【美術】ゴッホ展2「ジャガイモを食べる人々」
農業に携わる人々を描くことはゴッホの大きなテーマのひとつとなっています。
農民画家ミレーの影響を受け、彼の作品を模写したり、創作を加えた作品は有名ですが、
ミレー「種をまく人」
ゴッホ「種をまく人」
この美術展では、ゴッホが影響を受けたと思われるのハーグ派の画家たちの作品の展示も数々あり、
実に興味深いものでした。
農をテーマとしたゴッホの作品の特長は、彼のオリジナルというよりは、
同時代の様々な画家たちの創意工夫を取り入れて、
自己の作品に取り入れたものだったのです。
しかしながら、手本にしたハーグ派の画家達の作品に比べると、
ゴッホの作品中の人物は動きが固く自然ではない感じがします。
少々バランスが悪いといいますか・・
背景の風景の描き込みも少ない事から、おのずから作品を観る者の目は、人物にクローズアップされるのですが、
そうすると、人物のぎこちなさが目立ってしまうんです。
また、この時期のゴッホの作品には独特の色彩が見受けられます。
暗い深緑色というべきでしょうか。
「農婦の頭部」
「器と洋梨のある静物」
こちらの静物の洋梨ですが、図録ではその構成力と色彩が対象の存在感を力強くしていると絶賛していましたが、
暗い室内に置かれているということを差し引いても、古くなってしまった洋梨というような印象で、
正直あまり食指が動かなかったといいますか(^_^;)
そして、こちらは農をテーマとするゴッホの代表作です。
「ジャガイモを食べる人々」
今回はリトグラフの作品の展示でしたが、
その元になる油絵はこちらになります。
今回、ゴッホが影響を受けた、他の画家の様々な作品を見ることで、
いきなりこの作品が生み出されたわけではなく、
様々なデッサンや創作を重ねた結果、生み出されたのだという事を初めて知りました。
芸術作品としては稚拙な部分が見受けられるという評価があるかもしれませんが、
ゴッホという画家の、考えていたこと、感じたことを辿る上では誠に興味深いものがあります。
今回の美術展はその過程をわかりやすく展示しており、
ある意味、それは芸術作品の鑑賞というよりは、
ゴッホという画家の創作の思考過程の鑑賞と言うべきであったのかもしれません。