らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【字余りの歌】59 夏の風情








梅雨寒も
夏待ちかねて
蝉時雨




7月ももう末になりつつありますのに、
首都圏ではいまだ梅雨明け宣言がなされておらず、
相変わらず雨や曇りの日が多くなっています。
雨の日などは、肌寒さすら感じてしまうほどで、
スーツの上着を着てちょうどいいくらいの感じです。
こんなに涼しい7月は今までに記憶がありません。

そんな7月ですが、
蝉はその生命をたたきつけるように鳴いています。
蝉の声だけ聞いていると、
それは、太陽の強烈な熱と光がアスファルトに反射する、
暑い夏そのものです。

朝の通勤時、信号待ちをしている時にそのような情景に出会い、
ふとこの句が浮かびました。



そして、夕暮れ時。
窓を開ければ、涼しい風がさぁっと吹き込んできます。
例年ですと、夜遅くまでクーラーをつけてないと居られないほどなのですが、
今はまるで高原のロッジにでもいるかのような感すらする心地です。

実家の名古屋では、夕暮れになりますと、
蝉の鳴き声とは交代に、田んぼの蛙が一斉に鳴き始め、
水のはった田んぼの上を吹き抜ける風と相まって、
稲の匂いかぐわしく、夏の風情が感じられたものです。
残念ながら、自分の住んでいる首都圏の地域では、田んぼが全くなく、
ここ久しく蛙の声を耳にしたことがありません。

しかしながら、昨年引っ越してきた住居にて、
思わぬ夏の風情を聞くことができました。


ひぐらしです。
https://www.youtube.com/watch?v=YW3qlZ0Ehus

ひぐらしの声というのは不思議です。
どこか儚(はかな)げで優しい響きがそれにはあります。

ひぐらしの声は、鳴くというよりも、
奏でるという方がぴったりくるような気がします。

目を閉じて、それに耳を傾けていると、
いつまでもひたっていられる不思議な心地よさがあります。


話によりますと、虫の鳴き声に風情を感じるのは日本人だけで、
西洋人などにはうるさい雑音にしか聞こえないそうです。

その感性は、日本人にとって、誇ることのできる、
とても素晴らしいものに思います。







今度引っ越してきたところは、 いわゆる里山を切り崩して造成した住宅地ですが、
所々にまだその名残を留めており、
緑芳しい自然豊かなところで、とても気に入っています。