ゴッホ展1「雨」
先日行って参りましたゴッホ展。
そこで見た印象に残った作品のいくつかを紹介したいと思います。
ゴッホといえば、絵の具をキャンバスに叩きつけるような
力強い独特の画風がイメージされますが、
まず第1回目は、ゴッホ展で見た、そうではないタッチの作品について。
「雨」
ゴッホの描く情景というと、金色の小麦畑に心地よく、風がそよいでいるというイメージなのですが、
この作品は、水彩ということもあってか、柔らかくみずみずしく、
傘をさして道を歩く人々と、それが地上の水たまりに映っている情景とが
雨のしっとりとした感じに映えて、おだやかに、そしてモダンに感じられます。
ゴッホというと直線的で力強い、男性的なイメージを思い浮かべますが、
こんな柔和な優しいゴッホもあったのかと感じ入りました。
「馬車乗り場、ハーグ」
この作品にも「雨」と同じことが言えます。
一人、馬車乗り場にたたずむ女性。
当時の馬車乗り場は、今でいうバスターミナルのようなものでしょう。
彼女は、これから馬車に乗ってどこかに行こうとしているのか、
それとも、誰かが馬車に乗って到着するのを待っているのか・・
しかしながら、女性は後ろ向きで、その表情を伺い知ることはできません。
彼女が、どこに行こうとしているのか、誰と会おうとしているのか、
絵をじっと見ていると想像が広がってゆくのを感じます。
とても情緒的な、まるで物語の挿し絵のような作品。
結構ゴッホの作品は知っているつもりでいましたが、
こんな優しく柔らかい作品を描いていたとは。
驚きでした。