らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

絵画・美術

【美術】クリムト展2「女ともだち Ⅰ(姉妹たち)」

「女ともだち Ⅰ(姉妹たち)」 今回のクリムト展の中で最も気に入った作品の一つ。 パッと見ると小洒落た化粧品のポスターみたいな作品。 女性達がつけている化粧や香水の匂いが漂ってくるような、 それはもはや少女ではなく、大人の女性の、今の感覚でいう…

【美術】クリムト展1「ヘレーネ・クリムトの肖像」

https://klimt2019.jp/ 先日上野の美術館でクリムト展を見に行ってきました。ウィーン世紀末という言葉と相まって退廃的と評されることもあるクリムトですが、自分は、今まで一度も彼の作品を見たことがありませんでしたので、ぜひ一度と思っておりましたが…

【美術】新・北斎展5 画狂老人卍

新・北斎展最後の記事となります。画狂老人卍(まんじ)これが北斎の最後の雅号となります。75歳から90歳で死ぬまでの間使用されました。上記の絵に卍の文字がサインされているのがわかりますでしょうか。しかしなんとも斬新で奇抜な雅号ではありません…

【美術】新・北斎展4 富嶽三十六景

葛飾北斎から為一(ためいち)に改名した五十を過ぎた頃、いわゆる我々が知っている葛飾北斎が大きく開花します。大胆な構図、色彩もふんだんに使っているわけではないのですが、それぞれの色が実に印象的な作品の数々。「牡丹に蝶」色彩をふんだんに使って…

【美術】新・北斎展3 北斎漫画

いよいよ葛飾北斎の名をもって活動した時期となります。しかしこの時期は、実は40代後半を中心とした数年間に過ぎません 。この頃、北斎は独立して、フリーで仕事をするようになっていましたが、まだこの時期は富嶽三十六景など、我々の知る葛飾北斎の作品…

【美術】新・北斎展2 若き日の北斎

葛飾北斎は1760年に江戸で生まれました。若い頃の足跡は必ずしも明らかではなく、資料をたどると、10代で役者絵を得意とする勝川派に入門し、 20歳を過ぎて仕事を任されるようになったようです。北斎のデビュー作「四代目岩井半四郎 かしく」。北斎…

【美術】新・北斎展 1 プロローグ

自分は美術展で外国の大画家たちの作品をいろいろ見てきましたが、翻って考えるに、これら世界の大画家に匹敵する日本の画家は誰かと問われれば、皆さんは誰が思い浮かぶでしょうか。明治以降の日本の画家たちは、洋画家であれば日本画の要素を取り入れ、日…

【美術】ムンク展6 「叫び」再び

一般にムンクといえば、「叫び」というおどろおどろしい絵を描いた画家というイメージですが、今回の美術展で、様々な作風を持ったすそ野の広い芸術家であると、自分もその認識を新たにしました。その中でも目を惹いたのが、モダンで現代芸術にも通じるエッ…

【美術】ムンク展 5

ムンク展、入場者数66万人あまりという大盛況をもって先週の日曜に閉幕しました。最終週など入場待ちに60分はざらだったようです(@_@;)自分が年明け早々に行った時は、入場待ち30分程でしたが、それでも、かなりの混雑ぶりでした。しかし一旦入場して…

【美術】ムンク展 4

芸術作品は背後にある資料を排して、できるだけ作品のみを自分の感性で直感的に見るべきという直観主義の自分ですが、極めて例外的にではありますが、作品が描かれた背景を知っておくと、興味が増すというものも存在します。例えば、歴史的事件を題に取った…

【美術】ムンク展 3

「死と春」暗い冬からにわかに明るい春になるとその春の明るさに耐えきれず憂鬱になることが人にはあるそうです。作品の中間色の明るい色、静かでどこか虚ろでもあります。春の光の明るさと虚ろさが交互します。どこまでも静かな死人の表情。それをじっと見…

【美術】ムンク展 2

ムンクといえば「叫び」。やはり、今回の美術展は代表作である「叫び」についてから書きたいと思います。ムンクの「叫び」といえば、小学生の美術の教科書にも載っている美術史上でもきわめて有名な絵ですが、必ずしも明るく楽しい絵ではありません。ですか…

【美術】ムンク展 1

ムンクというと「叫び」、「叫び」というとムンクというように、ムンクというと必ず、そして唯一語られるのは「叫び」という作品。その他の作品について語られることはほとんどありません。 しかし、80歳という長寿を全うしたムンク、実は色々な作品を書い…

【絵画・美術】フェルメール展 3

そして今回、絶対にじっくり見ようと、Aさんと話し合っていた作品がこちら。フェルメール「赤い帽子の女」以前には贋作との疑いもあったこの作品。今はフェルメールの作品ということで落ち着いてるようですが、果たして?作品の前に立つと、とても小さいんで…

【絵画・美術】フェルメール展 2

フェルメールの部屋に入るなり、がっついてなるべく間近で作品を見ようとした自分ですが、それを制するように背中を引っ張ってAさんが一言。「フェルメールはいきなりパーツごとを細かく刻んで見るような作品じゃないよ。まず一歩引いて全体を見なきゃ。」こ…

【絵画・美術】フェルメール展 1

「フェルメール展」(10月5日~2月3日 上野の森美術館)https://www.vermeer.jp/先日念願のフェルメール展に行って参りました。平日の午後でしたが、それでもそれなりに混み合っており、フェルメールの人気の高さが伺えました。美術館の展示は、フェルメール…

【絵画】レオナルド×ミケランジェロ展 4「十字架を持つキリスト」

「十字架を持つキリスト(ジュスティニアーニのキリスト)」大理石の塊から、こんな生きているようなイエス・キリストが浮き上がってくるとは、神の御業と言わずしてなんと言いましょうか。大きな大理石の彫像は運んでくるのが大変なため、イタリアまで行か…

【絵画】レオナルド×ミケランジェロ展 3

「どんな石の塊も内部に彫像を秘めている。それを発見するのが彫刻家の仕事だ。」 ミケランジェロ今回この美術展で最も印象に残った作品のひとつが、ミケランジェロの彫像でした。「河神」筋骨隆々とした筋肉美。一つ一つの部位を見ると極めて強調的にデフォ…

【絵画】レオナルド×ミケランジェロ展 2

レオナルド・ダ・ビンチ 老人の顔のデッサン顔の部位の比率が計算されて書き込まれており、レオナルドがいわゆる理系的な幾何学的美しさというものを追求していたと思わせるものです。レオナルドのこのようなメモが1万ページ余にわたって残されているそうで…

【絵画】レオナルド×ミケランジェロ展 1

この秋、東京で開催されましたレオナルド×ミケランジェロ展。レオナルド・ダ・ビンチとミケランジェロという双璧をなすルネサンスの巨人の美術展。https://spice.eplus.jp/articles/130346二人の存在は、あまりにも偉大過ぎて、後世の人間たちの賛美の垢にま…

【絵画】絵画の潮流展

今回は、ちょっと前に行った美術展のお話です。行ったのは、横浜そごう美術館「絵画の潮流展」。http://www.shimakawa-museum.jp/仙台で多角的な事業を営む島川隆哉氏が、20年余をかけて日本画、洋画など数多くの美術品を収集し、蔵王連峰を一望の下に見渡せ…

【絵画】ゴッホとゴーギャン展 4 晩年の二人

「種まく人」ゴッホの青い絵。晩年の青を基調とした絵には、黄色の作品に見られるような光の高揚感は感じられない。感じるのは、フリーズしてしまった、動かなくなってしまった人間。やはり、この作品でイメージされるのは氷。氷に閉ざされてしまったもの。…

【絵画】ゴッホとゴーギャン展 3 ゴッホ初期の作品

「古い教会の塔、農民の墓地」塔が崩れ落ち、廃墟となった教会。 その上空にはカラスが飛び回る。地表にはいくつもの朽ちかけた十字架の墓。題材だけ挙げると、非常に暗いものなのに、意外に不気味さを感じない。むしろ薄明かりの日の光りが差し込む明るさす…

【絵画】ゴッホとゴーギャン展 2 人物画

「パイプと麦わら帽子の自画像」ゴッホが生涯に描いた自画像は40点あまりに及ぶ。その中でも、この作品をネットで見た時は、フエルトペンで書いたような明るい飄々とした雰囲気を感じたが、実際の絵は意外に重い。明るい色合いではあるが、決して軽くない…

【絵画】ゴッホとゴーギャン展 1 風景画

昨年末、上野の東京都美術館で見て参りましたゴッホとゴーギャン展。以前、ゴッホの手紙の記事を書いた縁もありまして、非常に楽しみにしていました。実際、オリジナルの作品を目の前にして、思うところも多く、今回4回にわたって、この展覧会の記事を書い…

【美術】「書の美、文字の巧」後編 三の丸尚蔵館

後編です。今回一番見たかったのが、こちらの薩長同盟の裏書をした坂本龍馬の書の原本。まさに歴史を回天した歴史的文章です。坂本龍馬の字は左右あちこちに跳び跳ねていて奔放なんですが、にもかかわらず、芯はしっかりした感じを受けました。薩長同盟の裏…

【美術】「書の美、文字の巧」前編 三の丸尚蔵館

自分は、書というものに対して、あまり関心を持たないで過ごしてきました。書道を習ったことはありませんし、自分にとって文字というのは、コミュニケーションを伝達するための記号に過ぎなかったと言ってよいと思います。しかしながら、書というものを見る…

【絵画】ルノワール展 おまけ

美術展に行った作品を見せて、これ、どう感じる?と知り合いに聞く、恒例のおまけ記事です。相手はご存知、宿敵Aさん(^_^;)前回の戦いの様子http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/14948566.htmlルノワールの作品にさほど積極的に好印象を抱いていなかっ…

【絵画】ルノワール展 5

「浴女たち」ルノワール展最後の記事となります。先の番外編の記事で、ルノワールが描いた裸婦像などの女性の印象が、ピカソの作品で一気に吹き飛んでしまったということを申しましたが、ルノワールの、この「浴女たち」は別格です。今まで画集など写真で見…

【絵画】ルノワール展 番外編

今回のルノワール展では、ルノワール以外の画家の作品もいくつか展示されていました。それらの作品を、ルノワールのものと見比べると、とても興味深い点がありましたので紹介いたします。「ニンフたちのダンス」 カミーユ・コロー 先に紹介したルノワールの…