らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【字余りの歌】60 蝉の風景












真っ白に
つるんと脱げても
セミヌード


もぞ



蝉が鳴いています。
朝5時から鳴いています。
日柄一日中鳴いています。
人間の何十分の1の体しかないのに、何十倍の声の大きさで鳴いています。
人間が同じように泣き続けても30分も無理でしょう。
そのエネルギーはいったいどこからくるのか。
とてつもないエネルギーです。
もうわかったから少し静かにしてくれと言っても聞いてくれる蝉達ではありません。
蝉の鳴き声というのは、
夏の強烈に放たれるエネルギーの象徴なのだと感じざるを得ません。。





朝から蝉の声に悩まされている会社の美人の同僚が、
ポツリとつぶやきました。
「土の中からずっと出てこなければいいのに。」

美人というものは時として非常に残酷です。
しかし、その残酷さに心地よさを感じるくらいでないと
到底付き合うことは叶いません(笑)





これだけの数の蝉が鳴いているということは、
セミの抜け殻もたくさんあります。
先日、自分の住んでいる道向かいにある公園で、夏休みの少年が何かをじっと見つめていました。

何気に近寄ってみると、
「こんなところに、またあぶら蝉の抜け殻が。」
と、一人つぶやきながら、せっせとそれを採集していました。

おそらく収集したセミの抜け殻を 机の引き出しにしまい、
掃除のため引き出しを開けたお母さんが悲鳴をあげるというパターンなのでしょう。





蝉はわずかの間、全力で鳴き続けてその命を終えます。
もう既に仰向けに転がっている蝉の亡骸をたくさん見ることができます。
まさに人間が仰向けに大の字で 死ぬのと同じような形です。

自分の持てるエネルギーを尽くし、大往生で生涯を終える蝉達に、
今の我々も見習うべきところがあるのかもしれません。





鳴き尽くし
蝉大の字に
夏の空










残暑お見舞い申し上げます。
まだまだ暑い夏が続きます。
皆様、くれぐれもお身体をいとわれますように。


                        もぞ