らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【閑話休題】リオ・オリンピック 輝かしき銅メダリスト達 卓球女子








福原愛選手、石川佳純選手、伊藤美誠選手、
卓球女子団体銅メダルおめでとうございます。

三人三様とても苦しい戦いだったと思います。


石川選手は個人三回戦で早々に敗退してしまい、
団体戦に期するところがあったのでしょう。
団体戦シングルス全勝無敗。
団体戦の進撃は彼女無しでは到底為し得ることはできなかったでしょう。

個人戦敗退から長いインターバルがあったので、気持ちを十分切り替えられたのでしょう
というコメントがどこかでありましたけれども、
インターバルが長くても、却って悪い気持ちを引き摺って重くしてしまうこともあります。
彼女の気持ちの切り替えは、時の経過による自然のものでなく、
石川選手自身が自らの心を律してしたものなのです。

団体戦でのチームの危機に、常に真正面に立ちはだかって全てをはねのけた強靭な精神力。
自分は心から敬意を表します。



伊藤選手は15歳最年少。
団体戦を通じて思ったのは、日本チームというのは、3人とも年齢が適度に離れており、
チームで一番年下の選手を育てるという意識が生まれており、
しかも、それが本番のオリンピックで与えられるというのは、
本当に素晴らしいことだと感じたこと。

伊藤選手も持ち前の若さで、物怖じせず勝ち進みましたが、準決勝のドイツ戦で地獄をみました。
シングルスで大きくリードして勝利を目前としながら、7ポイント連取され、まさかの逆転負け。
福原愛選手の不調ともあいまって、それが準決勝敗退につながってゆきました。
勝負の怖さというものを知ったことだと思います。

しかし伊藤選手は恵まれていました。
年長の福原選手、石川選手のフォローにより、
彼女は独りぼっちで心の傷を大きくすることはありませんでした。

そして次の3位決定戦。
まさに銅メダルがかかったシングルスに抜擢された彼女の相手は、
世界ランク第4位のシンガポールのエース。
普通ならば、この大舞台で準決勝の失敗が心をよぎってしまっても不思議ではありません。

しかし、彼女はこう思っていたそうです。

「自分が決める思いで臨んだ。」

結果は圧倒的なストレートで格上の相手に勝利。
結果、日本に銅メダルをもたらしました。
とても15歳とは思えぬ舞台度胸。

次回の東京オリンピックでも、彼女はその舞台に立っていることでしょう。
その時は彼女の後輩も、同じ舞台に立っているかもしれません。
とすれば、今回とは、また違った試練が彼女を待っていることと思います。
しかし、このオリンピックで先輩達が彼女にしてくれたように、
彼女もその後輩にすることができるのではないかと思っています。
それを楽しみに見てみたいものです。



最後に福原選手。
彼女も個人準決勝で惜しくも敗れてしまい、
悲願のメダルに辿り着くことができませんでした。

彼女はとても真面目な人なんだと思います。
しかし真面目というのは、時に自分を傷つけるものでもあります。
今回も過度の自責の念が、彼女の心と体を必要以上に固くしていたように思います。
なかなかすっきりした結果を出すことができない福原選手。
その晴れない、もやもやとした心はなんとなく自分にも見て取れました。

しかし伊藤選手とのダブルスは、非常に理想的なペアに見えました。
物怖じしない若い伊藤選手に、慎重な福原選手。 
異なる個性が組み合わさり、それぞれが、それぞれの良いところを引き出し合い、
理想的な形になっていたと思います。
先に伊藤選手は年長の福原選手に救われたと書きましたが、
福原選手もまた若い伊藤選手に救われていたのです。

それにしてもバラエティーで泣いていたちっちゃな愛ちゃんが、
オリンピックの大舞台で、こんなに良く後輩の面倒を見るお姉さんになろうとは。
隔世の感があります。
本当に成長しましたね。
彼女は成長に比べ、自分はさほど変わらないような(汗)



今回の女子卓球団体の戦いは自分にいろいろなことを教えてくれました。

自分を信じ、仲間を信じて全力で戦った末に得た素晴らしき歓喜
まさに己を律し、メダルへの執念を叶えた銅メダル。


最後に今回の気持ちを象徴する福原愛選手のインタビューの一節を紹介したく思います。


――これまでいろいろな涙を見せてきたが、
勝って喜ぶ涙は今までに経験はあるか?


はい、何度かあります。
でも、勝って涙が止まらなくなってしまったのは初めてです。



自分が人間で最も素晴らしく尊いと思う感情は、
嬉しくて涙が止まらないという心だと思っています。
金メダルを取っても、そのような気持ちにならない事はあります。
しかし、彼女はこの舞台で、その境地に達することができたのです。
もはや何を不足に思うことがあるでしょうか。