らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【万葉集2011】2 去年の春逢へりし君に

今週自分が一番感じ入った歌は



去年(こぞ)の春
逢へりし君に
恋ひにてし
桜の花は
迎え来(け)らしも


若宮年魚麻呂 誦む



去年の春桜の咲く頃
あなたに出会って恋したからこそ
今年咲いた桜の花も(素敵に輝いて)
迎えに来てくれたかもしれません


です。

今年は桜の短歌やら詩やらマズいなりに詠んできましたが、
この短歌を知って、あー、こういう表現もあるんだ、やられたー、という思いです。

毎年毎年桜は咲きますが、その時心ときめく思いをすると、
その自然の所為はさらに輝いてみえるものです。
恋だけに限らず、日本では桜の季節に入学式やら人生の節目になるような行事が行われますが、
そのようなときめいた心持ちが、
桜をさらに美しく見せて日本人の心に印象づけているのかもしれないと思いました。

なお「若宮年魚麻呂 誦む」ですが、これは歌の作者ではなく、
若宮年魚麻呂が歌を覚えて伝えたという意味だそうです。

作者はいわゆる「詠み人知らず」ですが、もう今は詠んだ人の名は残ってないけど、
桜の花に託して、美しい恋の想いの歌を覚えて伝えてくれた若宮年魚麻呂さんに感謝ですね。