らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【クラシック音楽】左手のためのクラシック音楽

 
先日、宮澤賢治セロ弾きのゴーシュ」の記事で、
ゴーシュとは、フランス語で、左利きのことをいい、
転じて不器用の意味があるということを申し上げました。

そうしましたら、
左利きは不器用って、フランス人は左利きの凄さを知らないの?!
というツッコミをいただき、
左利きである自分も、大いに励まされました(^_^;)

さて、クラシック音楽で使用される楽器というものは、
右利き、左利きで何かが変わるというものではありません。
というよりも、両手をそれぞれ巧みに動かさなければ、
演奏が成り立たないものがほとんどです。
ヴァイオリンやチェロのような弦楽器はそうですし、
クラリネットやトランペットの木管金管楽器もそうです。

しかしながらクラシック音楽には、
片手で楽器を演奏する曲も、実は存在します。
今回はそういう音楽を紹介したいと思います。

一番有名なのは、
ラベルの「左手のためのピアノ協奏曲」という曲でしょう。
この曲では、独奏のピアニストは左手一本でしか演奏しません。

作曲家はそうです。
あの「ボレロ」を作曲した人ですね。




なるほどピアノであれば、片手でも音を出すことができますから、
物理的には不可能ではないでしょう。
しかし本来両手で多彩な表現をするピアノを、
片手で同じように多彩に表現するのは至難の業で、
とてもゴーシュ(不器用)では弾きこなせないものです。

ラベルはフランス人ですけど、
彼のフランス語の辞書には、
ゴーシュの文字は無かったのかもしれません。

ラベルは、この曲を、第一次世界大戦で右手を失った
ピアニストの依頼を受け、作曲しました。
だから左手のためのピアノ協奏曲というわけです。

今回は音もそうですけど、
ピアニストの弾き姿に特に注目していただきたいと思います。
なんと言いますか、見ているだけで
左手が、つってしまいそうな感じがするといいますか(^^;)

しかしながら、そのダイナミックな、左手のみによる演奏は、
通常の両手を使って演奏するピアノ協奏曲と芸術的に全く遜色なく、
ラベル独特のピアノの色彩感のようなものが
存分に遺憾なく、解き放たれているように感じます。
自分がとても好きな、協奏曲の一曲です(^^)

特に最初の6分くらいまでのところを、
特にじっくり見ながら、聴いていただければと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=KJTUUKAdZDU

ちなみに初演は、委嘱を受けたピアニストによって行われました。
が、しかし、そのピアニストは、本番で楽譜通りに弾き切れず、
端折り気味に演奏してしまったそうです。
そして事後に、曲が難しい技巧にこだわりすぎており、
音楽性に乏しいとラベルを非難したため、
仲たがい状態になってしまったとか。

創作の物語なら、ここで感動的な演奏をして、
作曲家共々舞台において拍手喝采というところなのでしょうが、
現実は上手くいかないものです。

しかし、片手のみのピアノで、芸術性を損なわない作曲をするには、
やはりその分、左手に求められるものも多くなるのでしょうし、
音楽性云々の理由も、自分的には全く申し分なく、
というより、ラベルの作品の中で一番のお気に入り曲ですね。



そして、もう一曲紹介するのが、
プロコフィエフのピアノ協奏曲第4番。
こちらも片腕のピアニストから委嘱を受け、作曲されましたが、
委嘱したピアニストが、曲が理解不能としたため、
なんと初演もなし。
そのままお蔵入りしてしまいました(-.-;)
ラベルの作品より不幸な道を辿ってしまったんです。

が、しかし、第二次世界大戦で右手を失ったピアニストにより発掘され、
プロコフィエフの死後、
曲の完成から30年後に初演されました。

聴いてみると、こちらは委嘱したピアニストの
気持ちもわからないではない(^_^;)
左手に指が10本くらいついてないと、弾けないような気もします。
でも好きな曲ですよ。
頻繁には聴きませんけども。

画像は2分ほどのものですが、
こんな感じのが20分くらい続きます(^^;)
http://www.youtube.com/watch?v=BD1W57zarTE

以上、いかがだったでしょうか。
一見、突拍子もないようなものに思われたかもしれませんが、
何か感じたものがありましたでしょうか(^^)

今回の記事は、もともと予定になかったのですが、
皆さんと「セロ弾きのゴーシュ」のお話をしているうちに
閃いたものがありまして、記事を書いてみました。