【美術】ゴッホ展3「麦畑」
農を描いたゴッホの作品や、彼が手本にしたハーグ派の作品を見た後に印象派の作品を見ると、
思わずその色彩の明るさに目を奪われます。
おそらくゴッホもそうだったに違いありません。
「オワーズ河岸の風景」セザンヌ
このセザンヌの作品は、彼としては特出する傑作という作品ではないかもしれませんが、それでも、他の同時代の画家の作品と比べると、断然目を引きます。
色彩と構図が極めて調和しており、単に風景を写した絵画とは一線を画する味わいがあります。
「花咲く林檎の樹」モネ
今回の美術展の作品でどれか一つ持ち帰っていいと言うならば、自分的には、このモネの林檎の木を描いた作品も候補です。
いつまで見ていても飽きることはありません。
それを言葉で説明しろと言われると困りますが、ある意味、モネの風景画の魔力とでも言いましょうか。
見ていると、その風景の中に自然と自分が取り込まれ、林檎の花のほのかな香りが漂ってくるようです。
白と青と緑を基調とした淡い色合いの絵ではありますが、
思わず見入ってしまう存在感があります。
モネの作品を見ていると、その世界の一瞬を切り取ったというよりも、
絶え間なく、生きて呼吸を繰り返している世界を、そのまま綴じ込めたという、そんな感じがします。
「麦畑」ゴッホ
ゴッホの麦畑を描いた作品。
自分の大好きなゴッホのテーマです。
金色はゴッホの色ですね。これほど素晴らしく、この色を使う人はいません。
見た瞬間、麦畑の鮮やかな金色が自分の中に飛び込んできます。
麦畑が、明るい光の中、気持ちよく風にそよいでいるのが目に見えるようです。
ゴッホは「モネのように人物を描くように風景を描かねばならない。」と言ったそうですが、
それは見事叶っているような気がします。
しかしながら、モネやセザンヌの作品でも感じ得られぬものが、
ゴッホの作品はあります。
それは麦畑から吹いてくる、心地よい風を受けながら、その中で、一心に絵を描いている画家の息遣い。
麦畑とキャンバスを交互に見ながら、一途に絵の具を塗って描き続けるゴッホの姿。
描いた者の念のようなものが、彼の作品には感じられるのです。
ゴッホの麦畑を見ますと、麦畑の明るさやそこに吹く風の心地よさと相まって、
ゴッホの絵に対する姿勢や思い入れ、そして、ああ、彼のひとすじな心を少しでも見習わねばという思いが交差して、
尽きるところがありません。