らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「夢占」楠山正雄

 
 
8月も半ばを過ぎて、
今月まだ1つも本を読んでいないことに気がつきました(-o-;)

ここは、一応、文学のブログですから、
やはり最低でも月に1つは読まないと。
ということで今回読んだのは「夢占」楠山正雄(青空文庫収録)。
これでも1作品にカウントするのかとツッコまれるほど、
すごーく短い作品です(^_^;)

で、この作品、どういう内容かといいますと、

昔々、今の大阪と淡路島にそれぞれ女(雌鹿)がいて、
その間を行ったり来たりしていた男(牡鹿)が、
大阪の女(雌鹿)に自分の見た夢の話をします。
男(牡鹿)とずっと一緒に居たい女(雌鹿)は、
男(牡鹿)を自分のところに引き留めようと、でたらめな夢占をしますが、
結局そのでたらめな夢占の通りとなり、
男(牡鹿)は猟師に殺され塩漬けの肉にされてしまったのでした。


教訓:うっかりじょうだんに占いなどを立てると、
それがほんとうになって、
とんだ災難をうけることがあるものです。


災難って…そんなレベルではないような気もしますが(^_^;)
まあ二股をかけていたがゆえの自業自得でもあり、
と同時に奇っ怪で、不思議な話でもありますが、
夢というものは元来不思議なものです。

夢については、
長い間、天から下りてきた未来の予知みたいなものと考えられていましたが、
その考え方から脱却したのは、
20世紀に入って、フロイトの研究が始まってからであり、
わずか100年くらい前のことです。

それによりますと、夢というのは人間の潜在意識の中に存在する記憶が
表出したものであるというような説明をします。
そして、現実化していない欲求の充足が夢であるというようなことをいいます。
要は、現実に満たされないものが夢に出てきて、
夢の中で満足を得るということですね。

しかしフロイトの夢の欲求の充足の説明は、性的衝動に偏っているところもありまして、
夢がむやみやたらに性的欲求に関連しているとするのは、
フロイトが生きた20世紀初頭の
保守的で抑圧的なカトリックの精神的支配下にあったオーストリアではともかく、
現代ではどうなのかなと思うところがあります。

例えば、空を飛ぶ夢というのは、
現実社会で抑圧されている性的欲求の開放を意味するとされ、
その飛行が高ければ高いほど長ければ長いほど
現実の抑圧が大きいというようなことがいわれます。

しかし、だとしたら、
錐揉(きりもみ)しながら垂直に空に飛んでいった夢を見たことのある
自分は一体何なんだという話なわけで(^_^;)
冷静に客観的に分析して、その夢を見た時期には、
そのような極度の欲求不満状態ではなかったと断言できます(汗)ホントに

まあこれ以上いろいろ言うのは、
あまりきちんとフロイトを読んでいないこともあり、これくらいにしておきますが、
最後に、この作品を読んで思ったこと。
人間以外の動物って夢を見るの?ということです。

会社の女性で「猫は夢を見ますよ。」と言う人がいます。
念のためですが、Mさんではありません(^_^;)

その人によると猫が寝ている時、
明らかに寝ぼけて手足をバタバタさせている瞬間があるとか。
自分は猫を飼ったことがないので何ともいえませんが、
犬ではそのようなところを見たことはないですね。
夢は脳で見るものであるならば、
人間に近い脳をもつ動物であれば、ひょっとして…とも思うのですが、
実際はどうなんでしょう。
本当だとすれば、夢ってやっぱり不思議です。