らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

2011-01-01から1年間の記事一覧

「牛人」中島敦

この物語は「春秋左伝」という二千数百年前に中国で書かれた書物を題材にしたものです。原典では、魯の国の大夫(貴族)叔孫豹(しゅくそんひょう)の執事の豎牛(じゅぎゅう)がその信頼をいいことに、主人を欺き後継ぎの息子を殺させ、最後は主人自身を餓死…

【字余りのうた】37 青き宙

夜明けの空を眺めうみさんの「みまもり」と相和して詠む明けの空瞬く星は消えゆけどわれ青き宙(そら)に包まれるを知るなぜか今年の秋は首都圏でも星がよく見えます。今まではオリオン座くらいだったんですが、他の星々もちらほらと。しかし賑やかな星空も…

「東西ほくろ考」堀口九萬一

この作品は「ほくろ」に対する東西の美的感覚の違いについて述べたエッセイです。ただしその美的感覚は戦前に関するものであることに要注意です。それによると、従来日本では女の顔のほくろは美貌の瑕疵(きず)とされ、西洋では美貌を増すものとして尊重さ…

【閑話休題】一難去ってまた…2

先日、あんパンにかぶりついて差し歯取れてしまった話をしました。いわゆる犬歯の部分の差し歯が10月22日土曜に取れてしまったのですが、歯医者の予約がいっぱいで予約が取れたのがあくる週の金曜夜。「歯抜けもセクシー」なんていつまでも言っていられ…

【万葉集2011】23 蓮葉は かくこそあるもの

今回最も感じ入った歌は蓮葉(はすらば)はかくこそあるもの意吉麻呂(おきまろ)が家なるものは芋(うも)の葉にあらし長意吉麻呂(ながのおきまろ)蓮の葉とはこんなに立派なものであるのかそうすると私の家に生えているのは芋の葉らしいね前回は正岡子規…

「夢十夜」第十一夜 もたんもぞ編

第十一夜中学生の時こんな夢を見た。僕は疲れきって夢の中で机にうつ伏して寝てしまっていた。すると隣で人の気配がする。うつ伏したままの状態で、うっすらと目だけ開けると、机が両並びになっていて、隣で自分よりちょっとお姉さんの感じの女の子が一生懸…

「夢十夜」第十夜 夏目漱石

ラストの第十夜はストーリーがやや支離滅裂なところがありますが、漱石ってこんな夢を見るんだという物珍しさとストーリーがコミカルな事から結構気に入っています。この夢の主人公は漱石ではなく、町内一の好男子で、善良な正直者の庄太郎という男です。漱…

「夢十夜」第七夜 夏目漱石

第七夜漱石は大きな客船に乗って、あてどなく来る日も来る日も大海を航海しています。漱石自身、この船がどこに向かっているか知りませんし、船員に聞いても納得いく答えは返ってきません。自分がこれからどこへ行くのか、心細さと不安感を抱いたまま船は進…

「夢十夜」第三夜 夏目漱石

第三夜はなかなか恐ろしいホラーの夢です。小泉八雲、泉鏡花ばりの怪談ものになっています。余談ですが、夏目漱石は小泉八雲の後任として、東京大学で教鞭をとりましたが、学生の間で前任の小泉八雲の人気は高く、生真面目な授業だった漱石はかなり割を食っ…

【字余りのうた】36 雨音

日曜の雨音(あまおと)聴きつ夕寝かなもぞ昨日日曜は午前中いろいろ活動していたのですが、午後はまったりモードで、午後4時ぐらいからうとうとしてしまって、2時間ほど夕寝してしまいました。夕方薄暗い時分に、蒲団にくるまってうとうとするって気持ち…

「夢十夜」第一夜 夏目漱石

昨日ブログ友達の記事で自分の夢を綴った、とても面白いものを読みました。それに触発されて、青空文庫所蔵の作家の中にも、自らの夢について著作しているものはないかと考えてみたら、思い当たったのが夏目漱石「夢十夜」。夏目漱石が自ら見たという夢を題…

【万葉集2011】22 月待ちて家には行かむ

今回最も感じ入った歌は月待ちて家には行かむ我が刺せるあから橘(たちばな)影に見えつつ粟田女王月の出るのを待って家へ帰ろう私の髪にさしている真っ赤に色づいた橘の実を月の光に照らしながらねこの短歌を読んで思ったことは、この人は、なんて優美で心…

「燃ゆる頬」堀辰雄

堀辰雄というと「風立ちぬ」など、どことなく淡く儚いパステルカラーのような純愛を描いた作家というイメージがあります。しかしこの物語はちょっと異色な作品です。パッと読むと、今風の言葉でいうとボーイズラブ風とでもいいましょうか。物語は主人公の私…

【旅】プロローグ

「旅」の書庫を作ってずっと放置しているので(^_^;)、そろそろ記事を書かねばと思い、今回プロローグを書きました。自分は旅が大好きで、以前は出張やら自前やらでちょこまかちょこまか、いろいろな所に出かけていました。国内がメインで、日本にある都道府…

【字余りのうた】35 頬杖(ほおづえ)

先月は風邪が長引いたり、パスワードを忘れてブログに入れなくなったり、差し歯が取れてしまったり、一難去ってまた一難という感じでした。が、先週最後の一難?が待っておりました。上司に呼び出されて、いや~な予感がしたのですが、なんでも新規プロジェ…

【10月総括】

10月の【青空文庫】の読書は記事としては夏目漱石「こころ」、芥川龍之介「蜘蛛の糸」、宮澤賢治「風の又三郎」の3作品でした。ただ「こころ」は複数回にわたる記事になっており、まだ途中です(^_^;)今後の予定としては・Kはなぜ自殺したか・先生はなぜ…

【けっさんさん10月課題分】「転生」

私は仕事が終わると、いつものように寄り道しないで真っすぐ家路についた。秋の夕暮れ時、まだ辺りは暗くはなかったが、昼間という感じでもない、ぼんやりとした薄明るい時間帯だった。アパートの階段を上っていくと、自分の部屋の前に一人の男が立っていた…

【告知】宮澤賢治の音楽会

本日21時から23時までNHK BSプレミアムで「宮澤賢治の音楽会」という番組が放送されます。なんでも宮澤賢治の世界に影響を受けた音楽家達が、それぞれの思いを込めて、歌を歌い、詩を朗読するそうです。その中で記事「セロ弾きのゴーシュ」の中で紹…

【テレビ番組】銀河鉄道999

これは昨年NHKのBSで放送されたスペシャル「全駅停車!銀河鉄道999ぜんぶみせます」を録画したものです。蒸気機関車が満天の星の輝く宇宙に旅立っていくシーンは、今見ても本当にロマンチックで胸ときめきます。しかし銀河鉄道というネーミングは宮…

「風の又三郎」宮澤賢治

どっどど どどうど どどうど どどう青いくるみも吹きとばせすっぱいかりんも吹きとばせどっどど どどうど どどうど どどう「風の又三郎」冒頭の風の歌。青空で風が強く鳴っている二百十日の9月1日、全学年で教室がひとつだけの岩手の田舎の小学校に一人の…

「蜘蛛の糸」芥川龍之介

「蜘蛛の糸」は芥川龍之介の代表作で、ほとんどの人がそのあらすじを知っていると思います。簡潔に述べますと、人殺しや放火を繰り返してきたカンダタという悪党が生前、蜘蛛を助けたことをお釈迦様は覚えていて、死後地獄の血の池に落ちていたカンダタを、…

【万葉集2011】21 秋の田の穂田の刈りばか

今回最も感じ入った歌は秋の田の穂田(ほだ)の刈りばかか寄りあはばそこもか人の我(わ)を言(こと)なさむ草嬢(くさおとめ)秋の稲穂田の刈り取りの割り当てであなたと(偶然にでも)近寄ってしまったらそんなことでも人は私たちを噂にするでしょうか今…

【閑話休題】一難去ってまた…

先月末から喉風邪をひいてしまい、それがずっと長引いて、やっと治ったと思ったらブログのパスワード騒動。しかしなんとか無事パスワードも再取得でき、本日ブログの大改装も終わり、やっと悩めるものが全て消え去った\(^ー^)/と、全てから解き放たれて、…

ブログ主について

どうもお待たせいたしました。。やっとブログの改装完了しました。最後に、ごく簡単な自己紹介をしようと思いますが、ちょうどブログ友達の方が記事で書いておられたものがあったので、その雛型を参考にさせていただきました。1、ニックネームの意味は、あ…

【絵画】「積みわら」モネ

今回はクロード・モネの「積みわら」収穫後の畑に積まれた干し草の山を描いた一連の絵画の総称をいい、モネは二十数点の作品を残しているそうです。同じ主題を、異なる時間、 季節、天候、それぞれの光の下で描き分けているそうで、自分も日の出の画像など…

【万葉集2011】20 北山にたなびく雲の

今回最も感じ入った歌は北山にたなびく雲の青雲の星離れ行き月を離れて持統天皇北山にたなびく雲その青い雲は今まさに星を離れて行き月を離れて行く持統天皇は、天武天皇の妻であり、天智天皇の娘でもある女性です。天智天皇と天武天皇は兄弟ではありますが…

【プロレス】1 プロレスと私

人間山脈、インドの狂虎、人間魚雷、狂犬、黒い呪術師、炎の飛龍、銀髪貴公子、セクシーターザン、人間風車、東洋の神秘、超獣、不沈艦、破壊王、人間発電所、金色狼、人間空母、女子プロレス最強の男…これは何のあだ名かわかるでしょうか。そう、これらは…

【字余りのうた】34 情

「今回の諸々のアクシデントを思いて詠む」傷負うて情(なさけ)しみ入る我が身かなもぞ今回のブログ騒動でもそうですが、この間の少々長引いた喉風邪についても、皆さんから温かい声をかけていただいて大変感謝しています。普段から感謝しているつもりなん…

「蕎麦の味と食い方問題」村井正善

これは蕎麦の食べ方指南にとどまらず、「蕎麦道」と呼んでもよいくらいの蕎麦に対するこだわりを記した文章です。さて皆さんは、うどん、蕎麦、ラーメンのうちどれが一番好きですか。自分は蕎麦も好きですが、如何せん一人前の量が少ないので、ラーメンに走…

当ブログの特長について

初めての方もいらっしゃると思いますので、当ブログの特長を簡単に述べたいと思います。当ブログの主な柱は3つあります。定期的に記事を書いているカテゴリーです。まず【青空文庫の読書感想】なぜ青空文庫に限定しているかと申しますと、記事を読んだ方が…