「夢占」楠山正雄おまけ話 - らんどくなんでもかんでもＲ

先日お話しました「夢占」のお話。
記事のコメント欄では、動物も夢を見るかという話題が出ましたので、
ここでは古今東西の夢にまつわる話をしようと思います。

２０世紀になって、フロイトが現れるまで、
夢というのは天からのお告げ、いわゆる予知夢として捉えられることが多く、
古今東西、夢にまつわる話がたくさんあります。

ここでは中国の三国志に記されている夢占の話を紹介しましょう。

蜀の大黒柱諸葛孔明は天下統一の志半ばにして、この世を去りました。
その頃、別働隊として離れた陣におり、
日頃から諸葛孔明への不満をあらわにしていた将軍魏延は、
昨夜見た頭に角が生えるおかしな夢について思い悩んでいました。

魏延が傍らにいた趙直に尋ねると、
「麒麟の頭には角がある。蒼竜の頭にも角がある。
凡人が見るには凶夢であるが、将軍のような勇者が見た場合は大吉夢でござる。」
ということでした。

しかし、それはその場を無難に切り抜けるための方便で、
後から他の者に語ったところでは、
「角という字は刀を用うと書く。頭に刀を用いる時はその首が落ちるにきまっているではないか。」
という大凶夢でした。

果たして魏延はほどなく反抗分子として捕らえられて処刑され、
夢占い通り命を落としたのです。

しかし、現代のフロイト的立場からこの話を分析しますと、
角の夢は、本人の、未来への自信の現れを意味し、
むしろ魏延の、諸葛孔明亡き後の自らの自信を表すと解釈することができるようです。

なお、この趙直なる人物、他にも同じ様な話があり、
何祗という人物が見た、井戸の中に桑の木が生えているという夢について夢占をした話があります。

曰く「『桑』という字は四十の下に八を書くため、貴殿の年齢は４８歳を超えることはないでしょう。」

こちらがもともとの『桑』という字の正式な形です。
確かに十が４つで四十。木の八の部分が八で、合わせて四十八と解析できます。

果たして、何祗は夢占の通り、４８歳を越えることなく亡くなりました。
なお、古代においては４８歳を桑寿として祝っていたそうです。

これらは、正式な歴史書である三国志正史にて紹介されている話ですから、
あながち全く空想のお話というわけでもないエピソードであるといえます。
不思議な話ですよね。

しかし、この漢字解析型夢占なかなか面白く、

今でも十分流行りそうな感じがします(^_^;)

また近世では夏目漱石が自ら見た夢について綴った「夢十夜」という小説があります。

その中の第十夜の夢は、一見コミカルな豚の大群が出てくる夢なんですが、
フロイト的に説明しますと、豚というのは性欲の象徴であり、
漱石の性的欲求が鬱積していることを如実に顕したものであると言われます。

なお、この「夢十夜」については、以前記事にしたものがありますので、
興味ある方はご覧になってみてください。
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/7130159.html

そして最後に最近自分が見た夢。
最近ブログ記事などで夢を意識することが多くなったせいか、時折印象的な夢を見ます。

或る朝、マンションのポストを開けた自分は、１通の葬式のお知らせの封筒を見つけます。
それは見ず知らずの小田原に住む女性の葬式の案内でした。

中を開けると、亡くなった女性のフォトショットの小冊子みたいなものが入っており、
ぺらぺらとそれをめくると、
彼女の子供時代から二十歳くらいまでの入学式やら運動会やらの写真が、
いろいろと収められていました。
写真の背景の様子などから、その人が自分と同世代くらいの年のであることがわかりました。
しかし、いくら探しても死の間際の今現在の大人の彼女の写真は見当たりません。
案内状を見ても葬式を執り行う寺の住所と日取りが記載されているのみで、
電話番号すらも書いてないのです。

小田原までは遠いですし、最初は放置しておこうと思っていた自分ですが、
葬式の日が近づくにつれて、そのことがなんとなく気になり、
案内を頼りに行ってみようかと思ったのでした。

実は、ここで、この夢は終わりです(^_^;)
夢というのは続きを見ることはめったにありませんから、
この続きがどうなるのかは自分自身もわかりません。
今でもあの夢に出てきた女性は誰だったかと思うのですが、
全く記憶にないのです。
しかし、夢の中の写真のその顔は鮮明に印象に残っています。
ちょっと気持ち悪いといえば気持ち悪いですよね。

趙直的夢占およびフロイト的夢の見立てによると、どのような意味をもつ夢なんでしょう。
ちょっと気になりますね(^_^;)