らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【映画】宮澤賢治‐その愛‐

 
 
                                 http://ecx.images-amazon.com/images/I/51ATiDtUHRL._SL500_AA300_.jpg
 
1996年
監督:神山征二郎
脚本:進藤兼人
出演:三上博史 酒井美紀 仲代達矢 八千草薫 牧瀬里穂 中山忍

1996年は宮澤賢治生誕百年記念だったそうでそれを記念する映画もいくつか製作されたようです。
先週末ビデオ屋でたまたま目についてレンタルしました。

内容は宮澤賢治の学生時代から死までのいろいろな人との関わり合い、
特に女性との関わり合いなどをメインに描いています。

賢治の作品に理解を示して応援していた妹トシとの兄妹愛の話は有名ですが、
2時間でいろいろな人々との話をじっくり描くというのはやはり無理な話で
宮澤賢治人生ダイジェストみたいになってしまうのは仕方がないところでしょうね。

彼について一通りご存知の方なら内容を補完することもできるでしょうが、
予備知識のない方には唐突なシーンの連続に見えたかもしれません。

それでも裕福な商家に生まれた青年賢治の苦悩から
苦労する農民を救おうと農学校の教師になるまでの試行錯誤の過程は
わかりやすく描かれていたと思います。

それ以上に賢治の自然との関わり合いから
どのように作品が生まれたかなんてところまではやっぱり無理なんですよね。
岩手山をバックに賢治が林を散策するシーンはなかなか美しいものでしたけど。

中で言及された作品も「注文の多い料理店」「饑餓陣営」「セロ弾きのゴーシュ」くらいです。

しかしクラシック愛好家の自分としては賢治がチェロを弾くシーンや
ベートーベンの第九のレコードを農学校のみんなと聴いているシーンがあってそれは良かったですね。

ただ最後賢治が死んで遺族が原稿がいっぱい詰まった賢治のトランクを開け、
その中に「雨ニモ負ケズ」の詩がかかれた手帳が見つかるのですが、
その中に「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」など未発表の珠玉の作品群が収められていたのかと思うと
ちょっと感無量で、心なしかそのトランクが光り輝いているようにも見えました。

またこの映画、賢治の弟宮澤清六氏が監修してますので、
なにげない日常の仕草とかは賢治本人に似せているのかなと思ったりしました。


という感じの映画ですので時間があるようでしたらご覧になるとよろしいかと思います。