らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

短歌俳句

【字余りの歌】63 お正月(本歌取り)

猫と居り猫と寝そべる我が身かな浮き世のことは夢のまた夢もぞ今年のお正月は自宅でのんびり過ごしました。今住んでいる家は、丘の上に建っていて、箱根駅伝のコースから1キロくらい離れているのですが、風に乗って沿道の歓声が聞こえてきました。その微か…

【金槐和歌集】源実朝 出でて去なば 主なき宿と

源実朝像今年の初詣は鎌倉の鶴岡八幡宮に参りましたが、鶴岡八幡宮といえば、歴史的に有名なのが、鎌倉幕府第三代将軍源実朝暗殺事件。1219年1月27日、鎌倉に雪が二尺ほど積もった大雪の日に、八幡宮拝賀を行った源実朝は、神拝を終え、本殿正面石段を下りる…

【字余りの歌】62

年暮れの猫とたわむる小春かなもぞつかの間の閑を楽しんでおります。ここのところ暖かいですね。本当は祝日の今日も出勤予定だったのですが、ひょんなことで休日となり、家でまったり過ごしております。写真の猫は、最近、一緒に暮らし始めた猫です。おそら…

【字余りの歌】61 冬の厚着

鉄塔も厚着するなり冬の空もぞ今年の冬はとても寒いような気がします。首都圏では11月に50数年ぶりの雪が降りましたし、新聞などで見る気温よりも、なにかしら寒く感じます。ひと度風が吹くと、冷凍庫から吹いてきたようなその冷気に思わず身が凍(こご)え…

【字余りの歌】60 蝉の風景

真っ白につるんと脱げてもセミヌードもぞ蝉が鳴いています。朝5時から鳴いています。日柄一日中鳴いています。人間の何十分の1の体しかないのに、何十倍の声の大きさで鳴いています。人間が同じように泣き続けても30分も無理でしょう。そのエネルギーは…

【字余りの歌】59 夏の風情

梅雨寒も夏待ちかねて蝉時雨7月ももう末になりつつありますのに、首都圏ではいまだ梅雨明け宣言がなされておらず、相変わらず雨や曇りの日が多くなっています。雨の日などは、肌寒さすら感じてしまうほどで、スーツの上着を着てちょうどいいくらいの感じで…

【字余りの歌】58 今年の桜

今年の桜は恵まれなかった春が来てせっかく花を咲かせたのに薄曇りの日に花が灰色のくすんだ空の色に溶けこんでしまったり冬のような底冷えのするような日が何日も続いたりそして今満開を迎えた桜はつめたい大雨の中大粒の雨粒の重みに耐えかねて次から次へ…

【字余りの歌】57 少年の恋

福岡市西区姪の浜の路上で2月27日夜、予備校生の北川ひかるさん(19)が刺殺された事件で、同じ予備校に通う少年(19)が出頭時、「北川さんに告白したが、あいまいにされた」などと説明したことが捜査関係者への取材でわかった。福岡県警は、事件の…

【字余りの歌】56 叡知を集めて

叡知を集めて仕事がとても忙しい週末普段仲の良い美人の同僚にくだらないギャグを言ってキレられた「今いっぱいいっぱいなんです」その瞬間、何であんなことをしてしまったんだろうと僕は奈落の底に落ちたバレンタインデーも近いというのに俺はなんてことを…

【字余りの歌】55

青青し空に映(は)えにし黒鐵(くろがね)の富士を見遣れば夏来(きた)るらしもぞ首都圏は梅雨が開けました。いきなり、カッと夏って感じです(^_^;)少年時代、あれほど待ち望んでいた夏の日々。今から思うと、自らの生命がむくむくと伸びゆくような勢いを…

【字余りの歌】54

寒戻る春の嵐の散る花の無地のビニ傘花に染まりたる昨日首都圏は真冬並の寒さで、強風が吹き荒れる強烈な寒戻りとなりました。数日前、満開だった桜も、抗(あらが)うすべもなく、はらはらと散るばかりで、道路などには桜の花びらがそれこそ絨毯のように、ま…

【古今和歌集】1 昨日こそ 早苗とりしか

http://blog-imgs-43.fc2.com/m/i/l/milkyway8448/20120827135827c0c.jpg 昨日こそ早苗とりしかいつの間に稲葉そよぎて秋風の吹く詠み人知らずつい昨日田植えをしたと思っていたのにいつの間にか稲穂をそよがせて秋風が吹いている この歌は今から千年以上前…

【字余りの歌】53

http://takasu-b.up.n.seesaa.net/takasu-b/image/A4AEA4F3A4CAA4F320(9).JPG?d=a1 大風の去りし いてふの街路樹の銀杏(ぎんなん)の実黄金に散らばりたる先週初めは台風16号崩れの温帯低気圧の影響で、首都圏でもそれなりに雨風が強く吹き荒れました。そ…

【万葉集2014】2 言問はぬ木すら妹と兄と

言問(ことと)はぬ木すら妹(いも)と兄(せ)とありといふをただ一人子(ひとりご)にあるが苦しさ市原王(いちはらのおおきみ)物を言わない木にすら兄妹があるというのにわたしはただの一人でいるのが寂しくて苦しい撰者は現在文筆家として活躍されてい…

【字余りの歌】52「父という字を書いてごらんなさい」

父という字を書いてごらんなさい母という字と違って言葉少なでシンプルな簡単な字です でも手足を大きくめいっぱい広げて立ちはだかりこどもたちがしてはならぬことを厳しく戒めていますそしてそれが倒れることがないようにしっかりと重石(おもし)をして…

【万葉集2014】1 うましものいづくも飽かじを

うましものいづくも飽かじを坂門(さかと)らが角(つの)のふくれにしぐひあひにけむ児部女王(こべのおおきみ)良いものはどこでも飽きられないのに何だってまた坂門の家のあの子は角の家の醜男(ぶおとこ)なんかと結婚してしまったのだろう久しぶりの万…

【字余りのうた】51

雛たちの生命(いのち)が尽くす光かなもぞ先日、自分の住む近隣の駅ビルに、人々が集まって、何かを見ている光景に出くわしました。なんだろうと思って近づいてみると、駅ビルの1階のテナントの入り口を照らすライトの上に、小さな燕の巣が、ちょこんと乗…

【万葉集2013】12 いさなとり海や死にする

いさなとり海や死にする山や死にする死ぬれこそ海は潮干(しほひ)て山は枯れすれ詠み人知らずいさなとり海は死ぬのですか山は死ぬのですか死ぬからこそ海は潮が干上がり山は枯れるのです冒頭の「いさなとり」とは海にかかる枕詞で、「鯨魚取」「勇魚取」な…

富士山文化遺産記念【万葉集2013】11 なまよみの 甲斐の国

こちらの画像は、夏の、いわゆる青富士の姿です。天頂に雪をかぶった定番の富士山も美しいですが、夏の凛々しく雄々しい富士もなかなか素晴らしいと思いませんか。なまよみの 甲斐(かひ)の国うち寄する 駿河(するが)の国とこちごちの 国のみ中ゆ出で立てる …

【万葉集2013】10 君が行き日長くなりぬ

君が行き日(け)長くなりぬ山尋ね迎へか行かむ待ちにか待たむ 磐姫皇后(いわのひめのおおきさき) 我が君が行幸(いでまし)になられてもうずいぶんと日が経ってしまった山道を辿ってお迎えに行こうかこのままじっと待っていようか 磐姫皇后は五世紀に在…

【万葉集2013】9 道行く行くも 青山を

物思はず道行く行くも青山を振り放(さ)け見ればつつじ花にほえ娘子(をとめ)桜花(さくらばな)栄え娘子(をとめ)汝(なれ)をそも我(われ)に寄すといふ我(われ)をそも汝(なれ)に寄すといふ荒山も人(ひと)し寄すれば寄そるとぞいふ汝(な)が心…

【万葉集2013】8 花細し葦垣越しに

花細(はなぐは)し葦垣(あしがき)越しにただ一目(ひとめ)相見し児故(こゆゑ)千度(ちたび)嘆きつ詠み人知らず花のうるわしい葦垣の向こうにたった一目見たあの娘(こ)のせいでもう千回も溜め息ばかりついている 春というのは一斉に花開き、1年の…

【中国詩】詩経「桃夭(とうよう)」

いつぞやの万葉集の記事で、春の代表的な花としては、まず以て、桃、梅、桜が挙げられるだろうという話をしました。このうち梅と桜は、我が国の万葉集及びその後の古今和歌集以降の歌集でも数多くの歌が詠まれていますが、桃については、それほどでもないよ…

【万葉集2013】7 白玉の  我が子古日は

白玉(しらたま)の 我が子古日(ふるひ)は明星(あかぼし)の 明くる朝(あした)はしきたへの 床(とこ)の辺(へ)去らず立てれども 居れども共に戯(たはぶ)れ夕星(ゆうつづ)の 夕(ゆうべ)になればいざ寝よと 手を携(たずさ)はり父母(ちちはは…

【万葉集2013】6 移り行く時見るごとに

移り行く時見るごとに心痛く昔の人し思ほゆるかも大伴家持移り変わる季節を目にするたびに心が痛むほどなつかしい昔の人達のことが思い出されてならないこの世に生を受けた者は必ず死ぬ運命にあります。死んだらどうなるのか…いろいろなことが言われていま…

【万葉集2013】5 我が園に梅の花散る

我が園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも大伴旅人私の園に梅の花が散る天から雪が流れて来るのだろうか首都圏では、三寒四温どころか、もう、ずっと暖かい日が続いていて、たまに寒い日があるというような季節柄になってきました。春の花々も、…

【万葉集2013】4 冬ごもり 春さり来れば

天皇の内大臣藤原朝臣に詔して、春山万花の艶(うるわし)きと秋山千葉(せんよう)の彩れるとを競い憐ましめたまひし時に、額田王の歌を以てこれを定めし歌冬ごもり 春さり来れば鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ咲かざりし 花も咲けれど山をしみ 入りても取らず草…

【万葉集2013】3 玉梓の妹は玉かも

今回紹介する万葉集の歌は玉梓(たまづさ)の妹(いも)は玉かもあしひきの清き山辺に撒けば散りぬる詠み人知らず妻は玉なのだろうか清らかな山辺にお骨を撒いたら(きらきらと)散っていってしまった自分は万葉集の詠み人知らずの歌に、とても惹かれるんで…

【万葉集2013】2 巨勢山のつらつら椿

今回紹介する万葉集の歌は巨勢山(こせやま)のつらつら椿つらつらに見つつ偲(しの)はな巨勢の春野を坂門人足(さかとのひとたり)巨勢山のつらつら連なる椿の木つらつら見ながら偲ぼうではありませんか椿の花咲く巨勢の春野を和歌というものは、その文字…

【字余りのうた】50 初雪

早春のはつゆき牡丹ゆきささめゆき天霧る雪に白く染まれば昨年5月以来、久しぶりに自作の和歌を詠みました。ご存知ない方に申し上げますと、【字余りのうた】は、自作の和歌俳句の記事の時のもので、 いつも五七五もしくは五七五七七に収まらないで、歌が…