先の記事の余韻から、急に現実的な話になり、
興ざめに思われる方もおられるかもしれませんが、
こういう時というのは、家族はごく短い時間でやらなければならないことが数多くあります。

実は、父は小規模ながら事業もしており、そちらの関連の把握及び管理もあります。
税理士と連絡を取りながらということになるでしょうが、
当分の間、実家を何回か行き来することになるでしょう。


とにかく、父のような出来事は急にやって来ます。
しかも、それは本人にさえ予測しない時にやってきます。

ですから、このことは下世話ではあるかもしれませんが、
こういう準備は、一考の余地があるのではと思います。


父の病室を見舞っている時も、家族総出で部屋をひっくり返している時も、
しょぼしとしとと梅雨の雨が降っていました。



父の収穫したる
玉ねぎの
雨に打たれて
濡れそぼるなり