らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【閑話休題】三国志 後編



続きです。

高校生になり初めて三国志正史を読んだ。
その頃やっと自分が読んできた三国志はいわゆる「三国志演義」で正史をベースとして
元末明初に創作されたものであることなど知った。
当時北方から巨大な軍事力を持った遊牧民族(モンゴルなど)が南に住む漢民族を圧迫していたので、
北方の魏の曹操を南方の劉備孔明が打ち破る構図は当時の漢民族の願望を叶えるものだったのだろう。

高校生の時も、とりたて三国志の新刊はなかったので、
自分の興味は時代を更に遡って、
項羽と劉邦から秦の始皇帝春秋戦国時代へと至り、
諸子百家やら司馬遷史記やら戦国策やら読みあさった。

ところが大学生以降いきなり三国志に関する書物がたくさん出版された。
いろいろな作家がそれぞれの形で三国志の小説を書いたが、
中には「反三国志」といって孔明率いる蜀軍が魏の司馬仲達を倒し晴れて天下を統一するという
蜀ファンの願いを全て叶えるような作品も出た。


出版された三国志関係の小説はほとんど読んだと思うが、
それよりも奇想天外のストーリーを展開したのがマンガ作品の数々である。
主要なものを列挙すると

諸葛孔明が辯髪を結った羊飼いの少年の時に若い頃の劉備と出会うもの
・「馬も四つ足、鹿も四つ足。どうしてこの崖を降りれないことがあるでしょうか」と
 劉備孔明が進言するもの(どこかで聞いたことがあるような笑)
・武将の武力の強さを表現できなくなってしまって超能力マンガになってしまったもの
・最後打ち切りになって一番最初に泰山で封禅の儀を行ったものが天下を取ったことにしようと
 劉備曹操孫策呂布袁紹らみんな山の下に集まるもの
趙雲が「この巨大な重力磁場は一体…」と極めて高度な物理学の知識を持った台詞をいうもの
・髯のない関羽張飛が活躍するもの
魏延黄忠が最初からメインキャラで黄巾党討伐時に既に黄忠がおじいさんキャラのもの。
倭人劉備にすり替わるもの

などなどまさにパンドラの箱が開いたがごとき作品の数々だが(笑)
結構ツッコミを入れながらも楽しんで読んだ。


こちらは仏像に影響を受けた?諸葛亮のキャラ


その中でも「蒼天航路」という曹操が主人公のマンガは一番きちんと読めるだろうか。
新しい三国志像を提示したと思うが、
赤壁の戦いや晩年の漢中戦など曹操が劣勢のシーンの説得力がやや弱い。



なお映画「レッドクリフ」はなかなか良かったと思う。
諸葛孔明役の金城武さんよく似合っていたし、
自分の心の中にある赤壁の戦いの迫力がよく出ていた。




しかしどうしてここまで三国志に思い入れがあるか。

やはり様々な人物が様々な才能能力を持って命をかけて全力でぶつかり合うところが
一番大きな理由だと思う。
それから演義ベースであるかもしれないが、
登場人物それぞれにに華があり、
それぞれ外伝という形で主役にしても十分魅力的なキャラクターが揃っている。


なんでも最近北方謙三氏が演義でなく、
正史をベースにした三国志の小説を書いたらしいので、それを読むのを楽しみにしている。

この調子だとまだまだ自分の三国志漁りは続きそうな予感。
新しいものが出た時は小説でもマンガでもぜひ教えていただければと思う(笑