らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【テレビ番組】ドラマ「高校教師」

 

自分が最後まで見たドラマシリーズ第2弾は「高校教師」。
1993年、TBS系で放送されたドラマで、
野島伸司脚本、主演真田広之、ヒロイン役桜井幸子



ヒロインの二宮繭役は当初、観月ありささんだったそうですが、
台本に賛同を得られなかったため、
桜井幸子さんに変更されたそうです。
このヒロインは、どこか陰のある、寂しげな雰囲気の漂う役なので、
桜井さんでないとダメだったような気がしますね。
観月さんはちょっと健康的すぎるような気がします。

このドラマ、若い男性教師と女子高生の恋愛、近親相姦、同性愛などという
ショッキングなエピソードを盛り込み、
当時、大変話題となったドラマです。
後に続編や映画版なども制作されましたが、自分は未見です。

本放送時、自分は10代で、次から次へと2人にふりかかる出来事に煽られ、
食い入るように見入って、よく溜め息をついていたものでしたが、
数年前、30代になった時に再放送があり、
懐かしく、多少客観的に見ることができました。

寂しい人間が寂しい人間と出逢い、惹かれ合い、
二人が寄り添うことによりもっと寂しくなる…
とても切ないストーリーのドラマでした。

師事していた大学の教授や恋人に裏切られ、
行き場の失った若い男性教師と、
芸術家の父と二人暮らしで、関係を強いられ、
どこか陰のある女子高生の2人。

大人になってから見ると、
登場人物のセリフや毎回起こる出来事は、
どこかマンガチックですらあります。

寂しい、というと、この間読んだ夏目漱石「こころ」も、
人間の寂しさが重要なモチーフでしたが、
「こころ」の寂しさは、
その根源を考えるところに主眼があるのに対し、
「高校教師」の寂しさは、
見ている人間にひたすらに寂しさを感じさせることにあるという感じがします。

視聴者は、最初から最後まで、これでもかと寂しさを浴びせかけられ、
最後、必ずしも明白でない結末に置いてけぼりを食ったような感じになり、
最終回のラスト、逃避行を続ける寄り添った二人は結局どうなったのか…
視聴者の間でかなり話題になったようです。

そして毎回の出来事に、象徴のような役割を果たしていたのが、
主題歌の森田童子「ぼくたちの失敗」。
この曲なくして、このドラマのヒットはなかったでしょう。
どこか寂しげで切ない感じの曲調は、
このドラマの雰囲気にぴったりであり、
主人公とヒロインの心情を象徴していたようにも思います。

この森田童子という人は、1970年代の学生運動盛んな頃、
ライブハウスなどを中心に活動していたそうで、「ぼくたちの失敗」はその頃作られた曲です。
脚本家の野島伸司さんは学生の頃、
実際彼女の歌を聴いたことがあったそうです。

寂しさにあまりどっぷりと身をひたすことはお勧めしませんが、
寂しさのない人間は優しさに疎(うと)いところがあります。

ですからほんの少しであれば、
このドラマや森田童子の歌を通して
寂しさにひたってみるのも悪いことではないかもしれません。


僕たちの失敗
https://youtu.be/A36UmiyK3E8

あとドラマの挿入歌で使われたものも。