らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【クラシック音楽】クラシックな日本の音楽

クラシック音楽を定義すると、
西洋の芸術的音楽のこと、となるようです。

芸術的って何だ?というと
大衆的ではない(=ポップスではない)音楽のことだそうです。

ポップスは芸術的ではないと言われると、
少々物言いもつけたくなりますが、
どちらのカテゴリーが、優れている劣っているという話でもなく、
単なる区分というぐらいの過ぎないようです。

ところで、その区分だと、
日本古来の音楽は、西洋の音楽ではないので、
クラシック音楽のカテゴリーには入らないことになります。
「クラシックな」音楽ではありますけれども。

実は、この自分、日本の「クラシックな」音楽にも結構興味があり、
中でも、津軽三味線平家琵琶が特に好きで、
機会があれば、ライブみたいなものに行ってみたいと思っています。

津軽三味線については、合奏よりも独奏の方が断然好きなんです。
その中でも飛び抜けて痺れるのが、高橋竹山の独奏。
彼の演奏は世界に誇ることができる日本の宝であると声を大にして言えます。
ぜひこの曲をお聴きになってみてください。
http://www.youtube.com/watch?v=DsqvB_tvpAU

合奏によるものは、ハーモニー(音の調和)というより、
音の混沌みたいなものを感じてしまうことが多いんです。

せっかくのキレ味ある透き通った三味線の音色が、
バシャバシャと大雨が、地上に落ちるような音に聴こえてしまうといいますか。
http://www.youtube.com/watch?v=lyfvQ7kosBc&feature=related

でも映像の演奏は素晴らしいと思います。
要は好みの問題ですね。


他方、平家琵琶というと、
すぐピンとくるのは、やはり小泉八雲「耳無し芳一の話」です。

作中、芳一に平家物語のどの場面が所望か?と問われ、
平家の亡霊は答えます。
「壇ノ浦の戦(いくさ)の話をお語りなされ。
その一条下(ひとくさり)が一番哀れの深い処で御座いますから。」

その台詞を聞いて、
あー、あの壇ノ浦のメロディは、確かに心にぐっとくるよね。
と言える方は、かなりの平家琵琶マニアだと思われます(^_^;)

自分も含め、そのメロディにピンとこない人のために、
ちょっと調べてみました。

現在、平家琵琶の弾き手は女性の方が多いんでしょうか。
女性の方の平家琵琶の演奏は、たくさん映像がありました。
ただ、その中で「壇ノ浦」のくだりのものは、ほとんどなく、
大まかに全容が把握できるものが、この演奏です。
http://www.youtube.com/watch?v=HfOA20OY1fk&feature=related

いかがでしょうか。
芳一はこのくだりを、平家の亡霊の面々に披露したわけです。

演奏で大まかな雰囲気は出ていると思います。
ウィーンで公演されたものなので、
奏者の方は、かなりの実力者であり、有名な方なのでしょう。

前に「同曲異演奏の魅力」という記事で、
演奏者により色々な個性ある演奏が表れると申し上げましたが、
平家琵琶でも同じことがいえます。

平家琵琶による平家物語の語りは、
音楽としては非常にシンプルですが、
奏者の語り口、声色、琵琶の音色により、
様々な個性ある演奏があります。
いや、シンプルだからこそ、
その個性の違いが表れやすいといえるかもしれません。

その中でも、自分が一番素晴らしいと思った演奏はこちらです。
平家物語冒頭「祇園精舎」の部分です。
http://www.youtube.com/watch?v=xyUVT8sas6g&feature=relmfu

いかがでしょうか。
聴いていると、
平家の亡霊の女人の長い黒髪がからみついて、
思わず引きずり込まれてしまいそうな、
妖しいデモーニッシュな演奏といいますか、
奏者の声色と琵琶の音色が、非常に相性がよく混じり合っており、
そう感じさせるものを生み出しているような気がします。

平家の亡霊武者に耳をもっていかれる芸域に十分達していると、
個人的には思います(^_^;)

そして、この方の演奏、もうひとつ非常に素晴らしいと思うのが、
何を語っているのか、語り口がクリアに分かりやすいこと、
これは非常に重要なことではないかと思うんです。


ところで、最後に蛇足話ですが、
自分は、中学生の頃、
三国志太平記平家物語のような、数多くの英雄豪傑が入り乱れ、
様々なストーリーを繰り広げる物語が大好きでした。

ある時、母が
「誕生日のプレゼント何がいい?」
と尋ねると、間髪入れず
平家物語平家琵琶のカセット全集が欲しい」
と答えたことがありました。

ちょうど新聞広告に、その商品が掲載されており、
夜寝る時に、少しずつ聞きながら寝ようと思ったのです。

しかし、母は
「それだけはやめて」
と激しく拒否。

夜な夜な息子の部屋から、怪しげな平家琵琶の語りが聞こえてくるのが
嫌だったのかもしれません(^_^;)

今ならその夢はすぐ叶うのですが、
仮の話として、結婚するなりして、
夜寝る時、平家琵琶を聴きながら眠りにつくというのは、
やはりマズいでしょうかね(^_^;)