らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【美術】新・北斎展4 富嶽三十六景








葛飾北斎から為一(ためいち)に改名した五十を過ぎた頃、
いわゆる我々が知っている葛飾北斎が大きく開花します。
大胆な構図、色彩もふんだんに使っているわけではないのですが、
それぞれの色が実に印象的な作品の数々。





「牡丹に蝶」

色彩をふんだんに使っているわけではありませんが、非常に艶やかです。
柔らかい牡丹の花びらに、花の香りが匂ってくるようなかぐわしさがあります。
そして蝶々の描き方がすごくユニークに感じます。
普通は蝶々といえば羽を広げた構図なのでしょうが、




同時代の谷文晁の作品


北斎の作品は、花が蝶のようであり蝶が花のようであり、その質感が一体化しており、
えもいわれぬ柔らかな芳しい雰囲気を醸し出しています。










「神奈川沖浪裏」

どこまでも鮮やかでどこまでも爽快。
青が生き生きと躍動しています。








「凱風快晴」

どっしりと神々しく太陽の光を浴びてそびえる赤富士。


素晴らしい作品との出会いは、素晴らしい人との出会いに似ています。
それに会うたびに新しい発見と耀きがあります。
いつ見ても飽きることのない北斎の富士。

また北斎のような目利きの目にかかると、
凡人では見えなかった魅力が引き出されるのでしょうか。
自分も毎日、何気に見ている富士ですが、
こんな富士の形があったのかと、その作品の造形に思わずため息をついてしまいます。






「東都浅艸本願寺









遠江山中」









尾州不二見原」


いずれもその大胆な構図が実に斬新です。










甲州石班澤」


青の絵画と言うと、青の時代のピカソが思い浮かびますが、





北斎の青もこれに劣るものでありません。
非常に印象的な青です。
海の青のようでもあり、夜明けの青のようでもある、不思議な静寂な世界を造りだしています。



実は今回、初めて浮世絵を一度にたくさん見たのですが、
浮世絵とは版画、つまりはプリントされたものなので、
わざわざ見に行かずとも、画集などで十分なのでないかと思っていたのですが、
そんなことは全く無く、
色の摺り具合など質感の、実物ならではの素晴らしさを感じました。

北斎も凄いですが、
版木を彫る職人や摺師などの人々もただ者ではない(@_@;)