【絵画】ルノワール展 5
「浴女たち」
ルノワール展最後の記事となります。
先の番外編の記事で、ルノワールが描いた裸婦像などの女性の印象が、
ピカソの作品で一気に吹き飛んでしまったということを申しましたが、
ルノワールの、この「浴女たち」は別格です。
今まで画集など写真で見たそれは、不自然なほどぶよぶよとした女性の裸体画で、
自分の頭の中では、ルノワールの数ある裸婦像の一つに過ぎませんでした。
いや、むしろ、あまり好きではない作品だったといえるかもしれません。
しかし、実物のそれを観た瞬間の得も言われぬ作品の力強さ、
そして、穏やかさと優しさ。
驚きでした。
今回のルノワールの美術展で、一番好き絵を1つだけ持っていってもいいと言われたならば、
自分はこの「浴女たち」を選びます。
裸婦を描いてはいますが、
女性の裸にとらわれない不思議な美しさと調和がそこにはあるのです。
なんとかして実物を見た感覚に近いものを皆さんにと思うのですが、
なかなかパソコンの画面に、その魅力が収まり切らないのが本当に口惜しい。
ただただ、美しく穏やかで素晴らしい。
そして、去りがたい存在感。
この作品が、ルノワール展の一番最後に展示してあったのですが、
一度出口に行きかけて、後ろ髪引かれて戻り、
思わず何度も見直してしまったほどです。
この「浴女たち」、ルノワールの遺作ということですが、
ルノワール自身、この作品に大いに自負するところがあったようです。
人生で最後に描いた作品が、自ら最高の傑作というのは、
画家としても、人間としても、なんと幸せなことなのでしょうか。
ピエール=オーギュスト・ルノワール「自画像」