らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「月夜のでんしんばしら」宮沢賢治

宮沢賢治の名前を知らない日本人はほとんどいないでしょう。
パッと浮かぶ作品としては「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」というところでしょうか。
しかしその他の短編も興味深いものがいくつかあります。
今回読んだ「月夜のでんしんばしら」もそのひとつです。

ストーリーは、田舎の暗い夜道をとぼとぼ歩いていた主人公が、
でんしんばしらがいきなり動き出し軍隊のように勇ましく行進し出すのを目の当たりにするという
メルヘンチックというかオカルトチックなもの。

整然と並んだ夜中の電信柱が賢治の目には軍隊の行進のように見えたのでしょうか。
そしてなにしろこの作品、テンポがとてもいい。
「ドッテテ ドッテテ ドッテテド でんしんばしらのぐんたいは~♪」
というような行進曲風のセリフが随所に入るので、声に出して読むとなかなか楽しいものです。

あとでんしんばしらが並んで行進している絵を想像しながら、読むのは実に楽しいものです。

昨年NHKで太宰治短編集が様々な監督や役者で制作され放送されましたが、
宮沢賢治の短編集も、様々な漫画家や声優でアニメ化され放送できないものでしょうか。
「月夜のでんしんばしら」は映像的にもストーリー的にも佳作のひとつになると思います。

ある日仕事が終わって、夜道をとぼとぼ歩いていたら、
道すがら鉄塔が、向かいの丘の先までずらっと並んでいるのを見て
某かの巨人が縦列で歩いているように見えてしまいました。
我ながら宮沢賢治力が少しついてきたといえるんでしょうか。