【美術】クリムト3 「オイゲニア・プリマフェージの肖像」
クリムトの色彩の素晴らしさは、よく言われるような金色だけではありません。
多彩な色彩を幾重に重ねてもそれらが見事に調和する作品の数々。
今回は美術展で見たそのような作品を紹介します。
「(赤子)ゆりかご」
赤ちゃんをくるんだ産着が、これでもかというほど豊かに折り重なるようにして、
色艶やかに描かれています。
でも色彩が喧嘩していない。
様々な色彩の艶やかさと美しさが目も眩むばかりに輝きながら調和している。
作品を間近で観ると、カンヴァス地が残っている部分もちらほら。
絵の具も丁寧に塗り重ねるというよりは、たたきつけるという感じ。
しかし一歩退いて作品を再び眺めると、
一見粗(あら)であるようなそんな部分も含めて、
色彩がとめどもなく溢れ出しているように感じる。
これを目の当たりにしてクリムトの卓越した素晴らしい色彩的感性に
感服せざるを得ませんでした。
「オイゲンニア・プリマヴェージの肖像」
今回の展覧会の中でも 自分が最も素晴らしいと思った作品の一つ。
この作品も先の作品と同じようなことが言えます。
抽象画ともいえるような衣服の色の重なりが素晴らしく、
多彩な色彩を用いるも、決して色が喧嘩していない。
目も眩むような色とりどりの色彩が背景の金色から浮き上がって、
思わずハッとする美しさ。
クリムトのこの色彩感覚、現代に来てもデザイナーとして超一流になったと思いますし、
また抽象画を描いても、後世に残る作品が残せたと感じます。
この2作品の色彩感があまりに印象的だったので、
ショップでポストカード を求めたのですが、
残念ながら作品の良さが伝わってこない。
小さすぎて色彩が縮こまって押し込まれているように見えてしまうのです。
この2つの作品、それぞれ110×110、140×85とそれなりに大きいサイズでして、
やはりそれぐらいの大きさのものでないと、
クリムトの広がるような色彩の素晴しさは感じられないのだと思います。
ぜひとも本物を見て欲しい作品です。