らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「おべんとうばこのうた」作詞 香山美子  作曲 小森昭宏

 
 

先日、会社の休憩室でお昼を食べていましたら、
例のあのMさんとたまたま相席になりました。

今はお互い働いているブースが違うので、今年はじめておしゃべりしたわけですが、
あけましておめでとうの挨拶から始まり、
正月は何をしていたかとかいうような諸々の雑談をしておりました。

その中で、去年はいろいろな人が亡くなったね。という話になりました。
確かに年末に亡くなられた高倉健さんや菅原文太さんはじめ、
昨年は多くの方が亡くなられたような気がします。

自分はMさんに、その中で印象的だった人いる?と尋ねました。

すると、Mさんは少しの間、考えていましたが、
ぞうさんの歌を作詞したまどみちおさんですかね。と答えました。
ぞうさんの歌を作った人なんてとっくに亡くなられて、
まだ生きていたなどとは夢にも思わなかったというのです。
自分が幼稚園児の時にも、すでにぞうさんの歌はありましたから、
確かに自分にもその感はあります。


そして、ここからがMさんワールド全開の話となるのですが(^_^;)
自分が、まどさんの歌であと印象的なのある?と尋ねました。
すると、Mさんはちょっと考えて、
「おべんとうばこのうた」ですかね。と答えました。

皆さんはもうお気付きでしょうが、
「おべんとうばこのうた」はまどみちおさんの作品ではありません(^o^;)
しかし、その時は自分も知らなくて、
「おべんとうばこのうた」はまどみちおさんの作品ということで、話はどんどん続いてゆきましたf(^_^;

「あー、あれ、美味しそうなお弁当の歌だよね。」
と、自分が相づちを打つと、
Mさんはじつと黙って、自分の顔を見て、
「果たしてそうでしょうか。」
と答えました。
「えっ!?美味しそうじゃないの?」
と自分が半ばびっくりして言うと、
「もぞさん、おべんとうばこのうた歌えますか?」
尋ねてきたので、
「ええ、まあ、歌えると思うけど・・・・」
と言いますと、
「じゃあ、今、歌ってみてください。」
「ええっ、ここで!?」
「はい、ここでです。」

なんやら羞恥プレーの強要みたいな展開になってきましたが(^_^;)
なんとなく、断れない金縛り的なものを感じて、
他のテーブルの会社の人には決して聞こえないように、
ぼそぼそっとMさんだけに聞こえるように、自分は歌い出しました。



これっくらいの♪ おべんとばこに♪
おにぎりおにぎり ちょいとつめて


Mさんは自分の歌にじつと聞き入っています(^o^;)


きざーみしょうがに♪ ごましおふって
にんじんさん ごぼうさん しいたけさん
あなーのあいたれんこんさん
すじのとおーったふーき♪


あっ!その時自分は気付きました。

すると、Mさん,
「気付いていただけましたか。
あの歌のおべんとうばこに入っていたのは、
人参、ごぼう、しいたけ、れんこん、ふきって
色映えのしない美味しくなさそうな煮物ばかりなんです。」

自分も、勝手に、ウインナーや卵焼き、プチトマトといった
いろどり鮮やかなお弁当箱の中身をイメージしていました。
それが、今の感覚ではあまり想像できない地味な野菜の煮物の詰め合わせだったとは。
美味しそうなオーラ全開な歌だっただけに、その時、ちょっと意外な感じがしました。

その場はそれで終わりましたが、その日の帰り道、ふと感じたことがあります。

まどみちおさんもそうですが、この歌を作った人も大きくは戦前に子供時代を送ってきた人達です。
当時は、ウインナーや色とりどりの野菜などありませんから、
子供たちの最高のごちそうは、固い野菜を食べやすいように柔らかく煮た煮物だったのでしょう。
今のおべんとうからは想像もつかないかもしれませんが、
その時々の、最高に子供にとって美味しいものを、お母さんが愛情たっぷりにとじこめたおべんとうばこ。

この歌が、美味しそうなオーラ全開に聴こえたのは、
時代はそれぞれ違えど、そのような、それぞれの時代のお母さんたちの
愛情のたっぷりつまったおべんとうばこを開ける、
子供たちのわくわくした心がそうさせて、歌い次がれてきたのではないか。

ちょっとそんなことを思ったりしました。

クリックすると新しいウィンドウで開きます