【美術】ウィーン・モダン3 クリムト再び
「黄色いドレスの女性」マクシミリアン・クルツヴァイル
アンニュイな表情に、ソファーに両手を広げて腰かける、
ちょっと挑戦的な雰囲気の女性。
彼女が纏う、目の覚めるようなイエローのドレス。
遠目からでもこのイエローのドレスの色が鮮烈にパッと目に飛び込んでくる。
とても斬新な作品だと感じました。
「白と黒の絵画」ヴィルヘルム・リスト
全体を白系の色彩で統一し、つばの大きな帽子とコートのすそから見える黒い衣服の黒がアクセントとなって画面全体を引き立たせている。
こちらもなかなか存在感がある作品。
しかしクリムトのこの作品を見ると、この2作品とは明らかな違いを感じます。
「エミーリエ・フレーゲの肖像」
まるでモデル女性を魚拓にでも取って写し取ったような、
彼女の息遣い、髪の香り、肌の匂いといったものまで感じさせてしまうクリムトの力量。
見ていて思わず、絵の中に吸い寄せられてしまうようなものを感じます。
表情ひとつ取っても、見えないはずの神経ひとつひとつまで描いていて、今にも動き出しそうな顔の表情。
やはり同時代の画家に比べると一段上と言わざるを得ない。
そして絵画における服の柄というのは、
描かれた人物の個性や性格を引き立たせる重要な要素となるものですが、
その模様のきめ細やかさと斬新さは他の画家の作品の比ではなく、
もし今回紹介した3枚の絵が並べて展示してあったら、
自然とクリムトの作品に目が引きつけられてしまったでしょう。
ところで、この絵画の女性エミーリエ・フレーゲとは、
実は6月に行ったクリムト展で自分は出会っています。
「17歳のエミーリエ・フレーゲ」
17歳の彼女はまだ女性としての魅力が開き切っていない感がありますが、
今回見た28歳の彼女は、見事に開花した女性美に満ちていて非常に魅力的に感じます。
前にも書きましたが、クリムトの作品の魅力は、
生(せい)の女性の美しさをとらえていることにあると感じます。
それはお人形さん的美しさでなく、
その息遣い、匂いといった、そういう五感を感じさせる
女性の美しさに溢れたもの。
しかし当の本人エミーリエ・フレーゲはこの作品をあまり気に入っていなかったとのこと。
そのエピソードを女性に言ったら、
もっと自分は美人で可愛いと思ってたんじゃないの。
とのことでした(^_^;)
そういえば写真を撮る時、もっとかわいく撮れるはずなのにブサイクに撮られたと
あらぬ怒りを買うことがあります(笑)
本当に女性って難しいな(-_-;)
ところでこちらが実物のエミーリエ・フレーゲ
いかがでしょうか。
絵画は意外と写実的のようにも感じます。
作品の物憂げなその表情は、
この人(クリムト)、私のこんな表情まで知ってるんだということで、それがちょっと嫌だったのかも。
女の人って男性から見透かされるというか、じっと見られることがあんまり好きじゃないじゃないですか。
わかりませんよ。
ちょっとほっぺたがぷっくりしてるとか、
手の指がふにゃふにゃに描いてあるということが、
気に入らない理由だったかもしれません(笑)
皆さんはそのあたりどう想像されますでしょうか。