「烏(からす)の北斗七星」宮澤賢治
自然を見て感じ、自然からもらったものだと記しています。
彼は何十羽もの烏が冬の田んぼに降りているのを見て、
その漆黒の色合いから軍艦が多数停泊しているように感じたのでしょう。
そして一斉に飛び立ちギャアギャア鳴く様を艦隊の砲撃の演習の様子に重ねて見たに違いありません。
そして一斉に飛び立ちギャアギャア鳴く様を艦隊の砲撃の演習の様子に重ねて見たに違いありません。
闇夜にいきなり月明かりが地上に差し込み、それに驚いて烏が飛び立つ様を、
敵の不意打ちと勘違いした烏の艦隊が慌てふためき混乱する物語の下りは、
本当によく自然を見ていて、
子どものような心で感じることができる人だなと感心してしまいます。
その烏の艦隊も間近に山烏との戦を控えています。
主人公の烏の大尉は開戦を前に恋人のことを思いながら眠れぬ夜を過ごします。
「おれはあした戦死するのだ。」と死を覚悟し、
その烏の艦隊も間近に山烏との戦を控えています。
主人公の烏の大尉は開戦を前に恋人のことを思いながら眠れぬ夜を過ごします。
「おれはあした戦死するのだ。」と死を覚悟し、
「あしたの戦でわたくしが勝つことがいいのか、山烏がかつのがいいのかそれはわたくしにわかりません、
ただあなたのお考のとほりです、わたくしはわたくしにきまつたやうに力いつぱい戦ひます、
みんなみんなあなたのお考へのとほりです」と彼らの守り神の北斗七星に祈りを捧げます。
自分の死を予感し、戦争で相手をあやめることに良心の疼きを感じながらも、
自分の死を予感し、戦争で相手をあやめることに良心の疼きを感じながらも、
目前の避けえない戦いを精一杯戦うしかないと決意し、いろいろな思いが錯綜し、悩みながら一夜を明かします。
やがて冬の夜が明け、開戦するも烏の艦隊は見事山烏に勝利します。
仲間は皆無事であることの報告を受け、
やがて冬の夜が明け、開戦するも烏の艦隊は見事山烏に勝利します。
仲間は皆無事であることの報告を受け、
烏の艦隊は皆、主人公の大尉も嬉しくて熱い涙をぼろぼろ雪の上にこぼします。
そこには戦の勝利に浮かれ得意げに功を誇る烏の姿は一切ありません。
そしてなによりも先に敵の亡骸を手厚く葬ることを願いでて、
主人公の大尉は守り神の北斗七星に祈ります。
「どうか憎むことのできない敵を殺さないでいいやうに早くこの世界がなりますやうに、
そこには戦の勝利に浮かれ得意げに功を誇る烏の姿は一切ありません。
そしてなによりも先に敵の亡骸を手厚く葬ることを願いでて、
主人公の大尉は守り神の北斗七星に祈ります。
「どうか憎むことのできない敵を殺さないでいいやうに早くこの世界がなりますやうに、
そのためならば、わたくしのからだなどは、何べん引き裂かれてもかまひません。」
種族(国)別に対峙し避けえなかった戦とはいえ、
憎むべきでない敵との戦がなくなるよう祈る大尉の姿は賢治の心情そのものなのでしょう。
敵国に属しているというだけでお互いに戦わなければならない不条理の世界。
戦いを強いるために、相手の国や人々までも無理やり憎むよう仕向ける人間の良心とは真逆の行い。
烏の大尉の祈りは100年近くを経た今現代に届いたといえるでしょうか。
おそらく主人公の烏の大尉は、たとえこの戦いで死んだとしても
敵国に属しているというだけでお互いに戦わなければならない不条理の世界。
戦いを強いるために、相手の国や人々までも無理やり憎むよう仕向ける人間の良心とは真逆の行い。
烏の大尉の祈りは100年近くを経た今現代に届いたといえるでしょうか。
おそらく主人公の烏の大尉は、たとえこの戦いで死んだとしても
その運命を受け入れ同じことを祈り自己の死を受け入れたのではないかと自分は感じます。
なおこの物語は冬の自然が非常に美しく賢治らしい表現で描写されています。
なおこの物語は冬の自然が非常に美しく賢治らしい表現で描写されています。
桃の果汁(しる)のやうな陽の光は、まづ山の雪にいつぱいに注ぎ、
それからだんだん下に流れて、つひにはそこらいちめん、雪のなかに白百合の花を咲かせました…
ぜひゆっくりと味わって読んでいただけたらと思います。
なおこの「烏の北斗七星」は、先日記事にした「きけ わだつみのこえ」に収録されている
ぜひゆっくりと味わって読んでいただけたらと思います。
なおこの「烏の北斗七星」は、先日記事にした「きけ わだつみのこえ」に収録されている
佐々木八郎さんという方がその感想を記しておられます。
次回は佐々木さんのこの作品の感想手記について述べるつもりです。
明日か明後日には投稿することを必ず約束しますので、読んでいただけたらと思います。
次回は佐々木さんのこの作品の感想手記について述べるつもりです。
明日か明後日には投稿することを必ず約束しますので、読んでいただけたらと思います。
青空文庫「烏(からす)の北斗七星」