らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【アーカイブ】戦争関連記事5



                               大空襲で焼野原となった東京



「散華」太宰治
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/8783818.html

「さようなら」田中英光
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/10112823.html

「凧になったお母さん」原作 野坂昭如
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/9966790.html

【映画】ライフ・イズ・ビューティフル
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/9970862.html


最後にあとがきを書きますけれども、
アーカイブとしてはラストの記事となります。

先の大戦で一番顕著だったのは、非戦闘員たる一般市民の犠牲の多さです。
そして、どの国も国家を総動員しての戦いだったため、
多くの若者が戦場に駆り出され、命を落としました。

今回の記事は、これら一般の人々の思いを描いた作品を集めました。


まず、太宰治の「散華」は、アッツ島に出征した若い弟子からの手紙に、
太宰自身の魂が大きく揺り動かされた様子が描かれており、
太宰作品の中では異色の作品となっています。
太宰ファンの方にもぜひ読んでいただきたく思います。


田中英光太宰治の弟子だった作家ですが、
「さようなら」は自ら出征した中国大陸で見たこと感じたことを克明に描いており、
理不尽な出来事で命が奪われてゆく戦争に、
強い憤りを叩きつけた作品といえます。


「凧になったお母さん」は、実は、7月後半から、ほぼ毎日、
多くの方に記事を見ていただいているものなんです。
内容は、ぜひ記事を見ていただければと思うのですが、
一言でいうならば、この世の中に、こんな絶望的なことがあるのだろうかと、
悲しみに心が息をすることができくなってしまう作品であり、
と、同時に、相手に対する怒り、憎しみが抑えきれなくなってしまうところがあります。

しかしながら、かかる憎しみの連鎖ゆえに、
今まで人間は戦争を止められなかったところがあると感じます。
その憎しみに人間はどう対処すべきかというひとつの解答が、
ライフ・イズ・ビューティフル」という映画の中にあります。
主人公のグイドは息子の命を守り切った偉大な男です。
しかし、彼の最も偉大なところは、息子に敵に対する憎しみを植え付けなかったことです。
彼は息子の肉体の命を守っただけでなく、心の命までも守ったのです。


例えていうなら、憎しみというものは、
自らの身を焼き尽くしながら、相手をも焼き殺す炎のようなものです。
憎しみとは、果てしなく憎悪の炎が広がってゆくものであり、
憎しみというものからは、生のイメージが全く感じられません。
憎しみに身を委ねた者の行き着く末の世界は、
全てが焼き尽くされた死の世界だと感じます。

ですから、人間は憎しみから、なるべく遠ざかっていなければなりません。

残念ながら、この世の中には、
人々に憎しみを焚き付ける人間、団体、国というものが存在します。
そういうものに決して近づいたり、言うことを聞いてはなりません。
彼らは、さも説得的に、かつ同情的に近づいてくるかもしれませんが、
その本心は、あなたに憎しみを植え付け、燃え上がらせることで、
相手もろとも憎悪の炎で葬ろうとしているのだと感じます。

そして、憎しみとは、時に、凄まじいエネルギーを発し、
かつ、そのエネルギーが一点に集中するだけに視野が狭くなりがちです。
ですから、憎しみは、物事を扇動する者に利用されがちです。
憎しみを煽る扇動者は、自分の目的を達することだけ頭にあるのであって、
憎しみを植え付けた人々のことなど、さほど考えていません。
ですから、憎しみを煽るような者に絶対に与(くみ)してはなりません。

憎しみに身を委ねないようにするには、
冷静に、自分自身の目で事実を見極めることが必要です。
憎しみを制御するということは、
人類にとって不可欠な、決して避けて通れない、
一人一人が対峙しなければならない問題です。

しかし、この怪物のような憎しみを封じ込めずして、
戦争を無くすことは絶対にできない。と、自分は思っています。

人類は強い理性を以て、試行錯誤しながらも、
憎しみをひとつひとつ克服していかねばならない。
強くそう思います。