らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「富嶽百景」太宰治 おまけ



昨日「富嶽百景太宰治の記事を掲載しましたが、実はこの作品、今回初めて読んだものではありません。
実は高校1年の時国語の教科書に載っており、ひと通り授業で学習した作品なんです。

長い年月を経て、なぜこの作品が記憶に引っかかっていたかというと
「富士には月見草がよく似合う」という作品中のフレーズ。
太宰はこの手のフレーズを考えるのが非常にうまい。
「生まれてすみません」「子供より親が大事、と思いたい」などなど。
なぜかわからないですが、心にずっと溜まっているというか記憶に残るところがあります。

で、紅顔の美少年だった(^_^;)高校生の時、
富嶽百景」を読んでどんな感想をもったかですが、
まず当時思ったのが、
太宰治ってへそ曲がりで何を考えているかわかりにくい人だなということ。
ひょうひょうとしていますが、決して明るい人ではない。むしろ暗い。

「富士には月見草がよく似合う」のフレーズの真意を授業でやった時、
教室から思わずブーイングのような声が。
こんなへそ曲がりってどんな人生送ってきたんだよってところですが、
自ら招いた部分があるとはいえ、まあ普通じゃない人生を送ってきたわけで…

あとやはり高校生だけあって、どうでもいいけど刺激的な部分にいちいち反応していました。
先輩井伏鱒二が太宰の目の前で放屁したとか、
茶屋の娘さんが太宰と2人っきりで留守番していて、
太宰が後ろから声をかけたら泣いていたくだりで、一体何があったんだ(興味津々)とか(^_^;)

そして最後のクライマックス、女性二人組に記念写真を撮ってあげるくだり、
被写体から女性を外して富士山だけを撮る所為に、これはありえないだろうというクラスの反応。
自分も似たようなものだったかな。

まとめると当時の自分は、太宰の行動の本当に上っ面しか見ておらず、
その一見突拍子もない所為に気を取られ、
それに至る心の内奥を推し量るというようなことは全くできなかったといってよいでしょう。

でも高校生くらいって、人生の苦味とか苦悩というかそういうのなかなかわからないんですよね。
子供が味覚で苦味や酸味の良さがわからないのと同じで。

国語の先生も大学を卒業して数年の女の人で(蛇足ですがあだ名はエラハリでした(^_^;))
そういうところまで突っ込んで授業してくれたかどうか。
ひょっとして授業したのかもしれませんが、
お昼前の授業で、隣の女の子のお腹がぎゅるると鳴っているのに気を取られ
聞いてなかったかもということはあります(^_^;)

今回「富嶽百景」を読み直し記事を書いてみて、
高校生の時よりは主人公太宰の心の内奥に触れる読み方ができたのではないかと…
それなりの年月が経ち、当時の紅顔の美少年からほんの少しだけ色があせた部分もありますが(^_^;)、
その代わりそれなりに、心に何がしかのものを蓄えることができるようにはなったかなと
自分を慰めています(^_^;)

画像は太宰治甲府でお見合いして結婚した美知子夫人です。