らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【テレビ番組】映像の世紀 第二次大戦 世界は地獄を見た 前編








第一次世界大戦で地獄を味わったと思った人類は、
その20年後、さらに陰惨な地獄を体験することになります。
第二次大戦による全世界の死者軍属3000万人、市民5000万人。
凄惨といわれた第一次大戦の数倍の人々が命を落としたことになります。

http://www.hns.gr.jp/sacred_place/material/reference/03.pdf

特筆すべきは、市民の犠牲者が第一次大戦に比し、10倍近くに上っているということです。
現代における戦争に強いとは、つまるところその国の工業力が強いということです。
工業力が強くあれば、武器弾薬をどんどん戦場に送って戦力を増強することができる。
ならば、その国の工業に打撃を与えることが、戦争に勝つ最も早い道となる。

また、市民を標的にすることで、その国の戦意を挫く心理的な側面も重視されました。

そのため、第一次大戦では、主に兵士が相対する戦場が舞台だったのに対し、
第二次大戦では、一般市民のいる銃後ももはや安全ではなくなりました。

あと数値的に驚くのが、ドイツとソ連の狭間に位置するポーランド
ヒトラーの電撃作戦により全土を占領され、独ソ戦の戦場となりましたが、
全国民2400万人中600万人が第二次大戦で死亡しているということ。
これを現代の日本に例えると、1億2千万の人口のうち3000万が亡くなったことになり、
中国九州四国の全人口よりも多い、恐るべき割合の人が亡くなったことになります。

第一次大戦時より遥かに高度な科学の武器を使えば、
あっという間に数千、数万の人間が死んでしまう。
戦艦1隻が沈んでも一気に数千の若者が海の底に沈んでゆく。
都市の空襲では、一夜にして万単位の人々が死んでしまう。
それらを目の当たりにした人々の記した文章は、
公式のどの文章より生々しく 人々の苦しみ、悲しみ、葛藤、怒りというものを伝えています。




「人々はナチスに対し、全く無批判でした。
「精神の自由」など大多数の人々にとっては、価値のある概念では全くありませんでした。
ナチスに疑いを差し挟むと、次のように反論されました。
ヒトラーが成し遂げたことをぜひ見て欲しい。
我々は今ではまた、以前と同じように大したものになっているのだから」
ヒトラーが失業問題を解決したことこそ、私達にとって重要な点だったのです。」

ドイツの元社会民主党員の手記より








「街の到る所、炎上している家が煌々と通りを照らしていました。
目の前にはモルタル、石材、コンクリートの塊が瓦礫の山と化し
その下から生き埋めになっている人の悲痛な喘ぎ声が聞こえてきました。
何もかも燃え尽きていく・・・
イギリス製の織物、高価な革製品、愛用した家具、大事な思い出の品、
そして、希望も・・・。 何もかも・・・」                     


ドイツ軍の空襲を受けたワルシャワ市民の手記より








「全財産を手押し車に乗せ あるいは背負った人々が
街のあらゆる地区から現れ それがひとつの大きな河となり
押し合い圧し合いしながら ざわざわと流れていった・・
そこは、まさにカオスの世界だった・・」
              

ゲットー在住ユダヤ人 トシヤ・ビヤラーの日記







「どの駅にも、みな通路やプラットフォームに人が三重に折り重なって詰め込まれていました。
私は恐ろしさで声も出来ませんでした。
人間の塊が缶に詰め込まれた毛虫のように眠っている。
その光景の悲惨さ、熱気と悪臭、汚れ。
むずかる赤ん坊が泣き叫び、それを懸命にあやす、やせ衰えた母親。
子供達がその騒音の中で、眠りながら痙攣を起こしたり、びくついたりするのです。」

ドイツの空襲により地下鉄の駅に避難したロンドン市民の回想より








「狩り込み時の警官の残酷さといったらない。実に乱暴に扱う。
アパートから住民を叩き出して封鎖し、
家財道具を辺りに散乱させたまま引き上げる。
森の動物狩りを彷彿させる。
世界はこれまでこのような状況を見たことがない。
逃げ惑う人々がつかまり、野犬さながらに馬車へ詰め込まれる。
老人と病人ははユダヤ人墓地へ連れて行かれ、
そこで処理される。」
              

ユダヤアブラハム・レビンの回想より








これらの映像の中で、自分的に特に印象的だったのは、
ユダヤ人の或る家族がゲットーに強制的に移住させられるのですが、
ある少年の運ぶ手押し車の上に、ペットの黒猫がちょこんと座って運ばれているのです。
その少年と猫がなんともいえずあどけなくて、かわいいのですが、
この少年とペットの黒猫がその後どうなったんだろうと思うと悲しくなります。

おそらく少年は、その後、強制収容所に連行され命を落とし、
かわいがっていた猫は少年が連行された際、引き離されて棄て置かれたことでしょう。

今、何の心配もなく、普通に、家のソファーの上で猫を撫でて、
家族とくつろぐことがいかに幸せであるか。 
心からそれを痛感します。




後編に続きます。

映像の世紀」世界は地獄を見た 前編
https://youtu.be/eL7bz2Btv7o
https://youtu.be/POKVTKRo1io
https://youtu.be/ghxba4L_058