らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「ゴッホの手紙」2 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ







         「赤いぶどう園」 


この作品はゴッホの生前唯一売れた作品として知られています。
買い値は400フランで、現在の日本円に換算すると10万円くらいとのことです。


ゴッホは絵が売れず、貧しさに苦しみ、
その生活を弟テオからの援助に頼っていたわけですが、
そのせいもあってか、他の貧しい画家達への同情も強く、
苦境にある芸術家同士が共同生活をするなどして、
互いに助け合うことの必要性を何度も手紙に書いています。
そして、そのような考えが、後のアルルでのゴーギャンとの共同生活に結実するわけです。


ゴッホという人は、牧師になろうとして挫折し、色々な職業を経て、
20代半ば過ぎで、画家としての志を立てた人です。
そして37歳で亡くなっていますので、
画家としての活動期間はわずか10年あまりに過ぎません。

その間に書いた作品は油彩900点、素描1100点。
これは、およそ2日で1つ以上のペースで作品を描き続けたということになります。
これらの絵の他に、約900通の手紙を書いており、
およそ4日に1回のペースで手紙を書き綴っていたことになりますから、
つまりは彼が画家を志して死ぬまでの10年間は、
がむしゃらに絵のことを考え、描き続けた人生だったわけです。













かようなゴッホの生きざまに、自分は、日本の幕末の志士と重なるものを感じます。
新しい芸術を生み出すための理想を語り、
精力的に活動し仲間と激論を闘わし、
真剣勝負ゆえ、時には仲違いや喧嘩別れもあったでしょう、
しかし、死ぬまで休むことなく自分の信ずる志のために歩み続けた。

そして、自らは新しい世を見ることなく、志半ばでこの世を去ったが、
彼が理想とした新しい芸術は、その死後、見事に世の中に受け入れられ、花開いた。


ゴッホは、手紙の中で、自分の芸術が世の中に受け入れられるだろうか、
という不安についても述べています。
そして、生きている間はおそらく認められることはあるまいとも言っています。

しかし、彼は、最初に巡り会ったインスピレーションを
終生大切に生き続けたのだと思います。
理屈や打算、そういった後付けのものではなく、
心に素直に入ってきた思いを貫き通した。



「僕は絵の中で音楽のように何か人を慰めるものを語りたい。
僕は男や女でなにか永遠のものを描きたい、
永遠であるもの 昔は後光がその象徴であったが、
これからは、我々は輝きそのものによって、
我々の色彩の振動によってこれを求めるのだ。・・・・

星によって希望を表現すること。
夕陽の輝きによってある人間の激しさを表現すること。
もちろんそこには表面的な写実はない。
しかし、それこそ実在するものなのではないだろうか。」


「イエスは真の芸術家である。
何故なら彼は、筆や道具を用いずに、
愛を以って、真の人間の再創造を成し得るからである。」


「いまモーパッサンのピエールとジャンを読んでいる。
まったく美しい。
君は序文を読んだかい。
芸術家が小説の中で自然をより美しく、より単純に、優しくするために
誇張して書く権利があると説いている。
そしておそらくフローベルの次の言葉
『才能は長い努力の賜であり、独創性は強い意志と鋭い観察によってもたらされる』
という意味を知らしめたかったのだろう。」







アルルにゴーギャンを迎えた、その僅かな時間は、
ゴッホの画家としての人生の中で、
貧しいながらも、最も希望に満ちた幸せなひとときであったことでしょう。
ゴーギャンに宛てたゴッホの手紙は、
絵画への盛んな意欲と瑞々しいまでの喜びに満ち溢れています。

「最近、私の寝室を描いた30号の油絵をしあげました。
単純で何もない室内を描くのは楽しい仕事でした。
色面は平坦ですが、大きなタッチでたっぷり塗ってあります。
壁はうすい紫、床は色あせたような粗い赤茶、イスと寝台はクローム・イエロー、
枕と敷布は薄緑がかったレモン色、毛布は血のような赤、テーブルはオレンジ、
洗面器は青、窓枠は緑です。
さまざまな色によって、絶対的な休息を表現しようとしました。
白い部分といえば、黒い枠に囲まれた鏡の面だけです。
あなたが来られたら、この作品もほかのものといっしょに見ていただきたいと思います。」






「アルルの寝室」



そして、ゴッホの有名なひまわりは、
ゴーギャンを迎えるために、
二人が共同生活をする部屋に掛けるために描かれた作品でした。




「ひまわり」


ゴーギャンは、その時の事を次のように述べています。

「自室に掛けられた『ひまわり』をとても気に入った。
私の部屋には向日葵の絵が飾られている。
黄色い壺に活けられた向日葵。
絵にはヴィンセントと署名が入っている。
私の部屋のカーテン越しに太陽が差し込んで、花々をすべて金色に染める。
朝、目が覚めたとき、
私はこうしたものは皆とても良い匂いがすると思う。
ヴィンセントは黄色を、
彼の心を熱くする太陽の光を愛していた。」






ゴーギャン「ひまわりを描くゴッホ