【字余りの歌】54
寒戻る
春の嵐の
散る花の
無地のビニ傘
花に染まりたる
昨日首都圏は真冬並の寒さで、強風が吹き荒れる強烈な寒戻りとなりました。
数日前、満開だった桜も、抗(あらが)うすべもなく、はらはらと散るばかりで、
道路などには桜の花びらがそれこそ絨毯のように、
また近所を流れる小さな用水のような川には花筏(はないかだ)となって流れてゆきました。
その花嵐の中で、自分はビニール傘をもっていかれないように、
桜並木の下、必死に傘の柄を両手で支えながら歩いていたのですが、
自分の傘に、桜の花びらがまるでその模様のように貼り付いているのを見て、
この歌を思いつきました。
で、歌の内容なんですが、まず、
春の嵐に
散る花の
とするよりも、
春の嵐の
散る花の
と、「の」「の」と重ねた方が、はらはらと花びらが散る様がよく表れているのではないかと感じ、
発表の通りにしました。
一番迷ったのは、最後のフレーズで、
花染まりたる、桜(はな)染まりたる、など、いろいろ候補があったのですが、
「花染まりたる」ですと五七五七七の定型でぴったり収まるし、
ある意味、洗練されているかなとも思ったのですが、
「に」のある方が桜の花びらの生命力のようなものを、
より強く印象づけることができるのではと感じ、
発表の通りとしました。
というわけで今回も、またもや字余りの歌となりました(^_^;)
なお、この歌に関して、ここはこうした方がいいという意見などございましたら、
遠慮なくどんどんおっしゃっていただければと思います。
自分にとって、とても勉強になりますので。
もっと言えば、このテーマなら、自分ならこう詠むと、全く詠み変えてしまったものでも構いません(^_^;)
おまけの歌
うす曇る
道を照らせし
ぼんぼりの
赤と白の華
たゆやかに咲く
道を照らせし
ぼんぼりの
赤と白の華
たゆやかに咲く
たゆやかとは、たおやかという言葉に、
ゆったりとか、ゆたかに、という意味をつけ加えた自分の造語です。
意味もさることながら、語感のようなものを味わっていただければ。
そして、華は、「か」と読んでいただければと思います。
「はな」でもかわいらしいですけれどもね。