らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【絵画】レオナルド×ミケランジェロ展 1












この秋、東京で開催されましたレオナルド×ミケランジェロ展。

レオナルド・ダ・ビンチとミケランジェロという双璧をなすルネサンスの巨人の美術展。
https://spice.eplus.jp/articles/130346


二人の存在は、あまりにも偉大過ぎて、
後世の人間たちの賛美の垢にまみれてしまっている感があります。
今回は、そのような世間でついた垢を削ぎ落として、
直に彼らの作品に触れ、感じられることを大切にしてみたいと思い、
行くのを楽しみにしていました。







ミケランジェロの人物の横顔のデッサン。



精緻の極みともいうべき作品。
写実的に紙に写し取ったというよりも、
生きている人間をそのまま紙に綴じ込めたような、

というべきでしょうか。
この描かれた人物の、静かな息遣いまでが聞こえてくるような存在感。静謐感。



それは、レオナルドのデッサンについても同じことがいえます。





が、それに加えて感じられる柔らかな優しさ。
それは彼の代表作「モナ・リザ」の微笑みと通ずるところがありますが、
モナリザのそれはやや重いのに比べ、
この作品の微笑みは春風のような軽ろかさがあります。







後述しますように、レオナルドの絵画には、
幾何学的美しさを追求したのではないかと考えられるようなふしもありますが、
その作品は数理的に整っているというような冷たさではなく、彼独特の優しさが感じられます。
それは見る者の心を落ち着かせる不思議な調和。



ところで、自分の知り合いにフェルメールが好きな人がいて、
その人はその理由をこのように言います。

フェルメールの作品にはストーリーがある。

例えば、「真珠の耳飾りをした少女」。






ハッと少女が振り返った先に何があるのか。
その先にあるものに対して、見る者の想像を無限に拡げる力が

フェルメールの作品にはあるんだ。と。

今回のレオナルドのデッサンで、自分は同じことを感じました。
フェルメールが、真珠の耳飾りをした少女を描く200年前のお話です。



ところで、レオナルドのこのデッサンは「岩窟の聖母」という作品の、
聖母の右側に座る天使のものであるとされています。








聖母像の脇に位置するに過ぎないものにも、
そのような想像力がかきたてられるようなものが感じ取れる。
レオナルドの芸術家としての底知れぬ素晴らしさを感じた瞬間でした。