【美術】ウィーン・モダン4 クリムト再び
独特の黄金様式の画風を持つクリムトですが、
最初はこのような古典的な作品も描いていました。
「寓話」
18世紀の著名な画家が描いたと説明されても、
そのまま信じてしまうような完成度の高い作品です。
「牧歌」
ルネサンス期のミケランジェロやラファエロを思わせるような作品。
男性の逞しい筋肉と女性と子どもの柔らかな肌感の、
剛と柔が見事に描き分けれています。
「愛」
ここにきて、クリムトらしさが垣間見えるようになります。
クリムト34歳の時の作品。
縦長で金箔を両端に配置した作品。
これは日本画に大きく影響を受けて描いたと言われています。
第6回ウィーン分離派展ポスター
尾形光琳「紅白梅図」
若きクリムトはいろいろなものを貪欲に取り込んで、
自分の画風を確立するのに邁進していたのでしょう。
「悲劇」
「6月(ユノ)」
この2作品は、鉛筆とチョークによるものですが、
描かれた人物の造形に、後の彼の代表作の予兆が垣間見え、
次第にクリムトの代表的な黄金様式に昇華していくのを感じます。
「パラス・アテナ」
金色の鎧の耀きが素晴らしい。
ザ・クリムトというべき作品。
勇ましく、強く美しく、煌びやかで、
思わず見惚れてしまう気高さがこの絵にはあります。
カッと見開いたアテナの眼力に射すくめられてしまう感があります。
今回の美術展で最も印象に残った一枚です。
次回は、ちょっと色合いを変えて、
この展覧会で出会ったウィーンで活躍したクラシックの作曲家たちについて書きます。