らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【絵画】ゴッホとゴーギャン展 1 風景画










昨年末、上野の東京都美術館で見て参りましたゴッホゴーギャン展。
以前、ゴッホの手紙の記事を書いた縁もありまして、非常に楽しみにしていました。
実際、オリジナルの作品を目の前にして、思うところも多く、
今回4回にわたって、この展覧会の記事を書いてみたいと思います。








「クロー平野の収穫、背景にモンマジュール」



のどかに広がる田園風景。どこまでも広がってゆく風景。

ゴッホの作品はやはり黄色だと思う。
ゴッホの黄色は、光を感じさせる高揚感がある。

以前、自分はモネの睡蓮を見た。
とても大きな絵で、睡蓮が壁いっぱいに広がっていた。
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/13565651.html

ゴッホのこの絵は、モネの睡蓮よりも遥かに大きい世界の描いたのにも関わらず、
意外にサイズは小さかった。
しかし、その作品を間近に見ると、果てしなく広がってゆく世界を感じた。


「あなたは海のように美しいと言うが、これは大洋の海より美しいと思うな。
だって人間が棲んでいるものな。」

「僕は兵卒の視点が好きだ。僕はまちがっているか。」

以前、ゴッホの手紙に触れた時、この一節を読んだ。

人間が生を営んでいるところ、果てしなくその世界は広がりをもっている。
ゴッホはそういうことを言いたかったのかもしれない。
確かに、ゴッホの言いたかった事は、ここで実現しているように思った。








モネ「藁ぶき屋根の家」


モネの絵はさすがだと思う。
何の変哲もない田舎の家屋、一見、何の特徴のない草原や川の風景だけれども、
その色合いや形のバランスが絶妙で、見ていて飽きない。
自然で無理がないから、いつまでも見ていられる。






「刈り入れをする人のいる麦畑」


モネの風景画に比べると、ゴッホの風景画の特徴は色の鮮烈さにある。
モネをハーモニーとするならば、ゴッホインパクトだ。
ゴッホは光を描いている。
それはレンブラントのような神々しい柔かな光ではない。
野太い、天から降りそそぐ強烈な光。
レンブラントの光が線ならば、ゴッホの光は面だと思う。

春が来て、種を植え、秋が来て、収穫する。
毎年当たり前のように繰り返される風景。
そのような、いとなみが繰り返される地に降りそそぐ光が、際立って描かれている。









「アリスカンの並木路、アルル」


ゴーギャンの秋の風景の作品は、とても心地いい。
彼の、赤やオレンジの使い方は非常に美しい。
ゴーギャンの作品の、最も美しい色は、 中間色に近いこの赤色だと思う。

ゴッホの黄色が高揚感を感じさせ、
その対象の内面にあるものを、剥(む)き出しにして描いているとするならば、
ゴーギャンの赤は、風景をまろやかに包んで描いている。
しっとり紅葉した、穏やかな、そして鮮やかな美しい秋がそこにある。








文中にも出てきました「ゴッホの手紙」に関する記事はこちらになります。
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/15286898.html
詳しくは「か行の作家」のカテゴリーをご覧ください。