らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【テレビ番組】 美の巨人たち 竹久夢二「黒船屋」



昨日「美の巨人たち」において竹久夢二の代表作「黒船屋」について放送していましたので感想を述べようと思います。

感想としては残念ながら番組全体の構成及び絵に対するアプローチともに今ひとつの印象でした。

絵を見るというのは美術館で見るのもテレビで見るのも同じで静かに鑑賞したいのですが、今回は女優山村紅葉さんがナビゲーターでしたが、彼女があまりにも賑やかしすぎるんです。
愛嬌があって嫌いじゃない人ですが、美術館で賑やかにされたのと一緒でこの手の番組としては少しミスマッチかなと思わざるをえませんでした。
美術番組で芸能人が出演するものはもともとあまり見ないんです。
彼らのしゃべりやらのパフォーマンスが本来絵が放っているものを曲げたり遮断したりしてしまうことが多いんですよね。絵をじっくりと落ち着いて見れないんです。

ただ今回の解説で初めて知ることもあり、そこは収穫でした。
19世紀末に生まれたアールヌーヴォーの特徴は曲線であったが、竹久夢二は独自のアールヌーヴォーを「黒船屋」で実現しているとのこと。
女性に縦縞の黄八丈を着させ体をくねらせて座らせることで優雅な曲線を作り意識させているそうです。

ただ番組の解説が「黒船屋」の色彩や構図におけるアプローチと夢二と彦乃の関係におけるアプローチがうまく整理されてないかというか、ごちゃごちゃっとした感じで、今ひとつ頭にすぅーっと入ってきませんでした。

しかし「黒船屋」予備知識なしで見ると微笑んでいるような寂しげであるような若い女性が両手でしっかり大きな黒猫を抱きしめている。
大きな黒猫は後ろ向きですから表情はわからない。
独特のけだるさというか儚(はかな)さというかを感じる雰囲気を持ったいい絵だと思います。

絵ってテレビや画集で見るのと生で実際見るのとはちょっと違うんですよね。
文学は電車でも寝床でも読めますが、絵画は足を運んで美術館に行く価値はあります。

「黒船屋」は竹久夢二伊香保記念館にて夢二の誕生日の2週間だけ完全予約制で鑑賞することができるそうです。
群馬県伊香保温泉はいい温泉ですからチャンスがある方はついでに予約するといいかもしれません。
でも「モナリザ」でさえも常時鑑賞できるのに「黒船屋」1年に2週間だけとは、仏像の開帳みたいな扱いです。
もう少し大勢の人が見られるようにしていただきたいものではあります。