らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【絵画】ルノワール展 番外編






今回のルノワール展では、
ルノワール以外の画家の作品もいくつか展示されていました。
それらの作品を、ルノワールのものと見比べると、
とても興味深い点がありましたので紹介いたします。






「ニンフたちのダンス」 カミーユ・コロー


先に紹介したルノワールの力強い自然の風景のものとは異なって、
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/15136146.html
神秘的で幻想的な雰囲気が漂う作品。
同じ自然を描いた風景画でも描く画家によって、
テーマが違うと、こうもイメージが違うものかと並べてみて改めて驚きました。













ムーラン・ルージュでの宴の情景」 ジョバンニ・ボルディーニ


ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」と同じく、
人々が大勢集い、賑やかな雰囲気の作品ですが、
赤と黒の色彩に囲まれた屋内の様子は、
賑やかな中に、ある種のけだるさ、倦怠感のようなものを感じさせます。
その退廃的な作風は、
ルノワールの 「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会にて」のような明るく快活な作品と対極にも感じました。









「アルルのダンスホール」 ヴァンセント・ヴァン・ゴッホ


一見すると、多くの人々が集う賑やかなダンスホール

しかし、ゴッホのこの作品、
不思議なことに、賑やかに集う人々の声が、自分にはほとんど聞こえてこないのです。
たくさんの人がいながら、一人一人が押し黙り、
ゴッホ特有の黄色い色彩と相まって、総じてどこかうつろで、淋しげですらあります。
もっと言ってしまえば、
意思が有るのか無いのかわからない人形のようなものが、
集っているようにも見えてしまう瞬間があります。

これもルノワールの 「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会にて」とは対極な作品だと感じます。

ルノワールのそれは、画家と、実際その場に集っている人々との親和感のようなものが感じられますが、
ゴッホの作品にはそれが見当たらないのです。
なにか離れたところからポツンと眺めている、そんな感じがします。








「白い帽子の女性」 パブロ・ピカソ


今回自分が見た、ルノワールが描いた、多くの美しい女性達の印象は、
ピカソの描く、この一人の女性の作品でかき消えてしまいました。

指がごつごつとして、二の腕も太く、綺麗なドレスを着ている訳でもなく、
また決して洗練された美人でもない。
しかし、肩肘をついた憂いのある表情。
視点の先が一点をぼんやりと見つめている。

この人は一体何を考えているんだろうか。
見れば見るほど、女性に対して色々な考えが立ち現れて、
気になって仕方がない気持ちになります。

ルノワールの裸婦像や着飾った美しい女性達が、
どんな表情だったのか思い出せなくとも、
ピカソの描いた、あの女性の表情はしっかりと脳に焼き付いている。

やはりピカソはただものではありません。
おそるべしです。