【美術】オランジュリー美術館展2「ピアノを弾く少女たち」ルノワール
「ピアノを弾く少女たち」ルノワール
絵画のテーマには「手紙を読む人」「本を読む人」 というものがあり、好んで描かれます。
構図的には似たような感じの絵になってしまうので、描く方としてもあまり面白くないんじゃないかなと邪推しがちですが、
手紙や本を読む人物の表情の微妙な作り方や背景の描き方により、
一体どんな手紙を読んでいるんだろう、どんな本を読んでいるんだろう、という見る側の想像力が掻き立てられ、
画家の食指を動かすのかもしれません。
葛飾北斎の作品にも手紙を読む人のテーマで描かれているものありますから、
その興味は洋の東西を問わないのでしょう。
それと同じようにピアノを弾く少女というテーマも 19世紀以降盛んに描かれるようになりました。
クラシック音楽は元々は神(教会)に捧げられるもの、ついで王侯貴族に捧げられるものでしたが、
19世紀前後のモーツァルト、ベートーベンのあたりからブルジョワジーが台頭し、
クラシック音楽の愛好は庶民にまで降りてきました。
さらに資本主義が発達すると、裕福になった資本家たちはその子女にバイオリンやピアノなどを習わせるようになりました。
「ピアノを弾く少女たち」のような作品が、テーマとして色々な画家に描かれるようになったのはそれと軌を一にします。
おそらく作品を邸宅のピアノが置いてある部屋などに飾って置いたりしていたのでしょうが、
一体何の曲を弾いているのだろうという作品を見る側の想像は、クラシック音楽が好きな自分としては興味のあるものとなっています。
この絵を見た時の自分の心の中でイメージしたのは、こちらの音楽です。
Mozart- Piano Sonata in B flat major, K. 333- 1st mov. Allegro
モーツァルト ピアノソナタ第13番K.333
この美術展のジョイントイベントでは、フランスつながりでドビュッシーの曲などが演奏されたようですが、
自分の中ではモーツァルトのピアノソナタ。
ドビッシーはちょっと 大人っぽすぎるイメージがします。
純真で無邪気で、幼さとあどけなさを残していて、愛らしくチャーミング。
作品を見た瞬間、自分の中で鳴ったのはこの曲でした。
いかがでしょうか(^^)
しかしながら、作品を見る人によって百人百様、色々な曲が心の中で奏でられると思います。
別にジャズやポップスでも全然いいと思うんです。
むしろ、そういう想像を可能にさせるところがルノワールの作品の普遍性を表すことになって、
とても素晴らしいことであると感じます。