【美術】「書の美、文字の巧」後編 三の丸尚蔵館
後編です。
今回一番見たかったのが、
こちらの薩長同盟の裏書をした坂本龍馬の書の原本。
まさに歴史を回天した歴史的文章です。
坂本龍馬の字は左右あちこちに跳び跳ねていて奔放なんですが、
にもかかわらず、芯はしっかりした感じを受けました。
薩長同盟の裏書と姉の乙女に対する私信とが並べてあったのですが、
この人はリラックスの度合いが変わらないんですよね。
見ていて思わず楽しくなる字です。
今回の書で、最も印象に残ったもののひとつが、吉田松陰のもの。
さっと差し込んでくる月の光のごとき、明快さと切れ味のようなものが感じられます。
それでいて非常に律儀というか几帳面。
そして、襟を正すような緊張感に満ちています。
また、高杉晋作の書も、師松陰譲りの切れ味があります。
高杉晋作の書は独特の鋭さと勢い、スピードみたいなものが感じられますね。
もうひとつ、高杉晋作の書で目を引いたのは、
師吉田松陰の老中暗殺の企てを諫めるための塾生の連判状。
師の暴走を生徒たちが連判状で諫めるというのが、とても面白い。
普通は逆ですから(^_^;)
それには、高杉晋作、久坂玄瑞の署名がなされていましたが、
筆頭の高杉晋作は、背筋がピンと張った強さみたいなものが感じられます。
その隣の久坂玄瑞の署名は華のある感じですね。
その他にも、乃木希典の日記で、
爾霊山(にれいさん)(日露戦争の激戦地二百三高地の二百三を当てたもの)の漢詩や、
水師営でステッセルとの会見に臨む箇所なども展示しており、
思わず読み耽ってしまいました。
以上、たかだか二十数点の展示でしたが、
一回り二回り見て、なおも去り難く、
後ろ髪引かれる思いで三の丸尚蔵館を後にしました。
それにしても宮内庁、歴史的に凄い宝物を所蔵しています。
おそるべしです。