らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「蕎麦の味と食い方問題」村井正善

これは蕎麦の食べ方指南にとどまらず、
「蕎麦道」と呼んでもよいくらいの蕎麦に対するこだわりを記した文章です。

さて皆さんは、うどん、蕎麦、ラーメンのうちどれが一番好きですか。
自分は蕎麦も好きですが、如何せん一人前の量が少ないので、
ラーメンに走ってしまうことが多いですね。
ラーメンもつけ麺だと、なぜか麺の量が大盛でも小盛でも値段が同じなので、
必ず大盛にします。
結構大食いなのです。
とはいうものの蕎麦もかなり好きで、
その昔岩手の盛岡に出張に行った際、念願のわんこ蕎麦にチャレンジし102杯平らげました。
わんこ7~10杯くらいで盛り蕎麦1人前くらいだそうですので、
もり蕎麦10~15人前くらいの勘定でしょうか。
トップの人は300杯くらいでした。

さて著者は、蕎麦を食べるときに必ずして欲しいことと絶対してはいけないことを列挙します。
その主なものを挙げますと
・蕎麦の食い方は、箸で、はさんで尻の方を一寸三分ばかり汁へつけて、箸の方から口へ入れ、
 一度汁のつかないままで、口でしめしてから本当の蕎麦の味と香気を味わいて後、
 静かに汁のついている方を吸い込むべし
・椅子に腰をかけて靴のままで蕎麦を味わうべからず
 畳の上で静かに座して食べる方が真の味あり
・「もり」を食べるに、汁の中へ薬味をうんなり入れ込み、
 その汁へ蕎麦を浸け込んで食べるべからず
 それは「かけ」の冷ましたものを食べているようであり蕎麦の味などの知ることがない
・「天ぷら蕎麦」は邪道なり。どちらかといえば素人だましの代物なり
・「コロッケ蕎麦」を出すような店はもう駄目
・通人は「花巻」を好むべし
 良い蕎麦で良い汁で、それに良い海苔をばらっとかけるから、香気も良いし味も良い
・「花巻」の海苔は千金の値打ちであるから、店に「薬味をつけないか」とつまらない文句をいうべからず
・ごたごたしたものを好むべからず
 支那蕎麦のごとく、汁やかやくをごたごたにすると蕎麦の味を食うのでなく、
 かやくや汁を食べることになってしまう
・大根をおろす時は「頭をぶんなぐれ」という諺通り、
 腹を立てて、うんうんいっておろす位の硬いものがよい
 軟らかいものは甘くて蕎麦の味とぴったりとこない
・大根は皮つきのまま必ず尻っぽの方からおろすべし
 逆に頭の方からおろすと、ぐっと辛味がなくなってしまう

総括として「蕎麦の味は、要するに蕎麦切として食べることにより、真価を知る」という結論になる。
との事です。
 
自分は結構海苔も薬味も全入でおつゆに入れて、
蕎麦をどっぷり全部ひたしたか確認してから食べちゃってますね。
天ぷら蕎麦大好きで、見事素人だましにも引っかかっています。

しかし最後に真面目なこと言いますが、
ものを美味しくいただくとか真のグルメというのは、料理の味そのものだけでなく、
この文章の指摘のように、
食する側のあり方やマナーによっても大きく変わってしまうということが言えるかもしれません。

最近のグルメ番組などでは、店の味ばかりで、ほとんどそういうことは言いませんけれども。